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東京2038  作者: たくたく
第一章
7/18

堂田財閥

湾岸道路。

東京湾を横目に、大型トラックと黒いセダンが並走していた。

荒木巧はアクセルを踏み込み、ついにトラックの真横へ到達する。


「捕まえた……!」


その瞬間。

助手席側から火花が散った。


バンッ! バンッ!


「ッ!」


今坂優斗が、残弾わずかな拳銃で荒木の窓へ発砲していた。

弾丸がガラスへ突き刺さり、蜘蛛の巣状の亀裂が広がる。


だが荒木は怯まない。


逆にさらに距離を詰める。

今坂は震える手で再び引き金を引いた。


カチッ。


乾いた音。


「……終わった」


弾切れだった。


「マジかよぉぉぉ!!」


今坂が叫ぶ。


その時。


上空から、重低音が響き始めた。


ボボボボボボボ――――!!


全員が反射的に空を見る。

巨大な影。

大型ヘリコプター。


異様なほど大型の輸送ヘリが、夜空を覆うようにトラック上空へ接近していた。


「……は?」


吉田和樹が目を見開く。


ヘリ後部ハッチが開く。


次の瞬間。


ワイヤーが射出された。


ガシュン!!


自動制御されたフックが、巨大金庫の端に付いていた突起部分へ正確に接続される。


「なっ――」


神崎玲子の顔色が変わった。


ヘリが上昇。


ギギギギギ……!!


荷台全体が浮き上がる。

固定ワイヤーが悲鳴を上げ始めた。

吉田が即座に叫ぶ。


「荷台捨てるぞ!!」


「はぁ!?」


「早くしろ!!」


次の瞬間。


ブチィィィィッ!!!


荷台固定用ワイヤーが限界を迎え、引きちぎれた。

巨大な荷台が宙へ浮き、その直後。


ドゴォォォォン!!


道路へ激突。


衝撃でアスファルトが砕け、火花と破片が飛び散る。


「うわぁぁぁ!!」


神崎、今坂、戸川の三人は衝撃で吹き飛ばされ、その場へ叩きつけられた。


トラック本体も大きく傾く。


だが吉田は冷静だった。

彼は窓から手信号を送る。


「離れろ!!」


神崎が即座に理解する。


「全員、横につけ!!」


三人は急いで荷台から飛び降り、走行中のトラック側面へしがみついた。


直後。


荷台部分が完全に分離。

トラック本体だけが軽量化された状態で急加速する。

後方の警察車両では混乱が起きていた。


「な、なんだあれ!?」


「ヘリだと!?」


「どこの部隊だ!?」


伊藤勇作も動揺を隠せない。


「おいおい……冗談だろ」


助手席の水野相馬は、呆然と空を見上げていた。


巨大ヘリ。

異常な装備。

軍用レベルの精密作業。


そして機体側部に描かれていたマーク。


堂田財閥


水野の顔色が変わる。


「……財閥直属部隊」


その瞬間。


無線が激しく鳴った。


『こちら本部!!』


焦った声。


『堂田財閥が動き出した!!』


ノイズ。


怒号。


『作戦中止!! 繰り返す!! 作戦中止だ!!』


伊藤が目を見開く。


「はぁ!?」


『全車両撤退しろ!! 現場から離脱――』


通信が乱れる。


一方。


黒いセダン車内。


荒木巧の無線も鳴り始めていた。


『荒木!! 聞こえるか!!』


いつもの落ち着いた声ではない。


事務所側も動揺していた。


荒木は、空中へ吊り上げられていく巨大金庫を見つめながら無線機を握る。


「堂田財閥...どうしてここに...?」


彼の目が鋭く細められる。

無線の向こうで男が叫んだ。


『もう追うな!! 相手が悪すぎる!!』


だが。

荒木はアクセルから足を離さなかった。


前方。


荷台を切り離し、なお逃走を続ける革命軍のトラック。


上空。


財閥直属ヘリ。


そして後方では撤退を始める警察車両。

東京最大級の権力が、ついに表舞台へ現れ始めていた。

見てくださった皆様、本当にありがとうございますm(__)m

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