第六話 物騒な物
潤平は今しがた、取得した魔法を何に試すか迷っている所だった。
「取り合えず、魔法を試してみたいんだけど、手錠にやるより自分に使ってみる方がいいかなぁ? ……う~ん、でもいきなり自分の身体に試すのは危険かなぁ、でもでも自分の状態は確認しときたいし、…………えいっ、『鑑定』」
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潤平
種族
・人間
スキル
・鉄人
・浄化の魔力
・魔法創造
・一喜一憂
魔法
・鑑定
神の使徒
:神に使命を与えられてこの世界に遣わされた
:遣わされた等と書いてるが、ただ異世界をプレゼントされた高校生
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「あ˝っ?」
鑑定してステータスを見てみたら、種族がちゃんと人間だとか、使えるスキルや魔法が書いてあったんだけど、最後のこれいらない一言だろう、これ付け加えた奴だれだよ?
「あと一つ、聞いてないスキルが書いてあるんですけど、何だこの【一喜一憂】ってスキル? 神様このスキルの事何か一言も話してないぞ? 一喜一憂ってあれでしょ? 状況によってその都度喜んだりするみたいな意味合いでしょ? あれでも一憂って言ってるから心配もしたりするのか? まじでどういうスキル?」
何故か追加されていたスキルと、余計な一文。
煮え切らない気持ちを抱えながら、もう一つの魔法『収納』を取得するため気持ちを切り替える。
「まぁいいや、さて『収納』を作る為に魔力を練ってイメージイメージ、そうだなぁ、容量はかなりの量が欲しいかなぁ、家……はちょっと少ないか? じゃあ船! とか空母! とかは……どれ位か想像つかないし、う~ん、まぁ日本列島が入る位の容量でいいか! それで欲しい物が直ぐに取り出せて、収納した物は時間が止まっていて劣化しない様に、後生き物は面倒くさいから入れれない様にしよう、これくらいかな?」
鑑定の魔法を作った時みたいに、頭の中でイメージしてみる。
すると、同じように光の玉が目の前に降りて来たので、両手で包み込むようにして魔力を込め始める。
しばらくの間魔力を込めていたが、一向に先ほどまでの様に魔法が出来上がる気配がない。
どんどんと魔力を吸い続けるだけで、ピクリとも反応しない。
もしかすると、まずい事をやってしまったのかもしれないと思い、体から血の気が引き始める。
半ば余計に、日本列島とかゆうサイズの収納空間を作ってしまったせいで、作るのに途方もない魔力を必要とするんじゃないか、と、思い始めてしまったからである。
それこそ何億年とゆう単位で。
「やばいっ! やばいっ!! やばいっ!!! ふんっ! ふんっ! ふんっ!!
ふんっ!!! ふんっ!!!!」
まずい事態になる前に、急いで魔力の出力を上げ始める。
ぐんぐんと魔力を流し続けていく、それは気が付けば、大きな湖が一瞬で無くなっていく程のペースで、出力を出し続けていた。
もう数時間は流し続けているだろうか、膨大な魔力を持っている潤平でも、魔力が切れそうになり目の前がクラクラしてきた。
昔、小学生の時に経験した貧血よりも、酷い感じだ。
日も沈み始めて来た所でようやく、光の玉にも変化が見られ始めた。
徐々にだが光の玉が圧縮され始めていき、そこから数分間掛けて小さなチョコのボールに収まった。
「オエェッッ」
『収納』の魔法が出来上がり、ズボンのポケットにチョコのボールを急いで入れると、魔力がごっそり無くなった事で、もの凄い疲労感と寒気が体を襲い、そのせいで眩暈と吐き気が込み上げてきた。
立ち上がれなくなり、うつ伏せに地面に倒れこんでしまった。
辺りはもう日が沈み始めており、森の中は直ぐに暗くなるから、ここで野宿をするために、焚火の用意をしなくちゃいけないと思ったが、体が言うことを効かず、結局数分間深呼吸だけをする事に努めた。
体が落ち着いてきたので、立ち上がり焚火の準備を始める。
崩れた小屋の湿っていない所を貰い、種火になりそうなそこら辺に生えてた葦っぽい何かを使えば焚火の準備は出来た。
問題は火を着ける手段が無い事だが、それも解決策は考えていた。
火魔法を作ることである。
しかし、ただでさえ魔力は残っておらず、しかも先ほどの様な疲労感が襲ってくると考えたら、作りたくもなかったがやるしか他に道はなかった。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ、いくぞっいくぞっいくぞっ!! はいっ! ……ぐぅっ、きたっ、オエェッ、……もうずこじっ、オエェッ、オェッ、でぎあ」
急いで『火魔法』を作り上げると、やはり魔力切れで疲労感が込み上がってくる、だが今度は四つん這いになるだけで済んだ。
来ると分かっていれば耐えきる事は出来るが、それでも辛いものは辛かった。
「はあっ、はあっ、何……とかっ、できった……ぞ、これでだいじ……ぶ、でも、ちょっと休ま……せて」
さっきより長めに息を整えるが、あまりのんびりしてはいられない。
ポケットから『収納』と、『火魔法』のチョコのボールを取り出して口に放り込むと、直ぐに自分に鑑定をかけた。
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潤平
種族
・人間
スキル
・鉄人
・浄化の魔力
・魔法創造
・一喜一憂
魔法
・鑑定
・収納(極)
・火魔法(初)
神の使徒
:神に使命を与えられてこの世界に遣わされた
:遣わされた等と書いてるが、ただ異世界をプレゼントされた高校生
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取得してる。
