61食目、二郎系ラーメン
「いらっしゃいませ。これはこれはカイト様。ようこそ、いらっしゃいました」
常に中華大衆食堂「悠」に食材や食器類などを卸しており、今では知らない人などいない黄昏工房兼黄昏食堂の主であるカイトがご来店したら、常に笑顔とオモテナシをするようにと、中華大衆食堂「悠」の店主悠真に言われてるらしい。
「様付けはいらないんだけどな」
「そうはいけません。ここまで繁盛しておるのはカイト様のお陰でありますから」
黄昏カイトの接客対応してるのは森精族のカパネラだ。誰もが認める美貌の持ち主で、カパネラ目的で来る客も多いと聞く。
カパネラだけではない。他のウエイトレスにもファンが付き、近付きたいがために通ってる男性客は結構いる。
「お席にご案内致します」
カイトはカパネラの後を追い席に通される。本来なら個室のVIP席へと通したいようだが、カイト自身それを断っている。
別に特別扱いされたいがために食材や道具を提供してる訳ではない。カイトは中華が好きなために提供してるのだ。
料理神の計らいだろうが、カイトは中華とデザートが作れない。それ以外ならば作れる。
だから、時間が出来次第通っているのだ。
「お冷とメニューでございます」
「ありがとう」
メニューを貰ったが既に食べる料理は決まってる。日本人ならば誰しもが挑戦したいと思う中華。
それは…………
「ご注文いいか?」
「はーい、お伺いいたします」
「二郎系ラーメンを」
「にんにく入れますか?」
「ヤサイマシマシニンニクカラメ」
その呪文めいたコールに周囲にいた客はどよめいた。『あれを食べるのか』と………驚愕を隠せずカイトに注目が集まる。
ヒソヒソヒソヒソ
まぁ注目を集めるのは仕方ない。良い意味でも悪い意味でも中華大衆食堂「悠」の名物の一品なのだから。
その、とてつもない量と高さに初めて見る人は驚愕するしか無くなるという。
「二郎系ヤサイマシマシニンニクカラメ入りました」
「了解」
二郎系で2番目当たりに量がコールがキッチン内に響き渡る。ガウンとフェイフェイも客と同様に耳を疑ったようだ。
悠真は、一瞬だけホールを見ると、注文した客らしき男を見つけ納得する。
「カイト殿が頼んだようだ」
「なんと」
「あれを食べ切る自信がアリアリなの!」
二郎系は、最初躊躇するが1回食べハマると無性に食べたくなるジャンク性がある。
ただし、初見にはハードルが高い。下手に注文すると、予想以上に量が多い事に驚き最後まで食べ切れない客が続出する。
「先ずは大量のモヤシを茹でる」
シンナリとさせながらシャッキリ感を残すのがポイントだ。それとフェイフェイが調合した調味料を一緒に茹でる事、数十秒。
取り出すと、艶やかで茹でる前と比べると新鮮さがアップしてるような錯覚を覚える。
「麺は極太麺」
パンチの効いたスープが十二分に絡まうように極太麺が良く合う。それに細麺より極太麺の方がスープが吸わずに極太より多くならない。
山盛りなモヤシを食べてる間にスープが無くならない工夫の1つだ。
「次にスープ」
スープは、濃厚豚骨スープに特製醤油タレを合わせて作る。豚骨スープは、濃厚にするため3日3晩火を止めずに煮詰め続けた。
本来のスープの量より1/3程少なくなるが、その分脳天にズキュンと来るパンチがある濃厚さになる。
ラーメンドンブリにスープを注ぎ、ニンニクの搾り汁をこれでもかって位に搾り入れ、豚の背脂を雪のように振り掛ける。
そして、茹で上がった極太麺を入れ箸で形を整える。これだけでも食べてしまいたい。
「チャーシューを極太に切ってと」
極太のチャーシュー、これだけで食いたい程に長時間タレが染み込んでおり、チャーシューだけでもお酒のオツマミとしてメニューに載せられる程の完成度だ。
長時間煮込まれていた事もあり、包丁を入れた感覚がない。これを口の中に入れた途端に溶ける事間違いなし。
極太のチャーシューを2枚をドンブリの端に乗せ、メンマ数個と半切りの味付け卵を2個を乗せてから問題のモヤシの山を乗せる。
ドンブリの高さのおよそ3倍はあろう高さに積み上げる言は、まさに芸術と言って良いだろう。
更に積み上げたモヤシの山上に摩り下ろしニンニクを景気づけに掛けて完成だ。
日本では、これを15分で食べ切るのが店のルールでありジロリアンの流儀らしいが、作った本人である悠真には無理な話だ。




