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俺の書いたキャラが現れた。そいつを消さないと世界が終わるらしい。―グロキシニアの凱旋  作者: ひろほね
第三章:再開と亀裂

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第十五話:選択

鼓動が、加速する。


ドクン、ドクン、ドクン――


リアクター中枢。


巨大な歪みが、形を成していく。


人でも、獣でもない。


ただ、“感情の塊”。


怒り。


悲しみ。


恐怖。


全部が、混ざっている。


「……来るぞ!」


レンが叫ぶと同時に踏み込む。


レゾナンスブレードが閃く。


だが、弾かれる。


「チッ……硬え!」


エヴァが即座に射撃。


レゾナンスシューター。


連続射撃。


だが、効きが浅い。


『密度が高すぎる!』


デイジーの声。


『このままじゃ削りきれない!』


ファリンが前に出る。


圧が変わる。


「なら、核を狙う」


短く言う。


だが歪みは変形する。


攻撃を読んでいる。


カイトは、動けない。


ノートを開いたまま、固まっている。


選択。


壊すのか。


止めるのか。


流すのか。


その時。


「……カイト」


デイジーの声。


「まだ手がある」


カイトが振り向く。


「……何だよ」


デイジーが指を指す。


中枢の周囲。


ドーナッツのようなリング状の装置。


淡く光っている。


「ターミナル」


短く言う。


カイトが眉をひそめる。


「……何だそれ」


デイジーが早口で説明する。


「正式名称、コア・シンクロニクス・ターミナル」


「感情を流すための“出口”」


カイトの目が変わる。


「出口……?」


「そう」


デイジーは続ける。


「リアクターは“貯める”装置。でもそれだけじゃ回らない」


「本来は――」


指を立てる。


「ターミナルで外に流して、世界と同期させる」


空間を指す。


「感情を循環させる仕組み」


カイトの中で、全てが繋がる。


「……じゃあ今は?」


デイジーは歯を食いしばる。


「止められてる、ほぼ全部」


リアクターを見る。


溜まり続ける感情。


出口がない。


だから歪む。


「……ふざけてる」


カイトが呟く。


アルトの声が入る。


『非効率な流出は制限している』


冷静に。


『管理下に置いた方が安定する』


カイトが叫ぶ。


「詰まってんだろうが!!」


アルトは淡々と返す。


『問題は発生していない』


その言葉に、ユウリが震える。


「……嘘」


小さく言う。


腕のヒビが、強く光る。


「全部、来てる。流れてない」


その声は、限界だった。


カイトが決める。


「……開ける」


全員が見る。


「ターミナルを開ける」


デイジーが即座に反応する。


「できる」


「でも――」


一瞬の間。


「一気に流れる」


「制御しないと、暴発する」


レンが叫ぶ。


「だったらどうすんだ!」


カイトはノートを見る。


白いページ。


まだ、何も決まっていない。


「……書く」


小さく言う。


「流れを指定する」


デイジーの目が見開く。


「……できるの?」


カイトは少しだけ笑う。


「やるしかねえだろ」


ペンを握る。


震えは、もうない。


エヴァが言う。


「作戦を整理する」


全員が意識を向ける。


「ターミナルを開放。同時に、流れを制御」


「前衛は時間を稼ぐ」


レンが頷く。


「任せろ」


ファリンも静かに構える。


「外さない」


ユウリがカイトを見る。


不安と、信頼。


混ざっている。


「……いける?」


カイトは一瞬だけ黙る。


そして、言う。


「分かんねえ」


正直に。


「でも」


ノートを開く。


「これしかねえ」


その時、歪みが動く。


巨大な腕が振り下ろされる。


レンが受ける。


「ぐっ……!」


押される。


「早くしろ!!」


叫び。


カイトは書く。


“ターミナルは開放され、感情は均等に分散し流れる”


発動。


空間が、震える。


ターミナルが、一斉に光る。


ドォン!!


音が響く。


リアクターから、光が溢れる。


流れる。


溜まっていた感情が、一気に。


歪みが、崩れる。


形を保てない。


レンが踏み込む。


「今だ!」


ファリンも動く。


完璧な連携。


核を捉える。


エヴァが撃つ。


正確に内部を貫く。


崩壊。


消滅。


静寂。


だがカイトが崩れる。


「……っ」


視界が、歪む。


世界が遠い。


デイジーの声。


『負荷限界!!』


『ズレが深刻!!』


ユウリが支える。


「カイト!」


カイトはかすかに笑う。


「……流れたな」


小さく言う。


リアクターを見る。


さっきまでの重さが、消えている。


確かに、回っている。


だが。


ユウリの腕。


ヒビは止まっていない。


むしろ、さらに広がっている。


カイトの目が見開く。


「……なんでだよ」


デイジーが呟く。


「……分散しただけじゃ、足りない」


重い事実。


エヴァが言う。


「根本が残っている」


アルトの声が再び響く。


『無駄な足掻きだ』


『いずれ崩壊する』


カイトはノートを強く握る。


「……まだ終わってねえ」


小さく言う。


だが、確信はある。


これは、正解の一部だ。


でも、まだ足りない。

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