↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界、遺します ~天涯孤独となった俺に亡き祖父母が『異世界』を遺してくれた~  作者: 鏑右いなだ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/87

第五話 魔法を作る

 「うおー! でけーー!」


 広大な湖を前にして潤平は感嘆の声を上げる。

 今潤平が立っている位置から見て、対岸の景色が豆粒程のサイズに見えるとゆう事は、目の前の湖がどれだけの広さなのか、目に映る景色がその大きさを物語っていた。

 

 少なくとも潤平は、今目の前に見えてる大きさの湖は目にした事がない。

 日本国内に目を向ければ、同じ位のサイズがあるだろうし、地球単位で考えればもっと大きな湖が存在するだろうが、潤平の記憶ではこのサイズの湖は見た試しがない。


 感動の余韻に浸りつつも、この湖に来た目的を思い出し、まるで海の様に波打ってる湖に近付いていく。

 早く身体を軽く洗って、川の痕跡を探す為に湖に急ごうと、足を入れようとした時だった。


「……何か、変だ」

 

 湖に一歩踏み出した瞬間、背筋にゾワゾワとした悪寒が走り、頭の中で警笛が鳴っていた。

 嫌な雰囲気を感じ取った潤平は、すぐに後ずさりするが、それでも悪寒が消えることは無く、潤平は緊張に包まれつつある体を身構える。


 「……何だこれ、誰かに見られてる?」


 身構えた所で何かが起きる訳でもなく、少しそのままの体制で待っていると、温度は誰かからの視線を感じる様になり、潤平は益々警戒を強めていく。

 

 周囲を見渡しても人の気配は無く、ましてや生物の気配も感じず、木々が風に揺れるサワサワとした音だけが聞こえ、不気味さを更に醸し出している。

 

 「おかしい、動物の声も聞こえなければ、虫の音も聞こえない、こんな山の中なのにそんなことあるか? それにこのどこかからの視線、まじで気持ち悪いな」


 潤平は気味が悪くなり、ダッシュでこの場を離れる。

 

 取り敢えずこの場を離れてみれば、何か変わるかもしれないと思い、砂浜の様になっている地面を走る。

 だがしばらく湖の周りを走ってみたが、視線が消えることはなく、段々と姿が見えない存在にイライラが溜まりつつあった。


 そんな時、この世界に来て初めての大発見をする。


 湖の岸辺に、人の手によって作られたと思う小屋が建っている。

 潤平は、覗いてみたいとゆう好奇心を抑えられず、小屋に近づいて行く。


 近づいて分かったが、小屋自体は老朽化しており下の方が腐っている。

 それに小屋の周りには、太もも程の高さはある草が生い茂っていて、とてもではないが人が住んでいる様には感じなかった。

 中を見ようと、横から回り込んでみると反対側から腐って崩れており、外に曝され中が見える状態になっている。


 半壊していて分かりずらいが六~七畳はあっただろう、これといった生活用具はないが錆びた鉄鍋と、何故か壁に鉄製の手錠が二つ掛かっている。

 何故、ここに手錠が掛かっているのか疑問に思ったが気にせず、他に何かないか探したがこれといった物はなく、結局分からずじまいで疑問だけが残る。


 目ぼしい物が発見出来ないので、何となく小屋から目を離して、湖の方に目を向けるとあることに気が付く。

 先ほどまであった不快な視線を、ほとんど感じなくなっている事に気が付く。


 あんなに感じていたのにと思いつつも、やっと体を洗い流せると思い、小屋を離れてもう一度湖に近づくと、再び不快な視線を感じる様になる。

 不思議に思い、数歩後退りすると視線を感じなくなった、そしてまた前に進むと不快な視線を感じ始める。


 「ん~? 小屋から半径三メートル以内は視線を感じなくなるなぁ、何でだろう?」


 正確には、完全に視線を感じなくなった訳ではなく、微弱には感じるけど感じないみたいな、とにかくあの小屋の周囲にいると、何者かに見られている感覚がほぼなくなるのだった。

 

