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俺の書いたキャラが現れた。そいつを消さないと世界が終わるらしい。―グロキシニアの凱旋  作者: ひろほね
ファリン

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第四十二話:統合

暗闇。


どこまでも何もない空間。


音も光もない。


ただ、“意識”だけがある。


ユウリはそこに立っていた。


「……ここ」


自分の声だけが響く。


現実じゃないと分かっている。


それでも確かに“いる”。


一歩踏み出す。


足音はしない。


ただ進んでいる感覚だけ。


「……出てきて」


小さく呼びかける。


誰にかは分かっている。


沈黙。


何も返らない。


それでも、ユウリは止まらない。


「……いるでしょ」


少しだけ強く言う。


その瞬間。


空気が揺れる。


黒が背後に滲む。


ゆっくりと、“それ”が現れる。


もう一人のユウリ。


だが歪んでいる。


色が違う。


瞳が暗い。


表情が痛みで歪んでいる。


グロキシニア。


ユウリの“残った感情”。


二人が向かい合う。


完全に同じ形。


違うのは“中身”。


沈黙。


先に口を開いたのは、


黒いユウリだった。


「……なんで」


少し重い、低い声


「なんで、来たの」


ユウリは答える。


「取りに来た」


まっすぐに見て


「あなたを」


黒いユウリの目が揺れる。


「……いらないでしょ、こんなの」


自分を指す。


「いたいだけ、こわいだけ、いらない」


完全な拒絶。


ユウリは首を振る。


「いる」


黒いユウリが歪んだ笑みを見せる。


「バカじゃないの」


「こんなの残してどうするの」


「また壊れるよ?」


ユウリの足が、一瞬だけ止まる。


怖い。


分かっている。


「……それでも」


一歩踏み出す。


「それ、わたしだから」


黒いユウリの表情が固まる。


否定できない言葉。


ユウリが続ける。


「こわいのも」


「いたいのも」


「全部、わたし」


ゆっくりと言葉を重ねる。


もう逃げない。


「置いていかない」


静かに、強く。


黒いユウリの目が大きく揺れる。


「……じゃあ、これも?」


その瞬間、空間が歪む。


景色が変わる。


崩壊する世界。


叫び声、熱、光。


あの日の事故の記憶。


ユウリが飲み込まれる瞬間。


恐怖と絶望。


「……いや」


黒いユウリが叫ぶ。


「いやだ!!」


感情が爆発し、空間が揺れる。


ユウリの体が押し戻される。


「こんなの!!」


「思い出したくない!!」


「消えたい!!」


本音の叫び。


ユウリが踏みとどまる。


震えている。


怖い。


同じ記憶、同じ痛み。


それでも逃げない。


「……わかる」


黒いユウリが止まる。


ユウリが続ける。


「わたしも、こわい」


「思い出したくない」


「でも」


一歩、近づく。


「一人にしない」


震える手を伸ばす。


黒いユウリが後ずさる。


「くるな」


拒絶。


「消えたいの!!」


ユウリが言う。


「じゃあ、一緒に消える」


意味が分からない。


黒いユウリの動きが止まる。


ユウリが続ける。


「でも」


「一緒に、生きることもできる」


押し付けずに選択を差し出す。


黒いユウリの目が、大きく揺れる。


初めて迷いを感じる。


「……ほんとに?」


小さく、弱い声。


ユウリは頷く。


「ほんと」


迷いのないそいの手は、まだ伸ばしたまま。


あと少しで届く距離。


黒いユウリの手が、ゆっくりと上がる。


触れるか、触れないか。


その瞬間、外の声が響く。


「ユウリ!!」


レンの必死で強い声。


ユウリの意識が一瞬だけ揺れる。


黒いユウリの手が、止まる。


「……ほら」


さみしそうに小さく笑う。


「外、あるじゃん。いらないよ、こんなの」


また、引こうとする。


その時、ユウリが強く言う。


「いる」


今までで一番、はっきりと。


「レンがいるから」


黒いユウリの目が止まる。


ユウリが続ける。


「だから、全部いる」


逃げ道を立つ、決定的な一言。


長い沈黙。


そして黒いユウリが、ゆっくりと手を伸ばす。


震えている。


怖い。


それでもユウリの手に触れる。


その瞬間光が、広がる。


黒が解けるように崩れる。


消えるのではなく、“混ざる”。


ユウリの体に流れ込む。


「……っ!!」


痛みが出る。だが拒絶しない。


すべて受け入れる。


光が、弾ける。

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