第7話 放送事故
キャーー!! キャーー!! 男の声! キャーー!! おっぱい キャーー!! え!? 嘘!? キャーー!! 男よ! ぱんつ キャーー!! おっぱい キャーー!! 女の声もしたわ! キャーー!! 姫様と男の声がする! キャーー!! おっぱい 男!? あのセックスのことしか頭にない生命体!? キャーー!! キャーー!! 誰かに見られたの? キャーー!! おっぱい キャーー!! 犯されるぅ!! キャーー!! 痴漢はどこ!? キャーー!! ケツかゆ。 おっぱい キャーー!! キャーー!! クンカクンカ キャーー!! ぱんつ おっぱい キャーー!! ルルウ第四皇女と知らない野郎の声! キャーー!! どこ!? どこに男!? あたしのおぱんつどこ!? ぱんつ! キャーー!! もうお嫁に行けない!? キャーー!! おっぱい キャーー!! 見られた! 男に見られた! キャーー!! 誰なの? どこの男? おっぱい キャーー!! ルルウ? ぱんつ キャーー!! 聖心体に選ばれたって男じゃない? キャーー!! アースガルズの心はギンティア様じゃなかったの? おっぱい キャーー!! ギンティア殿の後任の? キャーー!! あれが噂の!? キャーー!! おっぱい キャーー!! 早く服を着て! え!? ギンティアさん、退職したの? キャーー!! ふえええ~~ん! お、お姉さまぁ~~! あたいのちっぱい見られたぁ! キャーー!! 股間が大きい奴はみんな男よ! おっぱい キャーー!! 男が後任なんていやよ! キャーー!! えぇ!? 後任って男なの!? キャーー!! ぱんつ 弓矢で射る殺してやる! 男なんて絶滅すればいいんだわ! キャーー!! 男根だわ! キャーー!! どこの馬の骨よ! おっぱい キャーー!! 性欲の権化よ! やることしか頭にないのよ! キャーー!! ルルウも共犯だわ! キャーー!! いい男だったら、彼氏にしたいかも? ケダモノ! キャーー!! シコ猿よ! キャーー!! 妊娠しちゃう! キャーー!! あたしのぱんつがない! きっとその男が盗んだんだ! キャーー!! おっぱい キャーー!! ふえええ、男、怖いですぅ キャーー!! おっぱい キャーー!! キャーー!! キャーー!! おっぱい キャーー!! ルルウはなんで止めなかったの!? キャーー!! 人間の男に見られるの!? 信じられない! キャーー!! おっぱい キャーー!! え? 現世人なの? キャーー!! 殺そう! キャーー!! おっぱい 殺して埋めましょう! キャーー!! 生かせておけない! キャーー!! 男根主義者を殺して埋めましょう! キャーー!! おっぱい キャーー!! キャーー!! ぱんつ キャーー!! おっぱい キャーー!! あたしの恥ずかしいところをよくも! キャーー!! 殺せ! キャーー!! おっぱい 城門に火をかけろ!
あれ?
なんか大パニックになってないか?
ルルウの方に視線で尋ねると、彼女の口が「マ・イ・ク」と動いた。
よく見ると魔法石の側に謎の赤ボタンがあり、「マイク ON」と、何故か日本語で書いてあった。
「……マイクが入ったままになってますね?」
「なぁ~~んだ? ただの放送事故かぁ……」
「あははははは! ゆーやさんもうっかりさんですねー」
俺はボタンを押してマイクを「OFF」にした。
ふぅ、これで一安心……で済むはずもない。
「じゃあ、じぶん、ソシャゲの推しキャラが降臨する時間なので、夜までにお湯ぐらいは出るようにしといてくださいませねー」
「しゃーないな。覗きがてら、やっとくか……」
暮らし安心ク●シアン気分で返事をする俺をよそに、スマホ片手にててててててと歩いていったルルウだったが――。
「ひゃああああああああああ!」
窓辺から外を一瞥し、たちまち悲鳴をあげた。
「た、たたたたたたいへんです! ゆーやさま」
彼女は血相を変えている。
先を聞かなくとも大体、わかった。
「み、みなさん、カンカンにおこってます!」
「ほぅ? 覗かれてるのを抗議に来たか?」
「王蟲のむれみたいに、真っ赤な眼で押しよせてきてますよ!」
「女ってどうでもいいことで、凄く怒るよなー」
「なにおちついてるんですか!?」
ゾンビに襲われる人みたいに、入れて入れてと魔法石を叩いてくるルルウ。
「待て待て」
「な、なんですか……」
「いうても、お前、仮にも皇女様だろ?」
「え? そうっすけど……」
「『このメスブタどもめ! 朕に逆らったらバーベキューぞよ!』とかいえねえの?」
「そんな精霊大王みたいなセリフ、いえないっす」
「またまたァ、ホントは偉いんだろ?」
「王族なんて、平民さまのクツ底をペロペロして血税をおめぐみいただく、ミジンコ以下のゴミカスクソニートなんですよっ! あああ! ギロチンこわいっ!」
ルルウは窓の外で罵声を浴びせ、空き缶とか投げてくる群衆に向かって、ガクブルでひれ伏し、土下座で頭上合掌した。
拝んだ。
臣下を拝んじゃったよ……。
かつて、こいつほど、下っ端感あふれるお姫様がファンタジー世界にいただろうか?
俺はこいつのこれだけの仕草で国民との関係性と自堕落な生活態度、そして、おおかたの問題はメイドのギンティアさんが緩衝材となって解決してきたであろうことを、なんとなく予感したのだった。