 「でもあの小屋には何もなかったけどなぁ、崩れた瓦礫の下に何か埋まっているんかなぁ」


 そう思って、瓦礫をどかしてその下を探してみるも何もなく、地面の中に何か埋まっている思い、掘り起こしてみるも何も出てこず、周囲を改めて見てみるも何も見つからず。

 探し回ったが、結局何も出てこなくてその場にしゃがみ込んでしまう。

 

 「はぁ~、何も見つからないじゃんかよぉ、結局小屋が建ってた事と、鍋と手錠くらいしか目ぼしい物がなかったしよぉ」


 労力が途方に終わった事を嘆いているが、誰かに聞かれる訳でもなく唯の独り言になり風に流されていく。

 それにこの身体は、そうそう疲れる事は無いのでこ嘆きにもあまり意味を持たない、とはいえこれだけ探して何も出てこないと気持ちもだれる。


 気持ちを切り替えようと顔を上げると、壁に掛かったままの手錠が目に留まる。

 

 「……、何であの手錠だけ汚れてないんだろう?」

 

 小屋は腐って半壊してるし、中の物はほとんど壊れているか鉄鍋みたいに錆びているかなのに、手錠だけが綺麗に原型を保たれている事で、この小屋の中で異質さを放っていた。

 

 手錠が気になり、二つの内の片方を壁から外して手に取ってみる。

 その瞬間、指先に冷たくドロリとした魔力が、身体に流れ込んで来て驚いて手錠を反射的に落としてしまう。


 手錠に触れた方の手のひらを見つめて、しばらくの間開いたり閉じたりして、大丈夫な事を確かめるともう一度手錠を拾った。

 案の定、指先から身体の中に流れ込んで来る不快な魔力、頭の中では離せ危険だと、警笛が鳴っている。

 

 それでも手錠から意地でも手を離さなかった。

 直観でこの不快な魔力が、神様が言っていた淀んだ魔力だと思ったからだ。

 

 なるほどこれはほっとくと面倒な事になるな。

 流れ込んで来た箇所から魔力を感じなくなってきている、それに冷たい泥の様な感覚が身体の動きを鈍くさせる。


 「ふんっ!!」

 

 手錠から淀んだ魔力を消すために、浄化の魔力を思いっきり淀んだ魔力にぶつけてみる。

 指の第二関節辺りまで浸食していた淀んだ魔力は、一瞬ぶつかり合いはしたが直ぐに指先から消え去ると、みるみる浄化されていくのが分かり、勢い余って手錠から浄化の魔力が押し出されてしまう所だった。


 そのまま魔力を放出し続けると、手錠の中にあった淀んだ魔力は綺麗に消え去った、が、手錠がブルブル震え出し始めて、亀裂が入ると砂になって崩れてしまった。

 指の間から流れる様に零れ落ちた分は、風に流されていき、手のひらに少量の砂だけ残っていた。

 

 「あぁ~馬鹿だなぁ俺、手錠は手元に残すつもりだったのに粉々になっちゃたよぉ、何でだろう? 全部消すイメージで一気に魔力を込め過ぎたのがいけなかったかな? ここら辺の感覚は気を付けないと人とか、生物に使ったら大変な事になってしまうから慎重にやらないといけないや」

 

 人や生物が、砂になって崩れ落ちる所を想像してしまい頭を振る。

 幸い手錠はもう一つあるので、今度は慎重に浄化の魔力を注ぎ込んでみることにする。


 壁に掛かっていたもう一つの手錠を手に取り、ゆっくりゆっくりと魔力を込めていく、イメージは熱がじわじわと浸透してい感覚、冷え切った物をゆっくりと温めていく様に、尚且つ淀んだ魔力を除去して澄んだ状態に直していく。


 「いい! いいぞ! 今回は上手くいったぞ」


 上手く淀んだ魔力だけを除去する事が出来た。

 崩壊して砂になる事もなく、不快な魔力は一切感じず綺麗な状態で手元に手錠だけが残った、

 浄化の魔力を潤滑に、行き渡らせる事が出来れば生き物にも問題なく使える筈、浄化が成功した事に潤平は嬉しくなり笑顔になる。

 

