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東京2038  作者: たくたく
第一章
10/18

革命軍3

東京湾沿岸地区――。

海風が吹き付ける埋立地の一角に、使われなくなった巨大倉庫群が並んでいた。

表向きは廃棄予定区域。


だが、その内部では、今も複数の人影が動いている。

倉庫の中には大量のコンテナが積み上げられていた。

そして、そのほとんどが内部改装され、小さな居住区画へ変わっている。


簡易ベッド。

発電機。

無線機。

武器ラック。


壁には赤い旗。

そこには牙を剥く“トラ”のマークが描かれていた。

革命軍のシンボルだった。


昼間、銀行強盗を実行した四人も、その倉庫へ戻ってきていた。

コンテナ区画の一室。

狭いベッドへ腰掛けながら、今坂優斗がスマホ画面をぼんやり眺めている。


ニュース速報。


《港区銃撃戦》

《東京保安庁と警視庁が対立か》

《堂田財閥直属ヘリ確認》


今坂はため息を吐いた。

その時。

ガコン――。

コンテナの扉が開く。

外の喧騒が一気に流れ込んできた。


作業音。

笑い声。

どこかで流れる音楽。


だが扉が閉まると、再び静寂が戻る。


入ってきたのは戸川和則だった。

両手には、段ボール箱。


しかも中身は。


「おぉ!?」


今坂が顔を上げる。


「なんだそれ!?」


戸川は少し得意げに笑った。


「コンビニの裏で保管されてたやつ、一式持ってきた」


段ボールの中には缶ビールがぎっしり詰まっている。


今坂の目が輝いた。


「流石だな!!」


彼はすぐ一本取り出す。


プシュッ。


缶を開け、そのまま豪快に飲み始めた。


「っはぁ~~~~……生き返る……」


戸川も笑いながら缶を開ける。

しばらく二人は無言で飲んでいた。

やがて戸川がぽつりと言った。


「……それにしても、金庫奪い損ねちまったな」


今坂の動きが少し止まる。

何口か飲んでから、小さく息を吐いた。


「……そうだな」


昼間の光景が脳裏をよぎる。

堂田財閥の大型ヘリ。

圧倒的な装備。


あれは完全に別格だった。

今坂は天井を見上げる。


「財閥相手じゃ、俺たちでも手出し出来ねぇよ……」


戸川は苦笑した。


「吉田先輩、結構悔しそうだったぞ」


「まぁなぁ……」


今坂が笑う。


「神崎さんなんて、“中の資金だけでも欲しかったぁ!!”ってずっと言ってたし」

「あの人、途中から完全に金の話しかしてなかったよな」

「革命軍なのに夢が生々しいんだよ」


二人は少し笑った。


だが、その笑いには疲労も混じっている。

警察。

民間刑事。

保安庁。


さらに最後には財閥。


あまりにも相手が大きすぎた。


今坂は豆電球をぼんやり見つめながら呟く。


「……神崎さんも、結構悔やんでるだろうな」


その頃。

少し離れた別コンテナ。

静かな空間の中で、吉田和樹が黙々と銃器整備を行っていた。


拳銃を分解。

汚れを拭き取る。

弾倉確認。


いつものルーティン。

コンテナ内には金属音だけが響いていた。

だが。


ガンッ!!


突然、扉が勢いよく開いた。


「吉田ぁぁぁぁぁぁ!!!」


酒臭い声。


吉田が顔を上げる。

そこに立っていたのは――。

顔を真っ赤にした神崎玲子だった。


完全に酔っていた。


片手には酒瓶。

足元はフラフラ。

吉田が嫌そうな顔をする。


「……うわ、来た」


神崎はそのままコンテナ内へ入ってくる。


「ねぇぇぇぇ!!」

「なんで逃げ切れなかったのよぉぉぉ!!」


「俺のせい!?」


吉田が即座にツッコむ。

神崎は机へ突っ伏した。


「あとちょっとで億万長者だったのにぃ……」

「革命軍のリーダーが言うセリフじゃねぇよ……」


吉田は頭を抱える。

その頃、外では。

東京湾の夜空を、一機の監視ドローンが静かに飛行していた。

見てくださった皆様、本当にありがとうございますm(__)m

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