第14話
修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。
「今日はこっちに置き配されてる。この辺の登録どうなってるんだろう」
自宅に帰るといつも使う奥のドアじゃない隣のドア前に定期支給が置いてある。一応住所はいつも使うドアの方になってるはずなんだけど、何回かに一回は隣に置き配されてしまうのだ。
原因は不明だけど、俺が住む前に起きた事故の処理で何か可笑しなことになってるんじゃないだろうか。そんなに困らないから良いけど、ちょっとだけ面倒だ。特に疲れて帰って来た時は、余計にめんどくさく感じる。
「ただいまーっと」
返ってくる声はないけど、なんとなく言ってしまう。施設に居た頃は毎回必ず言っていたし、お帰りも日に何度も口にしていたから、なんとなく気持ち悪いのかもしれない。自分でもよくわからない。
届いたのはベーシックインカムで支給される食品だけど、重たくて持てなくなるほどの物は入っていない。軽いから中に入れるのも苦労しないけど、もう少し食料を入れてくれてもいいと思う。
「ゴミが溜まって来たな……片付けしないと」
いつもの事なのでちゃちゃっと箱を開けて、中身を出してしまえば気になるのがプラスチックの段ボール箱。箱も含めて支給品なので好きにしてもいいのだが、回収してくれるわけじゃないので少し面倒に感じる。
「中身は、いつもと変わらないか……ウェアもたまって来たし捨てないといけないな」
さらに溜まってくるのがウェア、最低限の肌着セットだ。艦内衛生とかの関係で定期的に支給されるんだけど、聞いた話によるとこのウェアを使っているのは人口の半分以下で、女性に至ってはほとんど使ってないのだとか。
なら配るなと言う声もあるけど、平等にする必要がある関係上仕方ないらしい。俺は使ってるけど、それでも消費より支給量の方が多く、着てない新品が余ってしまいどんどん溜まっていき、最後は仕方なくゴミになる。ダンジョンがなければこれも成り立たないだろうな。
「回収頼むと高いけど、ここまで溜まるとそっちの方が楽だよなぁ」
ゴミ収集は2パターンで行政か企業、無料か有料なら誰だって無料を頼むところだろうけど、一般ごみとは別に大量のゴミを行政に頼むと、時間がかかる上に対面でしか引き渡しが出来ないし、さらに分別もやっておかなければいけないので結構面倒なのだ。行政は専用のゴミ袋も買ってこないといけないし、ゴミが溜まってくると有料でも便利で楽な企業の方に頼む人は少なくない。
「どこのゴミ回収に頼むかな、今日はいっぱい稼げたし早楽な会社にするか」
いつもなら少しでも安いところを探すところだけど、今日は懐が温かいので優良店を探す。ランキング検索で一番上、の一つ下にあるリサイクルのスグ屋に決める。一番上はランキングをお金で買っている罠企業なので注意が必要だ。
俺は一回引っかかって余計なお金を払う羽目になった。
「ついでに……」
先月話題になったアプリを開く。その名も簡易HBD、ターミナルと同じような生体チェックが出来ると言うアプリの予定で作られたらしいけど、実際は登録者の行動データから、ダンジョン内におけるレベルの上昇を計算するアプリである。
精度はそんなに良くないと言う話ではあるけど、大きく成長している場合の判定は割と正しいそうだ。なので、このアプリをスマホに入れてダンジョンに入っていれば、アプリが成長具合を教えてくれるので、ターミナル利用の指針になるということらしい。
「変化なし、緑ウヅラとちょっと戦ったくらいじゃ何も変わらんね」
駄目でした。緑ウヅラと言う初体験によるレベルアップを期待したわけなんだけど、簡易HBDの判定は変化なし。ダンジョンでの初遭遇や困難な状況での行動は成長に大きく影響すると言う話だけど、まだまだこのくらいの困難では足りないか。
そっとアプリを閉じて他のアプリもチェックしていく、ローカーになってから関連アプリをいろいろと試しているので、最近スマホの画面がごちゃごちゃしてきた。そろそろこっちの掃除もしないといけない。別に片付けられない系男子ではないのだが、ちょっと放置するとあれやこれや増えてしまうのは昔から変わらない。
ん? それが片付けられない系か? いやいや、そんなことはないはずだ。
「お! 」
少しは整理しようと指が振れて誤タップしたアプリが開くと、くす玉が天井から降りてくる演出が入る。これは目的貯金アプリの演出だ。
「目的貯金がもう少しで貯まるじゃないか、設定低めでも2年以上貯めたら何とかなるもんだな」
昔から何か欲しくなるたびに使っているアプリで、完了するとこのくす玉が割れる演出が見れる。銀行に入金されるお金から毎回少しずつ貯金するシステムなのだが、残り金額は2000円、塵も積もれば意外と何とかなるものだ。
「どうしよう、前倒し入金もありか」
ありと言えばあり、この貯金はローカーとしての俺の能力を補助してくれるだろう機械の購入費である。ただ、確証はない。俺のスキルがどういう風に役に立つのか調べるための物でもある。
