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ミチアナ  作者: Hekuto


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第7話

 修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。



「よし、袋二ついっぱいになったな」


 嫌なものを見て気分は悪いけど、それに反してラディッシュは良く見つかった。この辺りは野菜採りが少ないのかもしれない。近くにベリーの樹が集まっている所為で企業の人間も多いし、しょうがないのかもしれないな。


「……あれからウヅラも出なかったけど、あのウヅラは三層からわざわざ連れて来たのか?」


 わざわざ三層から引き連れて来たのだとしたら、確信犯すぎて反吐が出る。だめだな、どうしてもああいうタイプの人間を見てると昔の事を思い出して心が荒んで行く。どうして周りの事を考えられないのか、少しでも考えたら出来ないだろうに。


 それとも知らなかかったとか? イヤイヤ流石にそれはないよな。


「普通に犯罪だと知らない? 知らんもんかね?」


 ローカーのルールにも普通の刑法にも違反してるし、あれをなすりつける時点で殺意有りとなるだろうし、事故でも罰はそれなりに重くなるはずだ。被害が出れば、死刑とまではいかなくても刑務所で強制労働刑になるだろうな。


「……念のために遠回りして帰ろう」


 事前にマップにはマーキングを打っておいたから大体の場所は分かるけど、これはずいぶん遠回りになるぞ? 暗くなる前に帰るつもりだったのに……。


「あれ? めずらしい、水汲みのおじさんも釣りなの?」


 騒がしいベリーの樹周辺を大きく回りたっぷり時間をかけて一層に戻ってくると、途中の水辺でおじさんが二人座っていた。片方は一層で途方に暮れていたサカナおじさんで、もう一人は麦わら帽子を被る水汲みのおじさん。


 名前の通りダンジョン水をこよなく愛するあまり、毎日早朝から水を汲みにダンジョン通いをするおじさんだ。


「んお? おお! 坊主じゃないか、生きてたか」


「ひどくない?」


 いきなりな挨拶である。


 その禿げあがった頭を晒してやろうかな? 知ってるんだぞ? 昔はカツラで隠していたけど、蒸れて最後の一本まで抜けそうだと判断して麦わら帽子に変えたという事を、俺はサカナおじさんから聞いたから詳しいんだ。


「はっはっは」


 俺の返答に元氣よく笑うおじさんは、隣の全身茶色に黒の釣り用ベストを着た地味な服装のサカナおじさんと違い、ハーフパンツに色鮮やかなアロハを着て陽キャの空気を振り撒いている。首にはゴールドのネックレスに、肌は移民船の人間にしては珍しく真っ黒こげだ。


 暗闇で笑ったら歯と目だけが浮き上がって見えそうである。


「お前さんのスキルで下に潜るなら心配もするさ! なぁ?」


「そうだな、大人しく魚釣って生計立てとけ、な?」


 この二人はたまに一緒にいるし、昔話でお互いの黒歴史を俺に教えて来るので長い付き合いなのだろう。そのコンビネーションで俺の進路を変更させようとしないでもらいたい。俺だってこんなだけど目標と言う物はあるのだ。魚釣り同好会とかもってのほかである。


「そりゃ無茶だ! 俺でも釣れねぇのによ」


 どうやら糸を垂らしてはいるようだが、水汲みおじさんは坊主のようだ。元から坊主みたいなものだけど、これを言ったら確実に拳骨が降ってくるので、賢い冬道はお口にチャックをします。


「お前さんよりは才能あるだろ? なんせ若いんだからな!」


「誰が爺だ! おめぇの方が歳上だろ!」


 そうなのか……二人とも立派におじさんだけど、サカナおじさんの方が年上であるらしい。うん、どうでもいい知識がまた一つ増えてしまった。


「二歳差で若者面してんでねえ!」


 それは確かに……もうそれってほぼ同い年なのではないだろうか? 口論が始まったのでこのまま帰ってもいいのだが、ここで帰ると次に会った時がめんどくさいのがこの二人である。なのでもう少し付き合う。


 この塩梅を覚えたのも、正直いらない知識だと思います。


「……今日は二人で飲むんです?」


 この二人が一緒の時はだいたい飲みの時である。


「ああ、良いD湧水見つけたんでな」


「おうよ、魚つつきながら水割りか、ロックでもいいな? 坊主も来るか?」


「いや、俺はお酒そんなに好きじゃないんで」


 お酒は良くわからない。潰れた会社に勤めていたころに、成人祝いで飲みに連れていかれたけど、あまりおいしいものだとは思わなかった。次の日は頭痛いし、お腹痛いし、仕事休めないし、俺としては飲まなくても良いものだ。


