↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワルコフに気をつけない  作者: スサノワ
15:『中ボス求む。索敵な職場です。』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
101/153

1:中ボス試験ってなあに? その4

2016/11/29 0:00 細かい所修正。

2016/11/28 8:48 よろしくお願いいたします。

「とりあえず、ソレ全部解消(・・・・・・)しないと、通れないんじゃないスか? ……たぶん」


 少年が、顔を横に突きだし、すぐにゲームプレイに戻った。


 索敵(スカウティング)モードというのは、その名称や彼女の使用タイミングから察するに、仮想空間(AR)上の映像を、視認できるモードであると思われる。

 HMDに装備されている”外部カメラ”からの映像に、非暗号通信(オープンチャンネル)や、接続先(リンク)からの、”AR表示”を重ねている。

 つまるところ、フルダイブじゃない、視聴覚的な(ふつうの)仮想空間(AR)HMDとしての使用方法だ。


「な、なんやのん? この、真っ赤な表示!?」


 通路の入り口。

 人ひとりが通れるくらいの幅の、何もない空間。

 ソコには、通路入り口を、埋め尽くすほどの、エラーダイアログ。

 半透明のAR表示が、折り重なりすぎて、通路の向こうが、全く見えないほどだ。


「ソレのせいで、ゲートが閉じるみたいスね?」


 ゴールデンヘッド(コウベカイロ)は、入り口まで行って、指先で、赤表示の一つを突(つつ)いた。


 ビゴン♪

『汎用言語解析ツール用プラグイン:軸索検出ライブラリ(ニューロ・トレーサー)の持ち込みは禁止させていただいております。』

「な」


 ビゴン♪

『量子ビットエラー検出可能な分子エディタの持ち込みは禁止させていただいております。』

「ん」


 ビゴン♪

『3体以上の重複した”別名保存(ディープコピー)”の持ち込みは禁止させていただいております。』

「や」


 ビゴン♪

『AR物体を拡張ビット稼働(実像化)可能な、デバイスの持ち込みは禁止させていただいております。』

「て?」


 ズッテッテレッテッ、ズッテッデッデーッ♪

 カカカ、

 少年は、慣れた手つきで、碌(ろく)に画面も見ずに、プレイモードを選択。

 ペチペチペチ!

 『フリープレイモード:マッチング検索有り』


 ズッテッデレッデデッ、ズッダダンダン♪

 コカカカカッ……ピキュリンッ!

 COUNTED ON DIALER!

 少年は、全身真っ青の片ツノ(・・・・・・・・・)を選ぶ。

 青い片ツノは、フロアの壁に映る大画面のなかでも(・・・・・・・・)、雄叫びを上げている。


「設計ツール……の類(たぐい)が、……全部、……あかんやないのっ!」

 カード大の圧縮紙(あつがみ)を次々と、空っぽのバッグへ投げ込んでいく、歌色(カイロ)。

 ぽい。ばさばさっ。どざざざざざーっ!


「これじゃ、試作……やのうて、コトリとコウベの、……健康(どうさ)チェックくらいしか、……出来へんやないの!」


「じゃー、何たら、……”キャリア中型試験”とかいうヤツってのは、NPC自体を改変したりは、出来ないって事じゃないでスかね?」


「なっ!? ―――っていうか、それは……そうかもどすな……でも、そうしたら先生は? ……あてえより、ぎょーさん……それこそ、お店……開(ひら)けるくらいに……開発ツールとか……持ってはる……はずやけど」


「あっ、だから、俺まで通れなかった(・・・・・・・・・)のか! ソレたぶん、この中に入ってる(・・・・・・・・)スよ。先生、慌ててすっ飛んでったから、装備一式忘れてった」

 少年は、VR専門家(ワオン)のバッグを足で、指し示す。

 不作法にも感じられるが、彼は今、対戦格闘ゲーム『TOGGLE<鬼>OGRE’S《トグルオーガ》』をプレイ中で、手が放せないのだ。


 ギャリン、パン。


 筐体(きょうたい)の画面の中、青い▽(逆算角形)が、牙をむき出しにして咆哮(ほうこう)した。顔面に入れられる膂力(ちから)によって、折れたツノが盛り上がった。付け根だけが残っていた、その塊(かたまり)が床に落ちる。

 ゴトリ!


 ゴカン、タン。ココン!


 おし、入ったー!

 相手キャラクターは、上空へ突き上げられ、画面上から消えた。

 何か、難易度の高い必殺技を決めたようで、満足げに、手を離しブラブラさせる少年。

 ゲーム画面は、漆黒のエフェクトで埋め尽くされていく。青牛は背中を此方(シルシ)に向けて、大技のモーションへ移行した。

 ゲーム画面は、大技による自動処理(えんしゅつ)が、しばらく入るようだ。


 ボゥォオゥワァッ!

 POWERFUL HORN GREW!

 片ツノの反対側に開いた穴から、焔(ほのお)を纏(まと)った小さな角が生えた。


「音声入力、フロア壁面:接続先検索」

 少年が、呪文を唱えると、通路のない方の壁面に、いくつかの映像チャンネルが、次々と流れていく。

 その中の一つ、組み体操(・・・・)をやっているチャンネルがあり、少年はその映像チャンネルを指先で選択し、全面表示させた。


 2つのピラミッド。

 片や、青色の巨漢(双角の蒼鬼)。

 片や、少年の上に女性が2人も乗っていて、今にも倒れそうだ。

 スタイルのよい女性を肩車した少年は、顔を真っ赤にし、何かに耐えている。

 太股(ふともも)に挟まれて苦しい、というのとは違うようだ。


 肩車された女性の肩に、小柄な少女が、靴を脱いで立っている。

 その手には、自分の身長と同じくらいの、細身の大剣。


 (ゴッッ、ガッッ、ギギィィィン!)

 交わる剣戟(けんげき)。散る火花(エフェクト)。


 打ち付けられる巨漢の拳。

 最上段(マガリ)の大剣。

 次に、最下段(カタナカゼ)の、魔法杖(レクティファイア)。

 最後に、中段(ワオン)の、ツノに取っ手を付けたような双剣。


 上段下段中段の、3連撃のコンビネーション。

 バランスを取る玩具(おもちゃ)の様に、前後左右にふらついてはいるが、何とか、凄まじい攻撃を、凌(しの)ぎきった。

「なるほど、何で、組み体操(トーテムポール)やってんのかと思ったら、高さを同じにして、打点を合わせてたのか!」


「え!? 何で先生等が、……戦(たたこ)うてますの?」

 壁に映し出された、街頭モニタと同じらしき映像を見て、歌色(カイロ)がゲーム機筐体まで寄って来た。


「解りませんけど、不測の事態(イレギュラー)だって、慌ててましたよ、白焚(シラタキ)……さんが」

 少年はレバーに手を掛ける。


「音は……出ないん……どすか!?」

 金ぴか頭(カイロ)は、壁の中の、3人に釘付けのまま、面白メガネ(シルシ少年)の肩に手をおいて、訊(たず)ねた。

 フロアにはゲームミュージックらしきBGMが流れ、開いたばかりの映像からの音声は無い。


 ガチンガチンガチン!

 その時、ゲーム機から大音量が響く。

 少年はレバー操作に集中している。

 一心不乱に、グリグリと回している。


「もう! ゲーム……してる場合じゃ、……あらしまへ……ん―――!?」


 ガチンガチンガチィン! ゴリッ!

 ゲーム画面の中の、蒼鬼が背負うダイヤルが解放(ガチン)される度に、小さかった方の新しい、蒼(あお)ツノが太く、長大になっていく。

 ギャリギャリッ!

 少年は、レバーを回すことを、まだ止めない。


 今度はゲーム画面に釘付けの金ぴか頭((美少女))。

 肩を揺すってみるが、少年は動じない。

 面白眼鏡のゲーマー(スキヤキシルシ)は、膝(ひざ)の上に下ろしていた右手を、再び、ボタンに添える。

 ゲーム画面と、壁の映像を、歌色(カイロ)は、何度も見比べる。


 ウォォォォォオオオオォォォォォォォォッッ!

 立体音響で、荒々しく哮(たけ)り狂(くる)う、ゲーム音声。


 筐体の画面上下に貼られている、キャラ別コマンド表(インスト)。


 双角が生え揃(そろ)っている、青いキャラクタの下には、こんな記載がされている。

『エクステンデッド・アーツを決めろっ!!』


『ツノで相手を、』

 レバー入力:←(うしろ)ため後、↓(した)を半円状に経由して、→(まえ)。

 ボタン入力:強パンチボタン。


『突き刺し、』

 レバー入力:←(うしろ)後、→→(まえへすばやく2かい)

 ボタン入力:中キックボタン。


『突き上げ、』

 レバー入力:↓(した)、↑(うえ)。


『地面に激突する瞬間をねらって、頭を振り下ろす!』

 レバー入力:1回転。 ※追加入力可

 ボタン入力:弱・中・強パンチのうちどれか2つ同時押し、または弱・中・強キックのうちどれか2つ同時押し。

 ※コマンドは1P側(右向き)の場合です。


 ギャリリッ―――、バンッ!

 驗(シルシ)少年が、レバーを、ひたすら回し続けること10回目。

 青い牛、いや、折れていたツノに換わって、拗(ねじ)くれた禍禍しい大ツノが生えた蒼鬼(あおおに)。今や、双角の蒼鬼と化したプレイヤーキャラクタは、上体を振りかぶった。

 新しいツノのサイズは、すでに片側の倍以上ある。 


 BOOSTED ON DIALER!


 ドゴッガアァァァァァァァァァアアアアアンン!

 蒼鬼と比べると、あまり強そうには見えない、落ちてきたイケメンキャラ。蒼鬼はジャストタイミングで、ツノを地面に突き刺した。

 大爆発エフェクトに合わせ、ゴリゴリ削られる、イケメンキャラの体力(いのち)―――が、1ドット残った。


「見ててください。この蒼鬼、この技出したが最後、地面から抜けなくなって、自滅します」


 確かに、画面の中の蒼鬼から、命からがら抜け出したイケメンキャラが、一方的に華麗な技を当てるが、蒼鬼は微動だにしない。


 コココン、ペチポチペチ。

 驗(シルシ)少年が、移動(レバー)と攻撃(ボタン)を命令(にゅうりょく)するも、蒼鬼は地面に突き刺さったままだ。気絶(ぴより)状態が、解(と)ける気配は無い。


 やがて、蒼鬼の体力ゲージがゼロになり、地面に突き刺さっていた、大ツノが折れた。


 美少女は、業を煮やし、少年の頭を掴んで、宣(のたま)った。


「卑怯(あこぎ)や……おへんかっ! ……蒼鬼さん、……何にも出来へん……やないの!!」と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。