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俺の書いたキャラが現れた。そいつを消さないと世界が終わるらしい。―グロキシニアの凱旋  作者: ひろほね
第一章:窓の外の少女

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第四話:レジスタンス

警報が鳴った。


乾いた音。


無機質な廊下に響く。


「来たね」


デイジーが端末を見る。


「外縁区画、歪み急増」


カイトが顔を上げる。


「ここにも来んのかよ」


「そりゃ来るよ」


デイジーはあっさり言う。


「原因が中にあるんだから」


カイトの視線が一瞬揺れる。


だが、それよりも早くユウリが動く。


「行く」


短く、迷いなく。


カイトが舌打ちする。


「……一人で行くな」


その時、背後から声。


「じゃあ俺が行く」


振り向く。


そこにいた一人の男。


長身。


黒を基調とした装備に青いライン。


軽く手を上げる。


「新入り?」


視線がカイトに向く。


「……誰だよ」


男は少しだけ笑う。


「レン」


それだけ言う。


「一応、ここの前衛」


軽い。


だが、空気が違う。


“強い”と直感する。


レンはユウリを見る。


一瞬で、状況を理解する。


「外か」


ユウリが頷く。


「数、多い」


レンは肩を鳴らす。


「いいね」


楽しそうに言う。


「じゃ、さっさと片付けるか」


その言葉と同時に、警報が一段階上がる。


外縁区画。


歪みが、溢れている。


形を保てない影。


複数、十体以上蠢いている。


カイトが息を飲む。


「……多すぎだろ」


ユウリの腕が光る。


ヒビが、わずかに広がる。


「……全部は無理」


小さく言う。


その瞬間、レンが前に出る。


「なら減らせばいい」


腰に手を当てる。


そこには、何もないように見える。


だが、指先が空をなぞる。


光が走り、集まる。


形になる。


細く鋭い剣。


細かく揺れている。


まるで、音みたいに。


カイトが目を見開く。


「……なんだそれ」


レンが軽く振る。


ブゥン、と空気が震える。


「レゾナンスブレード」


一歩、踏み出す。


「感情に“共鳴”する刃だ」


次の瞬間、消えた。


いや、速すぎて見えない。


一体目。


歪みが、切れる。


青白い残像と共に音が遅れてくる。


二体目、三体目。


止まらない。


刃が通るたび、歪みが崩壊する。


カイトが呟く。


「……は?」


レンは止まらない。


動きが軽く無駄がない。


だが、力任せでもない。


“合わせている”


歪みの、感情の波に。


ユウリが小さく言う。


「……共鳴してる」


レンの刃が、歪みの核を正確に捉える。


爆ぜるように消える。


残り、数体。


一体がカイトに向かう。


速い。


カイトは動けない。


その瞬間、レンが割り込む。


一閃。


静寂。


歪みは、すべて消えていた。


レンが剣を振る。


光が霧散し、消える。


何もなかったみたいに。


「……こんなもんか」


軽く言う。


カイトはしばらく動けなかった。


「……いや、レベル違うだろ」


レンが振り返る。


「慣れだよ」


軽い。


ユウリの腕が、また光る。


ヒビが確実に、広がっている。


レンの視線が止まる。


「……増えてるな」


低く言う。


ユウリは何も言わない。


カイトが言う。


「やっぱりそうなんだろ。お前が全部受けてる」


ユウリは、否定しない。


レンが舌打ちする。


「クソ仕様だな」


空を見る。


歪みの残滓が漂う。


「これ、増えてるぞ」


デイジーの声が通信で入る。


『観測でも確認。増加傾向』


『原因、特定できてない』


一瞬の沈黙。


カイトが小さく言う。


「……俺だろ」


誰もすぐには否定しない。


それが答えだった。


レンが肩をすくめる。


「まあいいさ、原因がなんだろうが」


カイトを見る。


「止めるしかねえ」


短く言う。


ユウリも続く。


「時間がない」


その言葉に、重さが乗る。


カイトはノートを握る。


まだ、何も書けていない。


でも。


「……やるしかねえか」


小さく呟く。


遠くで、また歪みが生まれる。


世界は、止まっていない。

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