 もしかしたら美味しい酒や飲み方もあるのかもしれないけど、そんな経験はない。ダンジョン水で割ったりすると美味しくなるのだろうか、二日酔いにならないとかなら、もう一度試してみてもいいかもしれないな。


「アルハラか老害?」


「ぶっ殺すぞ!」


 二度目の喧嘩が勃発した。これも何かのハラスメントに該当するんじゃないだろうか? でもとりあえず二回目の喧嘩が始まりそうなので、ここで退散できそうだ。


「やってみろい!」


「ほどほどに……」


 竿を放り出して掴み合う二人に小さく頭を下げて後退り、何事もなかったように歩き出せば急に声が止まる。


「おう! 坊主も気を付けろ? さっきウヅラトレインした馬鹿が警察に捕まってたからな!」


「警察の世話になるなよ! こいつみたいにな!」


「ああ!?」


 大きな声である。心配してくれるのはありがたいのだが、距離が離れているのに耳が痛いほどでかい声だ。あの年齢層は標準で大声のスキルでも持っているのだろうか、あと普通に殴り合ってるし、よくわからん。


「……あの二人仲良いんだか悪いんだかわかんないなー?」


 喧嘩するほど仲がいいとは言うけど、きっとそんな事言ったらこっちに飛び火してくるだろう。だから賢い冬道さんは、ささっと足早に帰るのです。


 まてよ? なんでおじさん達が知ってるんだ? 警察に捕まったなら海苔巻きドローン搬送だろう。


「……あれ? もしかしてヤヴァイんじゃないか? おじさん達が知ってるって事は、一層まで連れて来たのか?」


 それは不味い、非常に不味い。おじさん達が何でもないように話してたから、大丈夫なのではないかと思う所であるが、万が一にでも一層までウヅラを連れて来たとなるとだいぶ話が変わってくる。


「受付さんなら知ってるはずだよね」


 こういう時は受付さん、聞けばなんでも答えてくれる最強AIである。何でも知ってるんですねと言えば、知ってる事だけ知っていると答えてくれる粋まで持ち合わせてる受付さんだ。きっと教えてくれるだろう。





<すみません、その件に関してはまだ調査中でして>


「調査中?」


 そうでも無かった。


 でも調査中ってどういう事だろう? ドローンで監視していたなら、もうだいたい調査も終わってそうなものだけど。


<実行犯の証言があいまいで、一層までウヅラが侵入したかどうか微妙なラインなんです>


 微妙らしい。そこを確定しないと大きな違いがあるからな、確かに調査が必要であろう。


 モンスターの階層上がりと言うのは割かしある話で、深い階層になるほど増えてくる。しかし一層に関しては話が別で、異変以外で一層への階層上がりは基本的にありえない。なぜならダンジョンと言う物がそれを嫌い、その影響下にあると思われているモンスターも、一層に上がる事を嫌うからだ。


 そしてそれがもし起きると、必ず一層を巻き込む形で異変が起きる。


「監視カメラは?」


 でも一層や二層は監視カメラが多いので、見逃すというのも考え辛い。


<ウヅラを三層から連れて来たローカーの三人が、逃げるために煙玉を大量に使ったようで、重要な所だけ何も映っていませんでした>


 それは確かに見えなくなるな。ローカーの使う煙玉はダンジョン産の材料を使っているので大変効果が良く、大量に巻かれたら伸ばした手の先も見えなくなる可能性がある。


「ウヅラはどこに?」


 でもウヅラの痕跡を追えば調査は可能なはずだ。


<ベリーを占有していた企業所属の皆さんが、ウヅラも犯人グループも一緒に倒してしまいましたので、ただウヅラを倒したのがギリギリ二階層で、判断が難しいのです。空間の歪みも起きてはいますが基準に至っておらず……>


「微妙なラインですね……」


 一層から二層に降りる階段は二層扱いであり、そこまでなら急激なダンジョンの不安定化も起きないけど、階段を出て一層に一歩でも足が出たら異変発生は確定である。たとえそこでウヅラが倒されようと、関係はない。


 しかし、そうなると階段にまで煙玉を巻いたのかあの四人組、流石に頭が正常か疑わないといけないレベルだろう。そして企業ローカーの怒り具合が良くわかる状況だな、ベリーの警備をほっぽり出してまで犯人を追いかけたんだろうな。


 もしくはウヅラを引き連れて一層に上がる事の危険性から、企業の仕事よりローカーとしての仕事を優先したかだが、あの優良企業ローカーならやってくれそうだ。



 いかがでしたでしょうか?


 後先考えず走り抜けるのは若者の特権と言いますが、限度を知らないのはタダの馬鹿者と言われますよね。


 目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー

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