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俺の書いたキャラが現れた。そいつを消さないと世界が終わるらしい。―グロキシニアの凱旋  作者: ひろほね
レン

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37/50

第三十七話:共犯

機械音が一定のリズムで響くだけの、静かな部屋。


カイトは、ベッドの上にいた。


意識はある。


だが、体はまだ重く完全には動かない。


天井を見つめたまま、小さく呟く。


「……遅いんだよな」


誰に言うでもなく。


時間がない。


ユウリは、あの中で崩れ続けている。


「……クソ」


動かない拳を握り歯を食いしばる。


その時、扉が静かに開く。


迷いのない一直線の足音。


レン。


カイトは視線だけ動かす。


「……来たか」


レンは何も言わずにベッドの横まで来る。


少しの沈黙。


そして低く言う。


「……聞こえた」


カイトの目が変わる。


「……何が」


レンが答える。


「ユウリの声」


空気が一気に変わる。


カイトがゆっくりと起き上がろうとする。


「マジか」


レンが支える。


カイトが続ける。


「何て言ってた」


レンは少しだけ目を伏せる。


「……助けて、って」


カイトが聞いたものと完全に一致する。


カイトが小さく笑う。


「やっぱりな」


確信。


「いるんだよ」


レンは頷く。


「……ああ」


それだけで十分だった。


二人の中で答えが一致する。


「……どうする」


レンが聞く。


カイトは迷わない。


「助ける」


レンも、迷わない。


「だよな」


静かに言う。


その瞬間、“決まる”。


もう、引き返せない。


カイトが言う。


「でも、そのままじゃ無理だ」


「今のあいつは、リアクターと繋がってる」


「下手に触れば、全部壊れる」


レンが眉をしかめる。


「じゃあどうする」


カイトが少し考える。


そして、「固定する」


レンが首を傾ける。


「……は?」


カイトが続ける。


「物語を、一瞬だけ、止める」


レンが黙る。


理解できない。


だが、カイトは続ける。


「俺のノートで、“あの瞬間”を固定する」


「崩れる直前の状態で止める」


「その間に引き剥がす」


レンの目が細くなる。


「そんなことできんのか」


カイトが苦く笑う。


「できるかじゃねえ」


「やるしかない」


沈黙。


レンが息を吐く。


「……危ねえな」


カイトが頷く。


「めちゃくちゃ危ない」


「失敗したら――」


少しだけ間を置く。


「全部、世界ごと終わる」


レンが笑う。


「上等だろ」


軽く言うが目は真剣。


カイトも笑う。


「だな」


その時、扉の外に気配。


二人とも気づく。


空気が変わる。


扉が開くとエヴァが入ってくる。


無表情。


だが、目だけが鋭い。


「……何をしている」


低い声。


レンとカイトは、一瞬だけ目を合わせる。


答えは決まっている。


レンが前に出る。


「相談だよ」


軽く言う。


エヴァは動かない。


「内容は?」


レンは肩をすくめる。


「機密」


数秒の重い沈黙。


そして、エヴァが言う。


「排除作戦は再開される。準備しろ」


レンは、一瞬だけ迷うが、もう決めている。


「……断る」


静かに言う。


空気が凍る。


エヴァの目がわずかに細くなる。


「理由は」


レンは答える。


「助ける。それだけ。」


エヴァが一歩踏み出す。


「それは命令違反だ」


レンも動かない。


「知ってる。でもやる」


緊張が張り詰める。


今にも衝突しそうな空気。


その時、カイトが言う。


「巻き込む気はねえよ」


エヴァを見る。


「これは俺らの問題だ」


エヴァはカイトを見つめる。


何かを測るように。


そして、小さく言う。


「……愚かだ」


それ以上は言わずに、背を向ける。


「結果に責任を持て」


言い残して出ていく。


レンが息を吐く。


「……見逃したな」


カイトが小さく笑う。


「だな」


二人の間の空気が少しだけ緩む。


そして、カイトが言う。


「これで共犯だな」


レンが笑う。


「最初からそのつもりだ」


その言葉で全部決まる。


もう戻れない。


正しさの外側。


それでも、進む。

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