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俺の書いたキャラが現れた。そいつを消さないと世界が終わるらしい。―グロキシニアの凱旋  作者: ひろほね
第二章:均衡装置

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第十二話:分岐する物語

リアクターの音が、いつもより重く聞こえた。


低く、脈打つような振動。


本部全体が、わずかに揺れている。


「……不安定だね」


デイジーが端末を見ながら言う。


波形は乱れている。


綺麗に循環していたはずの流れが、今はどこかで詰まっている。


カイトはそれを見つめる。


「……流れてない」


小さく呟く。


ユウリの言葉。


全部、受けている。


それが限界に近づいている。


「じゃあ、やるの?」


デイジーがちらりと見る。


カイトは少しだけ黙る。


ノートを見る。


書けば、変わる。


でも、代償はある。


「……試すだけだ」


短く言う。


その時、警報。


鋭く、強く。


『高密度歪み、発生』


『位置、中枢ライン直上』


全員の表情が変わる。


「……来たか」


レンが立ち上がる。


エヴァもすでに動いている。


「出る」


全員が従う。


中枢ライン上部。


空間が歪んでいる。


まるで、ねじ曲がっているように。


その中心。


歪みが、“形”を持っている。


人のような、影。


だが、顔はない。


「……なんだあれ」


カイトが呟く。


デイジーの声。


『感情凝縮体……レベルが違う』


『一箇所に集まりすぎてる』


レンがブレードを構える。


「斬るぞ」


踏み込む。


だが、止まる。


歪みが、“反応”する。


レンの動きに合わせて、形を変える。


避ける。


「……読まれてる?」


レンが距離を取る。


エヴァが銃を構える。


狙う。


撃つ。


光弾。


だが、それも逸らされる。


「適応してる」


デイジーが言う。


「流れを読んでる」


カイトの中で、何かが繋がる。


「……流れてるからか」


ユウリが小さく言う。


「強い感情、止まってない」


だから、歪みとして完成している。


カイトはノートを開く。


「……なら」


ペンを握る。


今までとは違う。


“止める”じゃない。“流す”。


深く息を吸う。


書く。


“敵の感情は、二つに分岐し、別方向へ流れる”


発動。


一瞬、空間が揺れる。


歪みが、ぶれる。


形が崩れる。


左右に、引き裂かれるように。


「今だ!」


レンが踏み込む。


一閃。


だが、止まる。


完全には崩れていない。


歪みが、無理やり形を保つ。


「……足りねえ!」


レンが叫ぶ。


エヴァが即座に判断する。


「追加固定、一秒」


カイトを見る。


一瞬の判断。


ユウリのヒビ。


限界。


だが、このままじゃ終わらない。


「……クソ!」


書く。


“敵は、一秒間、動きを止める”


発動。


止まる。一秒。


エヴァが撃つ。


連続。


正確無比。


内部に当たる。


共鳴。


レンが斬る。


核を、断つ。


崩壊。


完全消滅。


静寂。


だが、カイトはその場で膝をつく。


「……っ」


頭が揺れ、視界がブレる。


「おい!」


レンが声をかける。


カイトの耳には、遠く聞こえる。


ノートの文字が、滲んでいる。


「……ズレてる」


小さく呟く。


現実が、少しだけ遠い。


デイジーの声。


『負荷過多!』


『分岐処理と固定の同時使用……やりすぎ!』


ユウリがカイトに手を伸ばす。


「大丈夫?」


カイトはなんとか顔を上げる。


「……平気じゃねえな」


苦笑する。


その視線が、ユウリの腕に止まる。


ヒビ。


さらに、広がっている。


確実に。


「……やっぱりか」


小さく呟く。


エヴァが近づく。


カイトを見る。


数秒。


何かを測るように。


そして、言う。


「使い方は間違っていない」


意外な言葉。


カイトが目を上げる。


「……マジかよ」


エヴァは続ける。


「だが未完成だ。精度が足りず、負荷が分散できていない」


的確だった。


デイジーも頷く。


「うん、方向性は正解。でも今のままだと潰れる」


カイトはノートを見る。


書いた一文。


分岐。


確かに、変わった。


だが、足りない。


「……もう少しだな」


小さく呟く。


ユウリがその言葉を聞く。


少しだけ、安心したように。


でも、ヒビは止まらない。


遠くで、リアクターの振動がさらに強くなる。


まるで、限界が近いことを告げるように。

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