③
「おい光一、お前の母親は誰だ?」
男が付けたかった名前だからか、呼んでみるとしっくりくる。
「顔が全く俺に似ていない。そうなるとお前、母親似だろ?」
「え?そうかな~?」
「似ている部分あると思うけどな。目の下にあるほくろとか眉毛の形とか。結構 父さん似って言われてるけどね」
眉毛の形とほくろの位置、それは似ているとは言えない。男は思う。自分の遺伝子が含まれているのに光一はなかなかのイケメン。自分の妻は、自分の遺伝子を打ち消せるくらいの美人なのか……
「僕の母さんの名前は言えない。言ってしまうと、父さんが意識しすぎて、結ばれなくなってしまう可能性があるから、そうなると僕という存在がなくなる。ただ、1つだけ言っておくと、父さんが、想像している人ではないことは確かだから」
男は、石原さんを想像したが、残念ながら彼女ではないようだ。それもそうだと自分に言い聞かせる。石原さんは高校時代からモテていた。付き合っては別れ付き合っては別れを繰り返していた。きっと、今も不特定多数からアプローチを受けていることだろう。
「性格は、母さんに似てよかったと思っているよ」
「何だそれは?」
「俺の性格がよくないってことか?」
「別にそうとは言ってないけど、僕の生き方的には父さんの性格だと疲れるだろうなって思って、いちいちいちいち、細かいことにうるさいから、自分はできないくせに僕にはあれやれこれやれって文句ばっかり言ってくるし」
「ま、今の僕があるのも、平和に、何不自由なく過ごせているのも父さんのお陰だから文句は言えないんだけどさ」
「今の父さんに忠告しても無駄かもしれないけど、父さん2回浮気がバレて怒られているから。僕が生まれる前に1回やってるみたいだから、計3回。バレただけで3回だから、本当は、もっとやってると思う。浮気は1種の病気だから死ぬまでなおんないよ。すぐに謝ればいいのに、父さんは言い訳ばかりしてた」
「俺は、浮気するのか???」
信じられなかった。現在 男の周りには女子なんて誰1人寄ってこないのに、結婚できただけでも幸せだと思わなければならないのに、俺は、浮気をするのか!しかもバレている、何をやっているんだ俺は!
「父さんの周りには人が寄ってくるからね~、詐欺に合わなかっただけでマシかな」
「母さんにかなり怒られたからね父さん、気をつけた方がいいよ。母さんは普段は優しいけど怒ると怖いから」
信じられなかった。自分は、浮気なんて行為はされることはあってもすることは絶対にないと思っていた。
「光一、向こうでは俺はどうしているんだ?働いているか、働いていたら俺は何をしている?」
「ああ、ダメダメ それは教えられない」
「何でだよ、それくらい教えてくれたっていいだろ?」
「ダメなんだよ、文句ならタイムマシーンを作った人に言ってくれない?あの人がダメダメダメダメ言うから、タイムマシーン使用に関して色々なルールができたんだから、細かいルールがあるのよ、僕のせいじゃないからね」
「タイムマシーンを作ったやつ、とんだ糞やろうだな!」
「糞やろう、そうそうどんどん言ってよ!」
「タイムマシーンを作ったことは確かに偉業だけど、それにしては威張りすぎてる」




