佐久間 作太 2
「き、来た」
「え?」と、後ろを振り向いた亘君と息をのんだ。
成真君の姿が見えるまでまだ成功とは言えない。
「亘君ちの煎餅持ってないよ」
「本当に行ったんだな。あとは……」
その時、再び開いた扉から見えたのは成真君の姿だった。
「おお~~!」
二人して思わず声が出た。
本当にスペシャルカードだったんだ。この人は僕達なんかより全然強いドラゴンだ!
「どうやって連れてきたんです!?なんて言ったんですか!?」
目の前に来たドラゴンに興奮し、矢継ぎ早に喋る僕に「妻ですと」と冷静にドラゴンは答えた。
「妻?え!?やば!」
亘君も驚いた表情を見せたが嬉しそうだった。
「凄いな、やっぱ俺んとこの煎餅が利いたんだな」
遅れて成真君もやって来た。
「おい、成真~俺ら仲間だろ?ちゃんと相談しろよ~」
成真君の顔や服は何故か汚れている。それに表情も普通じゃない。落ち込んでいるとかではなく、何だか魂が抜けたような感じだ。
「ごめん」
小さな声でそう聞こえた気がした。
「作太にもしょうがないから話したよ。これからまたどうするか考えようぜ?」
するとドラゴンが「あのー」と口を開いた。
「実は、成功はしてないんです」
「え?」
「はい?」
僕達は固まった表情でドラゴンを見た。
「何が?だって成真だってちゃんとここにー」
「今回の事は全部バレました。そしたら貴方にも会いたいって」
「は?」
扉の方からこの場所には似つかわしくない男と女がこちらへ向かって来る。それを見た亘君の表情であの人が成真君のお父さんだという事が分かった。
「あれってー、……そうだよね?」
そう聞いてももう亘君の耳には届かない。
「……」
男と女は僕達の前までやって来た。
「……よぉ。ここがお前らの生息地か」
……大失敗だ。
無精髭を生やして口の臭そうなこのおじさんは僕をチラッと見た後、「なんだ、こいつも知ってるのか?」と成真君に投げかけた。
「……」
質問に答えない成真君の横で僕はこのおじさんを睨んだ。亘君から話を聞いた後でも別にこの人を怖いとは思わない。俯いた成真くんの姿を見たらお父さんだろうが腹が立つくらいだ。
「…やめろ作太」
「……」
真顔の亘君が静かに喋り始める。
「……なんでしょうか」
「お前からも説得してくれねぇかな、成真に」
「……何をですか?」
「あの…」という言葉にみんなドラゴンへ顔を向けた。
「私の家で話しますか……?」
僕もその方が良いと思った、と同時にあの至る所に祀られた、いや飾られた人形達の顔が浮かんできた。
あそこに全員で行って…、なんだか話が進ない気がするなぁ。
「いや、俺んち……行こう」
成真君が俯きながらそう口を開いた。
その後、僕達はその場を離れて成真君の家へ向かった。成真君を先頭に、僕と亘君、ホワイトドラゴン、そして2、3メートル程後ろからあの男と女がついて来る。
「ねぇあの女の人は?」
「知らねぇ。新カードだ」
亘君も知らない人か。てことは親戚か、それとも……
「今一緒に住んでる人だって」
小声で話している僕達に前を歩く成真君がそう答えた。
「え?じゃああいつが掘り返した犯人なのか?」
「骨は無くなってなかった」
「はい?」
「……と思う。確かめてないけどきっと埋まってる、居なくなったっていうのはあの女が来たからだ」
「…そうか」
僕は二人の会話を聞いてもよく理解できなかった。
そしてドラゴンは何故か眉を尖らせ、何かに怒っている様子で隣を歩いていた。