よかった、これで寒さに震えることなく、一晩過ごせる様になった。
これだけやって出来ません、とか言われたらどうしようかと思ったけど、一先ずよかった。
無事に両方取得した事に、ホッと胸を撫で下ろす。
立ち上がろうと思ったが、足に力が入らず上手く立ち上がれない。
結局立ち上がれなかったので座ったまま、焚火に焚き付けをするため火魔法を唱えようとする。
「……そういや神様は、何も唱えることなく魔法を使っていたけど、俺は詠唱した方が良いんだろうか? それともあれは、神様が出来るだけであって唯の人には無理なんだろうか」
そりゃ普通、魔法を発動させる時は詠唱する筈だ、多分それが理に適ってるんだとは思うが、詠唱なしで魔法を発動させるのにも憧れる。
とゆうことで試してみる。
「っほい」
人差し指を焚き付け様の木に向けて、頭の中で念じただけの魔法を発動させてみる。
すると指の先から、火魔法が出たがそれは魔法と言うにはあまりにしょぼく、マッチ棒で付けた位の大きさしかなかった。
ヒルヒルヒル、ポヒッ。
力なく飛んで行った火魔法は、焚き付けようの葦に落ちてそのまま小さな火種となった。
潤平は慌てると、火種を消さない様に手で覆いゆっくりと息を吹き、徐々に火種が燃え広がっていき火が付いた。
焚火に何本か薪をくべて火が消えない様調節する。
いじりながら魔法の事について考える。
頭で念じただけでは、やはり出力が足りず先ほどの様に微小の魔法になってしまうんだろう、魔法を発動させるには詠唱が必要不可欠になってくるんだと思う。
神様がやっていた芸当は、神様本人しか出来ないかそれとも、他に何か抜け道があるんだろうか。
考えても分からないし、今は魔法を試す程の魔力は残っていないので、潤平は考えるのをやめた。
そんな事よりも、潤平は近くに落としていた手錠を手に取る。
「気持ち悪くなって放り投げていたけど、まだ手錠ちゃんについて鑑定をしてなかったからね、今ちゃんとやっとかないとまた忘れかねないからね、ほいっ『鑑定』」
焚火に照らされ、黒光りしてる手錠に鑑定の魔法をかける。
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【欠如の手鎖】
・この手鎖を掛けられれば、その者の存在が薄くなる。
手錠の半径三メートル以内は誰からも認知されない。
魔力の抑制、記憶の混濁が強制的に付与される。
作
:二代目 ヨシノスケ
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「……(絶句)」
鑑定してみたら、あまりにも衝撃的な物だった事に言葉も出なかった。
「……何だこれ、やばすぎるだろ何でこんな曰くつきの物が、辺境の小屋に放置してあるんだよおかしいだろ、つまりあれか? 淀んだ魔力がついてたって事は、誰かが人に対して使っていたって事? うええ、気持ちわるっ」
使う用途があって作られたとゆう事は、誰かしらに使われたとゆうことになる。
手錠と言うくらいだから、犯罪者に使われたんだとは思うが、もしこれが一般人に使われたり、重要人物の誘拐に使われたりしたと思うと背筋がゾッとする。
その後、手錠を使われた人達がどうなったかなんて考えたくもない。
後、ヨシノスケって何だよ日本人みたいな名前じゃんか、しかも二代目って、一代目はどうしたんだよ。
潤平は気持ち悪くなって、急いで手錠を収納の中にしまった、嫌な想像を思い出さない為に。
心なしか、肌寒くなって来た気がしたので焚火に薪を追加していく。
良い感じに焚火を調節すると、就寝のために横になって、上着を脱いで自分の上半身に掛ける。
仰向けになってみると、夜空に満点の星が散りばめられていた。
「……綺麗だ」
異世界初日は、大変な目に遭ってばかりだった。
少し、思い描いていた異世界とは違うスタートだったけど、まぁこれから軌道修正していけば良いでしょ、まだまだ先は長いんだしこっからですよ。
色んな妄想をしていると、体の疲れもあってか早々に潤平は深い眠りに落ちていった。
λ
奇妙な夢を見た。
沢山のネズミが潤平の周りに集まって、此方をじっと見つめている。
しかもそれぞれが、人間の服を身に纏っている。
中には、服を着ていないネズミもいたがほとんどが、服を身に着けていた。
しかも、その着ている服が潤平にはどこか身に覚えがあった、気になったので詳しく見ようと近づこうとしたら、足が地面に張り付いたかのように一歩も動かなかった。
「何っで! 動けっこのっ!」
歩こうと、無理やり体を動かしてみても足がピクリとも動かなかった。
そんな事をしてると、いつの間にか周りの気温が下がっていき、遂には吹雪が吹き荒れて来た。
潤平は顔を手で覆い隠しながら、ネズミ達の様子を見た。
ネズミ達は微動だにせず、一匹ずつ凍りついていき、やがて全てのネズミが凍り付くと命の音が消えた気がした。
そんなネズミ達を見かねて、助けようと動こうとしたがやはり足が動かず、それどころか自分も端から凍りついていった。
もの凄い吹雪の中潤平が最後に見た光景は、何か大きな生き物の赤い瞳が、こちらを見ており凍える中その瞳目が合う光景だった。
「…………寒い」
夢から覚めると辺りはまだ薄暗く、湖の周りには霧が掛かっている。寒いと感じたのは燃やしていた焚き火が消えかかっており、そのせいで寒いと感じた様だった。
「……ううっ」
体が寒さで震えるので、もう一度焚火に『火魔法』で火を付け直すと、焚き火に適当に気をくべて潤平は二度寝の旅に出た。
潤平が次に目を覚ましたのは、それから二時間後の事である。
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