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俺の書いたキャラが現れた。そいつを消さないと世界が終わるらしい。―グロキシニアの凱旋  作者: ひろほね
ファリン

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第四十三話:再起動

白い光が弾ける。


医療区画。


機械音が一瞬だけ乱れる。


「――っ!?」


デイジーが振り向く。


モニターが、青と黒に激しく波打つ。


二つの波形が衝突している。


「統合が始まってる!」


叫ぶ。


レンが一歩踏み出す。


「大丈夫なのかよ!」


デイジーは答えられず、ただ見ている。


その先にユウリの体。


わずかに、重力を無視するように浮く。。


髪が揺れ、光が滲み出る。


青そして黒が混ざり合う。


ファリンが低く言う。


「……ありえない」


リアクターなしでの感情出力。


本来、不可能な現象。


だが起きている。


「これ……自己同期してる……?」


デイジーが震えながら呟く。


「ターミナル無しで……?」


異常であり、完全な例外。


その時ユウリの指がゆっくりと動く。


そして、目が開く。


光を宿した瞳。


だが以前とは違って揺れがない。


静かで深い。


「……ユウリ」


レンが呼ぶ。


ユウリは、ゆっくりと視線を向ける。


数秒。


「……ただいま」


小さく言う。


その声は確かにユウリ。


だがどこか、変わっている。


レンが息を吐く。


「……おかえり」


それだけで十分だった。


ユウリが、ゆっくりとベッドから降りる。


足元が少しだけ揺れるが倒れない。


ファリンが警戒する。


「……制御できてるの?」


ユウリは少し考える。


正直に答える。


「……まだ、ちょっとむずかしい」


小さく笑う。


「でも、大丈夫」


その言葉に根拠はないが、妙な説得力がある。


デイジーがモニターを見る。


「波形……安定してきてる」


驚き。


さっきまでの不安定さが嘘のように、一つにまとまり始めている。


ファリンが呟く。


「……統合、成功……?」


その時、ノイズが走る。


バチッ――


モニターが一瞬ブラックアウトする。


「え?」


デイジーが復旧操作する。


だが表示された数値に、言葉を失う。


「……なに、これ」


レンが聞く。


「どうした」


デイジーが震える声で言う。


「感情出力……上がってる」


「リアクターの時より……」


沈黙。


ありえない。


人間単体でそんな数値は出ない。


ユウリが自分の手をゆっくりとみて、握る。


空気が、わずかに歪む。


「……ほんとだ」


他人事のように呟く。


ファリンが一歩下がる。


「それ……危険よ」


ユウリは首を傾ける。


「そう?」


無邪気に。


だが、その奥に別の気配がある。


完全には、消えていないグロキシニア。


だがもう暴れずに“同居している”。


その時レンがよろめく。


「っ……」


右腕の傷がさっきよりも深く開く。


黒い亀裂のようなものが走っている。


ファリンが気づく。


「レン、その腕……!」


ただの火傷じゃない。


“侵食”。


グロキシニアの影響。


レンが舌打ちする。


「……マジかよ」


ユウリが近づいて手を伸ばす。


「……ごめん」


小さく言う。


その手が、レンの腕に触れる。


一瞬、青と黒が混ざった光が走る。


傷が、わずかに閉じる。


レンの目が見開かれる。


「……は?」


完全ではないが痛みが消えていく。


だが、確実に回復している。


デイジーが叫ぶ。


「治してる!?」


ありえない。


感情エネルギーによる修復。


新しい現象。


ユウリが少し驚く。


「……できた」


自分でも予想外だが、理解する。


「これ……使える」


その言葉に可能性を感じると同時に、危険。


ファリンが言う。


「制御できないなら、ただの爆弾よ」


冷静に現実を突きつける。


ユウリは頷く。


「うん」


「だから」


少しだけ、強い目になる。


「ちゃんと使う」


その時背後で、何かが崩れる音。


全員が振り向く。


ベッドの上のカイトの体がわずかに透けている。


「……おい」


レンが近づく。


顔をしかめる。


「これ、やばいだろ」


ファリンも見る。


「……存在が薄れてる」


言葉にするのも怖い現象。


デイジーが叫ぶ。


「書き換えの反動……!」


「自分の存在を削ってる!」


ユウリの目が揺れる。


「……カイト」


小さく呼ぶ。


眠ったまま反応はない。


確実に消えに向かっている。


レンが拳を握る。


「……今度はこっちかよ」


終わらない。


一つ解決してもまた一つ。


ユウリが言う。


「……助ける」


静かに、だがはっきりと。


レンが見る。


その目はもう迷っていない。


「できんのか」


ユウリは少しだけ考える。


そして。


「……やる」


シンプル。だが強い答え。

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