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東京2038  作者: たくたく
第一章
12/18

自警団2

首都高速湾岸線。

東京湾沿いを、一台の大型トラックが静かに走っていた。

外見だけ見れば、どこにでもいる物流車両。


だが、その内部には。


堂田財閥を揺るがしかねない資料を盗み出した“東京自警団第4部隊”の姿があった。

運転席。

ハンドルを握る井上宗平が、前方の道路を見据えている。

助手席には和田修一。


後部荷台では、飯田順平、村上新之助、渡辺小百合、村上直美の四人が、奪取した資料をコンテナケースから次々と取り出していた。


荷台の天井灯だけが薄暗く揺れている。

飯田が笑いながら言った。


「いやぁ、それにしても……」


「よく成功したよな、あの作戦」


村上新之助も苦笑する。


「ほんとですよ」

「財閥の市場施設なんて、絶対要塞化されてると思ってましたし」


すると渡辺小百合が資料をめくりながら口を開く。


「まさか改造ドローン一機で突破できるとはね」


「しかも数分で終わったし」


助手席の和田がニヤリと笑った。


「だから言っただろ?」


「義手をドローンに付けたの正解だったって」


井上も小さく笑う。


「正直、俺も成功すると思ってなかった」


今回の作戦。


飯田が改造した小型ドローンへ、簡易人工義手を搭載。

狭い通気ダクトから侵入し、防犯システムへ電子妨害をかけた上で、内部ロックを遠隔解除。

そのまま資料だけをピンポイントで奪取した。

普通の犯罪者では到底不可能な作戦だった。


その時。


無線からノイズが走る。


ザザッ――。


和田が無線機を取る。


「こちら和田」


だが聞こえてきたのは、荷台にいる飯田の声だった。


『ちょっと待ってください』

『……やばいの見つけたかもしれない』


空気が変わる。

井上がバックミラー越しに後ろを見る。


「何があった?」


荷台では、飯田が一枚の資料を見つめていた。

その顔から笑みが消えている。


「これ……かなり重要だぞ」


村上直美も資料を覗き込み、目を細めた。


「再開発資料……?」


飯田は頷く。


「過去の再開発地域一覧だ」


「投入金額、土地取得費、政治献金、工事契約先……全部書かれてる」


井上の表情が険しくなる。


「...その資料の内容について詳しく教えろ」


飯田はメモ帳を取り出し、内容を整理しながら言った。


「まず、堂田財閥が過去に行ってきた再開発について詳細記録されてる」


「予算規模、裏契約金額、自治体側との交渉履歴まである」


だが飯田はさらに続けた。


「問題は...このホッチキスで止められたもう一つの資料だ」


荷台の空気が静まり返る。


「資料の右下に、承認印が二つ押されてる」


井上の目が細くなる。


「誰だ」


飯田はゆっくり答えた。


「一つは、堂田財閥社長――堂田末広(どうでんまつひろ)


その名前だけでも十分危険だった。


だが。


飯田はさらに低い声で続ける。


「もう一つが……」


資料を見つめる。


「財務大臣・松田修三(まつだしゅうぞう)


その瞬間。

トラック内部の空気が完全に変わった。

誰もすぐには言葉を出せなかった。


国家中枢。


つまり

堂田財閥の再開発には、日本政府そのものが関与している可能性がある。

井上が静かに呟く。


「……国家規模かよ」


和田が顔をしかめる。


「これ公開したら、日本経済はどうなるんだか...」


渡辺も険しい顔になる。


「だから財閥があそこまで必死だったのね……」


飯田は資料をペラペラとめくった


「しかも、これまだ一部だ」

「他にも暗号化されたデータ媒体がある」


井上は、それを聞いていると


「早めに本隊と合流して、この情報をすぐに保管しよう」


そう言ってトラックは首都高を走り去っていったが

空では財閥直属部隊のヘリや攻撃ドローンが飛び交っていた。

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