結婚=運命の人
「えへへぇ~、デュラン好き~♡♡♡」
「祝言の最中にお姫様だぞ? 抱っこ少しは恥ずかしがれよ、アリス(汗)」
「――もっと言って♡♡♡」
「あぁ、また後でな」
翌日、デュランとアリスは里の住人が見守る中で婚礼の儀を執り行い、正式に夫婦となったが。その時デュランとアリスはお互いに面白いことを考えてました。
デュランは「けど――家のお嫁さん、オープンスケベで最高だな!! 体の相性もメチャクチャよかったし!!!(笑´∀`)」と頭の中で叫んでたし、アリスの方は「お尻とお股がヒリヒリと痛んで座れないからデュランにお姫様抱っこされてボクは祝言に出てるけど、恥ずかしくて幸せで頭おかしくなりそう。どうしちゃったんだろうボク♡♡♡」と考えてもじもじしてました。
似た者夫婦で草。
「デュラン~、ボクを里に置いていかなくてよかったの? 汚染された竜穴の浄化作業を動けないボクを抱えながらで大丈夫なの?? 魔物がいるし、危ないんじゃない???」
「……大丈夫だ。なんでか知らないが黒神には俺がどこへ行くのか、何をするのか分かってるみたいでな。
いつもいつも俺の行く先の魔物を先に回収してしまうんだよ、だから恐らく今回ももぬけの殻だろう。
まあ、仮に罠があったとしても俺が全部なんとかするから心配すんな! アリスには指一本触れさせねぇから!!」
「っ♡ ――デュラン大好き!!!」
「あぁ――俺もアリスが大好きだ」
デュランの育ての親であるヴィンデはそう言いあってから濃厚なディープキスをしている二人の姿を後ろから見ていたが、二人がイチャイチャするところは何度見ても慣ないなと思いながら血涙を流していた。
世界が今のようにどうしようなく荒れ果てているのも、種族間戦争なんて恐ろしことが起こっているのも全部全部!! この世界の本来の神であるヴィンデ――起源神ワールドが不甲斐ないのが悪いのだ!!!
だからこそ、デュラン達は4回も世界をやり直している。
そのことを覚えているのはなんの役にも立たない役立たずの私だけ、今回は黒神も覚えているみたいだし。なんとかなるのだろうか?
――あのカオスを相手に。
時を操り、時間停止含めたありとあらゆることができる恐ろしい能力を持っているのに、それらを使うのはむしろ手加減だというからやってられない。
そしてその目的も正体も何かもが不明なのだ。本当にやってられない。
唯一分かっているのは人類を狂気的なまでに愛していて、この世界の外側からやってきた存在であると言うことだけ。
本当はこの世界の神である私が闘って倒さなければいけなかったのに、当時生まれたばかりだった私は刹那に助けられてばかりだった。
そして今、刹那はデュランと名前を変えてまた世界を救おうとしている。なのに私は浅ましくもまたデュランに寄りかかろうとしている。
「アリス大丈夫か? 辛かったらすぐに言ってくれ、すぐに俺が治すからな!!」
「全然大丈夫だよ? 心配してくれてありがとうデュラン!! 大好き♡♡♡ えへへぇ~♡♡♡♡」
だから、私はなれないのだろう――デュランの運命の人に。
カオスは刹那を生まれ変わらせる前に言ったのだ。私は刹那の運命の人ではないと。
……その言葉が受け入れがたくて、それでも刹那のために私は世界を裏切った。刹那に生きていて欲しかったから。
だから一番最初に出会ったデュランとアリスの姿を目にした時、私は打ちのめされた。
カオスに感情を奪われたはずのデュランが、初対面のアリスを愛おしそうに抱える姿を見れば嫌でも分かってしまった。アリスが、デュランの運命の人だと。
私はずっと子供扱いしかしてもらったことがないから余計にね、とんだ笑い話よね、まったく。
「アリス、これが汚染された竜穴なんだが見た感想はどうだ? 怖いか??」
「――は、はい! こ、こわいです、デュラン!?」
「ハハハッ、だよな! 怖がるのは全然普通だから気にしなくて良いぞ!!」
「わ、分かりましちゃ!! ニャー!?? き、聞かなかったことにしてくだししゃぃ///////」
「――wwwwwwww」
「うぅ、笑わないでくださいよ~」
そんな風にイチャイチャしている二人を死んだ魚の目で見守っていたヴィンデは、今度こそデュラン達を守り切ってみせると決意を新たにするのでした。
……苦労人すぎて草。
『――地球は我々星の箱船の新たな母星に選ばれました。原住民の皆様方には安らかな死をお送りしますのでご安心ください。
……あぁ、それと一応言っておきますが。人類には万に一つも勝ち目はないので闘うのはオススメしません。
個人的には大切な人と最期の一時を過ごすべきだと思いますよ? それではよい終末を!!』
一条刹那。
後に我が輩の世界へと招くことになる彼を、その平行世界で見つけたのはただの偶然だった。
我が輩の創り出した世界で暮らす人類のアイディアを得るために覗いていた様々な世界、その一つの世界の住人でしかなかった彼はとてつもなく強い――英雄だった。
人類の可能性を信仰している我が輩をして不可能と断じるしかないスターアークを破壊するという偉業。
主要な国家の軍隊や戦闘兵器を単独で蹂躙したスターアークを相手に、魔法も進んだ科学の力もない世界の――ただの人間でしかなかった彼は成しとけたのだ! たった五人の仲間と共に!!
結果的に世界を救った救世主となった彼だが、高尚な理由で闘ったわけではない。
全ては光咲という名の妻と子供の未来をなんとか守ってやりたい、彼が死ぬ寸前まで闘ったのはそんな平凡な理由だった。
そんな彼が左手を失いながらも最後の敵を倒し、スターアークの中枢を破壊し終わって倒れ伏した時――我が輩はもう我慢できなかった。
──我が輩の世界へと招くのはあくまでもその人物のコピーに限る──
人類の輝きを薄汚い我が輩の手で汚さないため、立てた誓い。絶対に破ってはいけない不文律。
だが、我が輩は彼の終わりを受け入れられなかった。
一条刹那の誇り高く、美しい人生という名の物語の終わりへ泥を塗る行為と分かっていても彼――一条刹那に生きていて欲しかった。
だからこそ怪我を治療した後、彼をすぐに元の世界へ送り届けようとした。
けど家族の無事とスターアークの終焉を我が輩から聞いた彼は、それだけ知れれば十分だとただ笑うのだ。
そして死んでいたはずの人間だからと家族との再会を断った彼の姿を目にし、我が輩はこの世界の全てを彼に渡す決意をした。
故に今日も我が輩はこの世界を支配し続けるのだ、悪神として――彼に倒される日を夢見て。




