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うたへうたえ  作者: うらひと
3章

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7/9

3-B 『トンネルを抜けたらきっと憧れも雪解けのように融けていくかな』

禁 複製転載・AI学習

――あなたへの 強いあこがれを

「……ううん、こうじゃない」

 (つかさ)から()()への気持ちを聞いたとき、自分にはどうすれば良いのかわからなくなった()()は、冬休みの間はずっと歌詞を書いては捨て、書いては捨てを()(かえ)していた。

 ()()でさえ『そう』なのだ。(おそ)らくもうこじらせているだろうこの気持ちをぶつけたところで、(つかさ)()()からの(おも)いを受け止め切れなかったように、()()(かか)えている(おも)いを歌詞に()めたところで、(ひび)くのだろうかと。

 第一、こんな直接的な言葉よりも、()()なら()()を好む。それなのに、書こうとしている言葉は()()のことを無視していないだろうか。

「……作詞、難しいなあ」

 こんな熱に()かされたような歌詞を、受け入れてもらえるだろうか。

 ***

「……え、マジよくね?」

「いけるいける。()()とは作風(ちが)うけど」

 ファミレスで(はる)()(あん)()に下読みをお願いしたところ、(ひょう)()()けするくらい好評で、()()(きつね)につままれたような顔をした。

「やっぱ、()()ちゃんには合わないかな」

「……んー、いや、そうじゃなくて。熱はあるけど、あの子(どん)(かん)だからさ」

「キラキラした歌詞の方が、()()にはウケそうだからなあ」

「そうだよね……。(うす)(うす)(ちが)う気はしてたんだけど」

 そこでさ、と、(はる)()(あん)()と相談したという案を聞くと。

「『短歌を()かす』って、そのつもりだったけど……」

「短歌に、キラキラ感というか、すごく()(れい)な景色が出るじゃん? そういうのはどうかなって」

 短歌そのままだと、リズムが(くず)れてしまう。(なや)んで、答えが見つからなかったのに。頭の中がぐるぐるしてしまい、うまくまとまらない。

 結局、『直してみる』とだけ告げて、また後日に見てもらうことにしたが、思ったより、自信を無くしている自分がいた。

「短歌は出来るのに。でも、一応直して、ダメもとで見せてみよう。 ……うん」

 ファミレスを出てひとり、そんな風に(つぶや)いていたら。

「――しーのっ!」

「きゃあっ!? (はる)()ちゃん?」

「ちょっと寄り道しよーぜ」

 (はる)()がホットの(かん)コーヒーを2本持ちながら、にっ、と()(がお)を見せた。


「――短歌って、思ったより(ちが)うなあ」

「うん。……私も、ここまで(なや)むとは思わなかった」

「でも、書きたいんだろ」

「うん」

 そして、()ずかしそうに(なや)みながら、(はる)()が言った。

(だい)(じょう)()()()のキラキラを、ぶつけちゃえ!」

 (かん)コーヒーを胸の前で包みながら、白い息を()いた。

「――『(ゆき)()けがいつか来るよと友と飲む 迷いを()かす(かん)コーヒーで』」

「……いいね」

「ありがとう、(はる)()ちゃん」

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