第九話 旅路にて
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私たちはセレニアに向かって歩き始めていた。少し前に来たばかりなのに、このノクスには色々な思い出があった。
最初に目を覚ました時は本当にどうなるのかと思った。マルファスと出会い、仮面を被り、怪物と戦い、この地で生活をするなんて、そんなこと想像できるわけがない。
けど、今思えば、今の世界の状態からしてみれば、ごく普通のことなんだなと感じる。怪物にも人間としての人生があった。だから、闇雲に倒していいわけじゃない。だから、私はまた、この世界に光を戻さなきゃいけない。
そんな様々なことが頭の中で交差していると、マルファスが、不思議そうに聞いてきた。
「何をそんなに考えている。」
私は顔に出やすいタイプだ。だからいつもマルファスにはバレてしまう。
「ちょっと考えごとだよ。気にしないで。」
私はそう言ったが、まだ色々考えることがあったので、また表情がぼんやりしていた。
「小雪にも色々考えることがあると思うが、まずは今日泊まる場所を探さなくては、幸いここら辺は怪物が少ないな。」
私はすっかり忘れていた。世界はこんな姿になっているのだから、当然ホテルなんてものは、存在しなかった。私はその場にしゃがみ込んだ。最悪という言葉が心の中を染めていた。
「まあ、建物が崩れていないだけマシだろう」
マルファスは周囲を見渡しながら、淡々と言った。
「確かに……建物までぐちゃぐちゃだったら、寝る場所もなくなっちゃうもんね」
私は顔を上げ、周囲に並ぶ建物を見た。ところどころ傷んでいるものもあるが、まだ形を保っている建物も少なくない。
どうやら、今夜の寝床くらいは何とかなりそうだった。
「そういえば、マルファスって寝るの?」
「何だ、急に」
「いや、だって私、一度もマルファスが寝ているところを見たことがないから」
ノクスで一緒に生活していたときも、マルファスが眠っている姿を見た記憶はなかった。
もしかすると、私が知らないだけで、悪魔には人間とは違う睡眠の仕方があるのかもしれない。
「もしかして、空に浮かびながら寝てたりする?」
「……なぜそうなる」
「だって、悪魔だし。そういうこともできそうじゃん」
私がそう言うと、マルファスは少し呆れたような顔をした。
「普通に人間と同じように寝ている」
「えっ、そうなの?」
「ああ。わざわざ空に浮かびながら眠る必要もないだろう」
「でも、マルファスならできそうだけど」
「できるかどうかと、する必要があるかどうかは別の話だ」
マルファスはそう言って、再び歩き始めた。
「そもそも、浮かびながら寝ていては体が休まらんだろう」
「……確かに」
言われてみれば、その通りだった。
寝ている間くらい、地面に体を預けてゆっくり休みたい。
私はそんなことを考えながら、マルファスの後を追いかけた。
そんな話をしているといつの間にかノクスとはまた違う風景になっていた。田んぼだったもの、もう枯れている木。そんな光景が目の前にはあった。そうして二人はお腹が空いたという話になって。二人は近くに何か食べられるものがないか探していた。
そうして私は辺りを見渡すと、一つの民宿を見つけた。
「あそこの民宿行ってみない?」
「あぁ行ってみるか。」
そうして私たちは入ってみるとそこには床に血が広がっていて、体には引っ掻き傷が何箇所もあり、人が3人ほど倒れていた。
「嘘でしょ……。なんで……。」
私は、声が出なかった。その場で立ち尽くすことしかできなかった。けどもうこの世界は怪物に支配されているだからこの光景はこの世界の当たり前なんだ。
私は少し経ってからやっと声が出せた。
「やっぱりここにも怪物はいるんだね…。」
「そうだな。」
私たちはせめてお墓を作ってあげるべきだと思い、民宿に置いてあった、シャベルで家の前の穴を掘り、そこに遺体を埋めてあげた。
私たちは、墓の前で祈った。次の人生では、幸せに生きられますようにと。
こうして私たちは、民宿へと戻った。
「これお米じゃない?比較的最近のやつかも野菜もここら辺にたくさんある。」
私たちは運が良かった。食べ物には困らなそうだった。
「食べ物も確保できたし、今日はここで寝泊まりをしよう。」
そうして私たちは、食事を済ませ、そこの民宿に泊まった。
私たちが、ぐっすり眠っていると、近くから煙の匂いがした。私は飛び起きて、玄関へ出ると、近くの森が燃えていた。
そうしてその炎はこの後あんなことになるなんて…。
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