 「思った通り、この手錠の半径三メートル以内に入ると、あの視線をほとんど感じなくなるなぁ」


 試しに、手錠を持って湖に近づいてみても視線を感じず、手錠を置いて近づてみるとやっぱり視線を感じる様になる。


 「この手錠を詳しく調べたいいんだけど、どうやって調べればいいんだ? う~んどうしよう、ねぇどうすればいいと思う? 手錠くん?」


 手詰まりになった事で、手錠に名前を付けて問いただし始めてしまう潤平。

 この世界にきて初めて、浄化をした物なので自然と愛着が沸いて友達のように接し始めてしまう。

 

 「手錠くん、どうすれば君の事が分かるのかなぁ。教えてよ手錠くん」


 段々と手錠に対して独り言が多くなってくる。


 手錠を見つめていてふと考える。

 いくら浄化の魔力が凄いとは言え、ここまで新品同様に綺麗になるものかと、改めて浄化の魔力と魔法の利便さに簡単する。

 これならば生活の基盤になるのも頷けるし、元居た地球の常識も通じないはずだ。


 それこそねぇ、収納みたいな魔法があると良いんだけど、今持っている手錠をどうするか困ってるんだよね。

 持っておくには少し大きいし、腰からぶら下げるには邪魔だし、どうにか持ってけないもんかねぇ失くしたくないんだよなぁ。

 ないもんかなぁまほ…………。


 ………魔法? ………インベントリ?


 「だぁぁぁぁぁぁっ!! 本日二回目の馬鹿か俺はっっ!! 魔法を作るスキル貰ってんだから魔法作ればいいだろうがっ! そうすればいちいち走って移動する事もなければ、調べたい物も鑑定で直ぐに分かるだろこんなん!」


 手錠を投げ出し、頭を抱えてその場にしゃがみ込んでしまう。

 

 スキルで魔法を作っておけば、森の中で迷って方向を確認することもなければ、鑑定して食べ物や生態系を詳しく調べられられたし、インベントリに物も収納出来た。

 何より人里も探せたし、無かったとしても何かしら手がかりを見つけられたかもしえない。


 「まぁ、泣き言言ってもしょうがないか、来た当初ハプニング続きだったし、身体のスキルの事とか、浄化の魔力の確認とかで忙しかったしな、持ってる手札の確認を最初にするだろうし」


 完全に頭から抜けていたし、手札を確認するというならば三つ目のスキルも、普通確認すると思うのだろうが、現実逃避から来る強がりである。


 「うう……」


 泣きたくもなる。

 しかしやるべき事は決まった。

 鑑定と収納の魔法を作って、手錠にあれこれした後人里を目指せばいい。


 「うひょぉー! 念願の魔法が作り放題じゃないですか! とりあえず今必要な鑑定と収納の魔法から作って、後々色んな魔法を作っていくとするかなぁ」


 第三のスキルを頭の中でイメージすると、目の前に光の玉が下りて来た。

 触ってみるとほのかに温かく、綿毛みたいにフワフワしている。


 これに触れながら頭の中で思い描くと、思った通りの魔法ができあがるらしい。

 らしいというのは、頭の中でそうゆう事だと流れて来るからだ。


 「うーし、とりあえず鑑定の魔法から作るとしますか、魔力を込めて何でも分析出来るような魔法が出来て頂戴と、よし」


 両手で光の玉を包み込み魔力を込める、そうすると、光の玉がグングンと縮みだしていき、最終的には茶色い小さな玉になった。

 見た目は茶色い小粒の玉、チョコのボールみたいな感じの見た目なのだが、何なんだろうこれは食えるのだろうか、匂いを嗅いでみると本当にチョコの匂いがした。


 口に含んでみれば普通のチョコのボールで、舐め終えると頭の中に『鑑定』とゆう文字が浮かび上がった。

 

 「出来たっ! やったっ出来たぞっ! これで漸く俺も魔法が使える様になったんだ! ガッハッハッッハッハッ!!」

 

 一丁前に魔法が使えるようになった事で、高笑いが止まらない潤平。

 しかし、どれだけ笑ってもここは人里離れた森の中、そんな行為はただただ孤独感を加速させるだけである。


 「……寂しっ、早く人に会いたいっす」





 



 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 皆さんの応援が日々の執筆の励みになっています。

 もし「面白い」「続きが気になる」と思っていただけたら、画面下の【★で称える】や【フォロー】をポチッと押していただけると非常に嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。