第十二話 炎の怪物
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「俺の人間だった頃の名前は、谷山優太って言うんだ。
俺には昔、家族がいた。三人家族で、妻と6歳の娘がいたんだ。俺は毎日幸せに暮らしていた。仕事から帰れば、妻と娘が待っていてくれる。だからこそ、俺は仕事も頑張ることができた。
玄関の扉を開けると、香ばしい匂いが漂ってきた。
「ただいま!」
「パパおかえり!」
娘が嬉しそうに駆け寄ってくる。その後ろから、妻が笑顔で迎えてくれた。
「あなた、おかえり。今日もお仕事お疲れ様。今日はあなたの大好きなハンバーグですよ。」
「マジか!それは元気回復するな!」
俺は思わず笑みを浮かべた。こうして家族と過ごす時間が、何よりも幸せだった。
俺は食事をしながら、茉莉に聞いた。
『茉莉このあと何する?』
『パパと一緒にゲームしたい!』
茉莉が言っているゲームとは、いつもやっているリズムゲームのことだ。
『あとね…。お父さんにお願いあるんだ…。』
『どうした?なんでも言ってみな?』
茉莉はいつもよりももじもじした様子だった。
『ほら、お父さんは茉莉の言うことを待ってるよ。』
こうして茉莉は妻に背中を押されて口を開いた。
『今度お父さんと、お母さんと、遊園地に行きたい!』
『わかった今度、おやすみとるからその時に行くか!』
『やったぁ!!』
茉莉は満面の笑みで俺に抱きついてきた。俺はそんな茉莉の顔を見て、元気が溢れてきた。
そうして仕事の日は、帰ってから家族と遊び、休みの日には遊園地や買い物にもよく出かけていた。
『パパ、あれに乗りたい!』
『こらこらまだ時間はたっぷりあるんだぞ、だからそんなに急がなくていいんだぞ。』
『あなた、茉莉はこの日をすごく楽しみにしていたんですよ。』
『そうなのか。』
俺は嬉しかった。俺もこの日をすごく楽しみにしていた。いつも会社で仕事をして帰る日々で、こういう家族の時間は最高だからな。この日のために仕事をしているまである。
最初はジェットコースターに乗った。ジェットコースターなんてどのくらいぶりだろうか。下手したら10年以上行っていないかもな。
『パパ、一番前がいい!』
『わかった。』
『久しぶりに乗ると緊張しますね笑』
3人でジェットコースターに乗った。すごく面白かった。
時間は過ぎ、お昼の時間になった。
『ねぇパパ、あのホットドッグ食べたい!』
『うん、いいぞ!俺はうどんにしようかな。』
『私はそばにしますね。』
美味しかった。いつもよりも値段は少し高かったが、今の自分からしたら、そんな些細なことは気にしなかった。
気づけば夕方になっていた、空はオレンジ色になっており、時間は午後16時になっていた。
『そろそろ時間だし、帰るか。』
『うん!パパ今日はありがとう!すごく楽しかった!』
『それはよかった!茉莉が喜んでくれて、俺は嬉しいよ。』
茉莉は帰りの車で、ぐっすりと眠っていた。俺は妻と車の中で、話しながら幸せを噛み締めていた。
あの頃の自分は充実していた。
しかし、そんなある日、俺が仕事から帰ると、家が燃えていた。
『あれ?なんか燃えている。もしかして家か?』
その時間は、ちょうど妻も娘も家に帰っている頃だった。周囲の人たちが消防車を呼んでくれていたおかげで、俺が帰り着いた頃には、消防隊員たちがすでに消火活動を行っていた。
俺は慌てて消防隊員の肩を掴み、叫んだ。
『この家には妻と娘がいるんですよ!? 二人は無事なんですか?』
突然の出来事に、俺は冷静さを失っていた。
やがて、消防隊員が家の中から出てきた。そして、俺に告げた。
『残念ですが、お二人はお亡くなりになられています』
その言葉を聞いた瞬間、俺は膝から崩れ落ちた。
涙が止まらなかった。
『どうして、家が燃えたんですか?』
俺は泣きながら、消防隊の人に聞いた。
『まだ原因は正直分かっていません。これから警察の人も来て、色々調査する予定です。』
『そうですか。』
家が燃えていたため、その日はホテルに泊まった。俺は妻と娘の写真を見ながら、ひたすら泣くことしかできなかった。
『どうして…。どうしてなんだよ…。なんで俺の前からいなくなるんだよ…。』
俺はその日は、寝落ちしていた。いつも会社に行く前に起きている時間だった。俺はぼーっとしながら、会社の準備をし、会社へと向かった。
しかし、当然ながら、仕事へのやる気なんか出てくるわけなかった。俺の心は空っぽになっていて、残っていたのは喪失感だけだった。
俺はそんな生活を一週間していた。
俺がいつも通り、ぼーっと仕事していると警察の人から電話が来ていた、
『こちら優太さんのお電話でお間違いないですか?』
『あぁ、はいそうですけど。何かわかったんですか?』
俺は原因が知りたかった。そうすれば何か変わるかもしれない。そう思った。
『実は今回、放火事件の可能性が高そうです。』
『放火事件?』
『はい、実は家の周りに油のようなものがまいてあり、そこから発火したように思われます。犯人はもう分かっています。』
『そうなんですか!その犯人はもう捕まりました?』
『残念ながら、まだ捕まえることはできていません。が、これから必ず捕まえます。一応犯人の特徴も教えておきます。身長は176センチ黒の帽子に青いジャケットを着ていて、マスクをし、黒いズボンの黒い靴です。』
『わかりました。ありがとうございます。』
こうして、俺は電話を切った。犯人の特徴は分かった。俺は、妻と茉莉を殺したやつがのうのうと生きているのが、許せなかった。
俺はすぐに会社を早退した。
こうして、準備をし、警察が言っていた特徴と場所を手がかりに、犯人の元へと向かった。
そして、色々な場所を走り回り、色々な人に聞き、犯人の元へと辿り着いた。
『俺の妻と娘を殺したのはお前か…。』
『そうだよ。僕がお前の妻と娘を燃やしたんだ。』
俺の心は怒りの炎に包まれていた。こいつだけは何があっても殺す。そんな闘気が満ち溢れていた。
『お前は俺の大切なものを奪った。俺はお前を絶対に許さない。』
『別に僕はあなたに許しを乞う必要はないけどね。彼女は僕を裏切ったんだ。僕を見捨てて君と結婚した。僕と彼女は恋人同士だったんだ。結婚も約束していた。本当なら僕が彼女と結婚するつもりだったんだ。だからこんな目に遭うのは当然のことだよ。』
『彼女は悪くない。お前が勝手に望んだことだろ!』
『うるさい!僕の気持ちもわからないくせに、あなたも彼女と同じように燃やしてあげる。』
『何?』
そうして彼は銃を取り出し、その弾丸で僕の腕を撃ち抜いた。
『くそっ…。いてぇ…。』
激しい痛みが俺を襲った。俺は痛みで動けずに悶えていると、彼は俺の体に油をかけた。
『ははははは!!これであなたも彼女と同じだ。あの世で一緒にくたばればいい!!』
こうして彼は油まみれの僕の体に火がついた一本のマッチを投げつけた。
俺の体は一瞬にして燃え上がった。
『くそっ、くそっ、俺に…、もっと、力が…、あれば…。』
俺は無力だ。妻と娘の仇を取れず、ただ何もできないまま同じように死んでしまう。なんて屈辱なんだ。
こうして俺は死ぬ。そう思っていた。しかし、俺の怒りが俺の心に届いたのか、その炎を纏い、姿を変えた。
『ぐわぁぁぁあ!!俺はお前を絶対に許さない。』
こうして俺は怪物へと変化した。
『なんだよ!その姿!気持ち悪い!さっさと死んでしまえよ!』
俺はそんな彼の言葉を聞かず一瞬にして燃やした。
『お前もこの苦しみを味わえ、そうすればあの世できっと後悔するだろう。』
こうして俺は仇を取ることが、できた。しかし、俺の中に残っていたのは、妻も娘もいない俺にとっての真っ白な世界だった。」
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!感想をいただけるとすごく励みなりますので、ぜひお願いします!また次回も仮面少女お楽しみに!




