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東京2038  作者: たくたく
第一章
5/18

民間刑事・革命軍・警視庁2.5

港区・日の出埠頭。

海沿いの巨大倉庫群を、大型トラックが爆音を響かせながら走り抜けていく。

荷台の巨大金庫は固定具が半ば壊れ、激しく揺れていた。火花を散らしながら道路を削り、その後方を黒いセダンが執拗に追跡している。


運転席。

荒木巧は、前方のトラックを睨みながらハンドルを握っていた。

ここまで来る間に、民間側の追跡車両はほぼ壊滅。

残っているのは自分だけ。


それでも荒木は、確実に相手を追い込んでいた。


「……もう少しで芝浦埠頭か」


その時だった。

無線からノイズが走る。


『荒木、少し状況がまずくなってる』


聞き慣れた事務所の男の声。

荒木は片手で無線機を掴む。


「どうした」

『警視庁が動いてる可能性が高い』

「え...」


『23区全域で警察の動きが急激に活発化してる。検問も増えてる。どうやら本腰入れてきやがった』

荒木は無言になる。

嫌な予感がした。


警視庁と東京保安庁。

両組織は表向き協力関係だが、現場では縄張り争いが絶えない。

そこへ民間刑事まで混ざれば、状況は最悪になる。


「……面倒だな」


荒木が小さく呟いた、その直後だった。


前方。


芝浦埠頭へ続く交差点。

そこに――。

赤色灯。

何台ものパトカーが道路を封鎖していた。


「ッ!?」


荒木の目が見開かれる。

同時に、トラック側でも異変に気づいていた。


「前ぇぇぇぇ!!」


戸川が叫ぶ。


運転席の吉田和樹が舌打ちした。


「チッ、警視庁か!!」


交差点目前。


普通なら減速が必要な速度。

だが吉田はブレーキを踏まない。


「掴まってろ!!」


ハンドルを強引に切る。

大型トラックが悲鳴のようなタイヤ音を響かせ、交差点を急カーブ。


横転寸前の状態で右方向へ突っ込んだ。


荷台の金庫が大きく傾く。


「うわぁぁぁ!!」


今坂と戸川が悲鳴を上げる。


神崎は荷台へしがみつきながら怒鳴った。


「あんた運転荒すぎんのよ!!」

「今さら言うな!!」


トラックはなんとか横転を免れ、そのまま別ルートへ逃走を開始する。


後方。


荒木も即座に反応した。


「逃がすかッ!!」


黒いセダンが急旋回。

タイヤが白煙を上げながらトラックを追う。

だが、そのさらに後方から――。


ウゥゥゥゥゥン!!


新たなサイレン音が接近していた。

警視庁のパトカー三台。

赤色灯を回転させながら、猛スピードで追跡に加わる。


その先頭車両。

運転席では伊藤勇作がハンドルを握っていた。


「いたぞ!! トラック確認!!」


助手席。

水野相馬が冷静に前方を見据える。


「前にいる赤色灯の付いた黒いセダン……民間刑事か」


「保安庁側の犬かもしれねぇな」


伊藤が吐き捨てる。


だが水野は小さく首を振った。


「いや……単独でここまで追ってる」


水野の目が細くなる。


「明らかに普通じゃないだろ...」


前方では。


革命軍の大型トラック。


民間刑事・荒木巧。


そして警視庁。


三つの勢力が、深夜の芝浦エリアで激突しようとしていた。

その時。

神崎玲子が、トラック荷台から後方を見た。


「……増えたわね」


黒いセダン。


警視庁のパトカー群。

そしてさらに遠く。

別方向からも赤色灯が接近している。


東京全体が、この事件へ飲み込まれ始めていた。

見てくださった皆様、本当にありがとうございますm(__)m

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