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「おい、やっぱり警察を呼ぶのはやめた……」

「お前に聞きたいことがいくつかある、捕まってしまったら色々と聞けないしな」


「そっか。よかった」

「父さんが捕まらなくって」


「いや、俺じゃなくてお前のことだよ!」


「まあ、父さんがこんなところで捕まったら僕の生存すら危いからね」

男は将来、2度警察に捕まるのだからどちらも冤罪だということになり、無事 釈放される。その影に光一や家族の度重なる努力があったのだが、そのことを話すとややこしくなると思ったのか、心の中に留めておいた。


「分かった、仮にお前が未来人だと認めるとしよう。ただ、本当に俺が父親なのか?」

「俺は苗字も名前もごく普通だから、同姓同名のやつなんてこの日本にたくさんいるだろう?」

母親似なのか、光一の顔をよく見るが男と顔が似ているとは到底思えない。爬虫類のような顔をしている男に対して、息子の光一は、整った犬のような顔をしている。細い目にぺちゃんとつぶれた鼻と、大きな目に鼻筋が綺麗に通った鼻。共通点といえば、右目の左下にある小さなほくろくらいか。


「みゆきと祐太朗……」

「僕のおじいちゃんとおばあちゃんの名前」

「どう、あってる?」

男は、母 みゆき と 父 祐太朗から生まれた。

今の時代 個人情報がどこから漏れるか分からないからそれくらいのことは詐欺師なら知っていても不思議ではない。オレオレ詐欺なんてもう古い。今は息子の名前くらいどこかで調べたうえで名乗ってくる。未来ではどんな高度な詐欺師が現れているのやら。


「おばあちゃんは、皿うどん、おじいちゃんはソースカツ丼が大好き。おばあちゃんは嫌いなものはセロリくらいで基本的に何でも食べるけど、おじいちゃんの方は、生魚にグリンピース、きのこ類全般に納豆と挙げ出したらきりがないくらい嫌いなものが多い。ちなみに、父さんはアップルパイが嫌いだったよね?」

光一の言うとおり男の父親は偏食家であった。自分は、好き嫌いが多いくせに、男には野菜を残したらいけないと教育する。矛盾している……

このことを、何度疑問に思ったことか。


「どう?信じてもらえた?」

「他にも僕が知っていること言った方がいい?」

男の両親の嗜好なんて情報を知り得ることは容易ではない。情報化社会だといっても、他人が何が好きか嫌いか分かったところで役に立つのか?



「もういい。分かった 信じる……」

「お前は光一。未来から来た俺の息子。それでいい」

それでも男は、半信半疑だが、光一の言うことは合っている。適当に言って当たるものではない。仮に未来人ではなかったとしても、親族の可能性はある。あまり雑には扱えない。もしくは何か壮大なドッキリを仕掛けられているのかもしれない。あり得る、ヨーロッパ旅行に行ってるはずの両親も本当はどこかでモニターを見ているんじゃないだろうか?


「そうです、僕、あなたの息子 光一です!」

光一は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。屈託のないアイドルのような笑顔を見て男は、これは俺の遺伝子ではないな……男は、笑顔が苦手だ。卒業写真に旅行写真、どの写真を見ても、証明写真のように真顔で写っている。ピースサインなんてとんでもない。出来るわけがない。


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