元々は武器購入費として積み立てていたお金であるが、資質とスキルの傾向から購入予定品が変わったのだ。色々考えた結果でもある。買ったとしても無駄にはならないと思って購入をきめたものの、心のどこかで抵抗があって、少額積み立てを設定……なのにまだ悩む。
「どっちだ。どっちがいい?」
もし何の意味もない結果に終わったとしても、全く使えないわけではない。全く使えないわけではないけど、購入出来ると言う状況を前に悩んでしまうのは貧乏性と言うやつなのか、どうする。焦る必要は、無い事もない。
「守勢の保険か、攻勢の保険か……」
現在の銀行貯金の金額2200円。
「いや、どのみち買うのは決めてるものだし」
そう、買うつもりだったんだから買うのは問題ない。
しかしここで急ぐのは、いくら今日の稼ぎが良かったからと言って、もし怪我でもしたら、前回同様に治療費が貯金から持っていかれるわけで、そうなると、入ってなかった場合は借金になるわけで、うーん。
「急ぐ必要か……」
急ぐ必要……ランクアップとは言わずとも、その為の貢献度を稼ぐ道筋が欲しい。流石に三年目でこのままではいけないと言う気持ちもある。ローカー三年目と言うが、前の職から言えばもうずいぶんと社会人をやっているのに、いまだに事故物件にしか住めない状況。
あ、いやまぁ、この家は割と気に入ってはいるけど。
「急ぐ必要、あるよな」
あると思うんだ。それが2000円で買える。しかし貯金は残り200円になってしまう。
「……流石に本業三年目で低級のままは、諦めラインだよなぁ……」
結果を出す奴は、1年目で結果を出せるのがローカー。ローカーを本業にしているのなら、尚更だ。三年目でも中級になれないなら、正直結構やばい。本業じゃない副業の人間でも、実力があれば中級になれている頃だ。
焦りがないわけじゃない。
「ここで諦めたらもう生活保護組しか行き場がねぇ」
生活保護が悪いとは言わない。世間体的に偏見があるけど、この船の中でも生活保護を受けて生活している人はそれなりに居る。彼らの活動も、この移民船を運営する上では必要とされているからだ。
でもそこは、俺がやりたい事をする場所ではない。ローカーを選んだ理由だって、ちょっとくらいはある。
「生活の保障と社会奉仕か…………ないないない! 無理! 社会奉仕とか絶対ヤダ!」
今のベーシックインカムに加えて、さらに手厚い保護を受けられるの代わりに、社会奉仕をする必要があるけど、人が苦手な俺には無理である。元々はそんなに苦手じゃなかったと思うけど、やっぱりあの会社でのことがトラウマになっているんだと思う。
「はぁ……」
やるか? スマホをタップ、入金、2000円……あとは、この完了のボタンをタップしたらくす玉が開き、自動的に商品の購入まで完了し、あとは待つだけで物が届く。
「前倒し……2000円、入金」
押してしまった。確かに本当ならもっと早く手に入っていた可能性がある商品、それを前倒し、残高200円では入院とかした場合どう考えてもお金が足りない。
これはこれまで以上に慎重に……慎重、まてまてまて! しまった。
「……ゴミ回収の分入れたら」
<ピンコーン、ゴミ回収ボックスが届きました>
「ぐあ!? 速すぎだろ」
嘘だろ!? なんて早い優良企業だ!? 回収ボックスの受け取りと同時に銀行引き落としだぞ!? まって貯金、貯金残高……ほほほほ、ぜろえんでおじゃる。
「ぐぐぐ」
はぁはぁ、これが自動設定の罠、財布の設定額以上に入金された場合は自動で貯金に回す設定があだになった……今の俺の財布には、百円も入っていない。帰りにカツ丼を食べてしまったばかりに、明日の昼、いや朝飯代も無い……いや、まだかつる。
「支給品! 君が居なければ死んでいた!!」
俺には今日届いたばかりの支給品がある! 一箱ランダム20本入りのカロリーバー! 君が居れば何とかなる、早めに食べてしまったら後がやばいけど俺は今やばい! 帰りに食べたカツ丼はすでに消化されてきているのだ。
なんだ、今回は何が入っている! たまにある外れ箱は勘弁してほしい、普通でいいんだ普通で、この際オール豆腐バーでも構わない、さぁ、オーープン!! ガチャの時間だ。
「やった! ミートバーがある」
キタコレ!! 三本ですよ! 20本中ミートバー3本は当たりでしょ! 最低保障とか言う優しさがないガチャなだけにこれは嬉しい。あとは豆腐、ケミカル、エナジー、ゴーヤ……大丈夫、稼げばいいのだよ稼げば。
「今日はもう寝よう。それで明日は何時もより頑張る。ヨシ!」
明日の昼はミートバー、そしていっぱい稼ぐ、ミートバーがあるうちに稼ぐ、それでいけるいける。前向き大事、なんだったらダンジョンで食べるならエナジーバーだって悪くない。早めに食べないとその日の夜までカフェインが残るけどね。
うん、もう寝よう。これ以上アプリを触ってもしょうがない。というか今日は運が悪すぎだから、ほんとこれ以上はやばいことしか起きそうにない。早く寝てしまおう。
いかがでしたでしょうか?
運が悪い日は寝るに限る、寝ていれば余計なことをせずに済むから、ダメージは最小になる。かもしれない。
目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー




