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俺の書いたキャラが現れた。そいつを消さないと世界が終わるらしい。―グロキシニアの凱旋  作者: ひろほね
第三章:再開と亀裂

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第十四話:心臓部

重い音が、響いていた。


ゴォン……ゴォン……


まるで、心臓の鼓動のように。


中枢ライン最深部。


巨大な空間が広がる。


その中心に“それ”はあった。


球体。


青く光っている。


無数の光が、内側で渦巻いて揺れている。


叫んでいるようにも見える。


「……これが」


カイトが呟く。


デイジーの声が震える。


『リアクター中枢……間違いない』


ユウリが一歩前に出る。


腕のヒビが、強く光る。


共鳴している。


「……苦しい」


小さく呟く。


レンが歯を食いしばる。


「無理すんな」


ファリンも無言で見つめる。


その表情は硬い。


エヴァが静かに言う。


「解析」


デイジーが即座に反応する。


『波形展開……これは――』


一瞬、言葉が止まる。


『感情、じゃない』


カイトが眉をひそめる。


「は?」


『正確には、“圧縮された感情ログ”』


「ログ……?」


デイジーは続ける。


『誰かのものじゃない』


『全部』


『この世界の、すべての感情』


静寂。


理解が、一瞬遅れる。


カイトの口が開く。


「……それって、人の感情を、全部ここに集めてるってことか?」


『そう』


短い肯定。


重い事実。


ユウリが震える声で言う。


「……流れてない」


その一言で、すべてが繋がる。


溜まって、詰まっている。


だから歪む。


ファリンが低く言う。


「……ふざけてる」


怒りが滲む。


「これじゃ、壊れるに決まってる」


エヴァが静かに言う。


「だが、維持はされている」


事実だけを述べる。


カイトが振り向く。


「これが正しいって言うのか?」


エヴァは一瞬だけ黙る。


そして、答える。


「現状維持としては、な」


冷たい。


だが迷いはない。


その時。


声が響く。


『――ようやく来たか』


全員の動きが止まる。


空間に、ノイズが走る。


そして一人の男の姿が、投影される。


白衣。


整った表情。


感情が薄い。


だが、目だけが異様に鋭い。


「……アルト」


ファリンが低く言う。


男――アルトは微笑む。


『歓迎しよう』


『ここが、この世界の心臓だ』


カイトが睨む。


「てめえがやったのか」


アルトは首を傾げる。


『“やった”とは?』


『最適化しただけだ』


その言葉に、カイトの中で怒りが膨らむ。


「感情全部詰め込んで、何が最適だ!」


アルトは静かに答える。


『分散させると、不安定になる』


『偏りが生まれる』


『歪みが発生する』


『ならば――』


一瞬の間。


『一箇所に集め、制御する』


合理的。完全に。


だが、ユウリが言う。


「……流れてない」


アルトの視線が向く。


初めて、少しだけ興味を示す。


『均衡装置か』


「それが、問題」


ユウリは言う。


「流れないと、壊れる」


アルトは少しだけ考える。


そして、小さく笑う。


『壊れないようにしている』


リアクターを見る。


『こうしてな』


カイトが言う。


「それ、無理やり止めてるだけだろ」


アルトは否定しない。


『そうだ』


あっさりと。


『だが問題はない』


『人は感情に振り回される』


『非効率だ』


『ならば排除するべきだ』


エヴァの表情が、わずかに動く。


ほんの少しだけ。


カイトが叫ぶ。


「それで人が人でいられるかよ!!」


アルトは首を傾げる。


『その必要があるのか?』


沈黙。


完全に、価値観が違う。


ファリンが一歩前に出る。


「……だから止める」


低く言う。


レンも構える。


「ぶっ壊すしかねえな」


ユウリがリアクターを見る。


ヒビが、強く光る。


カイトはノートを握る。


ここで、決める。


止めるか、流すか、壊すか。


「……」


ペンを持つ手が震える。


だが、止まらない。


「俺は――」


書こうとした瞬間。


リアクターが、大きく脈打つ。


ドクン!!


空間が歪む。


巨大な歪みが、生まれる。


今までで、最大。


「……来るぞ!」


レンが叫ぶ。


エヴァが銃を構える。


ファリンも動く。


ユウリのヒビが、限界まで広がる。


カイトはノートを開いたまま、止まる。


選択。


ここで、すべてが変わる。

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