三橋 成真 9
ひどく嫌な予感がする。
「……。成真さんのお母様の事ですか?それともー、この方の事ですか?」
優里が目を細めて元宮さんを睨みつける。
「成真の母親の事です」
「…4年前にお亡くなりになったと、そうお聞きしました」
「そうですか。うちの奥さんね」
すっと、庭の方に指をさす進。
「実はー、あそこに埋めたんですよぉ」
「……」
その発言に皆、進の顔に視線を向けた。
「……」
毎秒事に何が起きるか分からない。この一触即発な状況に怖気ついた俺の体は石の様に固まっていた。
「当時は寂しくてねぇ……」
「……」
美千代さんは進だけを見ていた。
「びっくりされましたか?」
「今も―」
「はい?」
「今も、居るんですか?あちらに」
「‥‥埋まってますよ、あそこに。まぁ、今は優里が現れてくれて、気持ち的には楽になりました。でもー、掘り返すのも出来ないでしょう?だからこれからもずっとそこにー」
「言いませんよ?別に」と、進の言葉を遮るようにまた話し出す。
「誰かに言ったところで何にも得は無いですし。御心配なさらずに」
「……」
これからもずっとそこに…?何だよ、お前の中では消えちゃった人なんだろ?なのに何で居させられる事が出来るんだ。
進の言葉を聞いて再び怒りが湧いて来た時だった。
「ただー」
と元宮さんがキッと進を睨んだ。
「……今も埋まっているお母様や、成真さんの事を思うとー、あなたを引っ叩きたい気持ちでいっぱいです」
少し驚いた表情をする進の横で「は?なにあんた!?」と優里が身を乗り出した。
俺もその言葉を聞いて驚いたが、同時に自分の意を決する事が出来た。今は無理かもしれない、けどいつの日か庭に埋まっているお母さんを――
“ふふっ、はははは”
進が突然、笑い出した。
思わず元宮さんと顔を見合わす。
「ははは!成真―、お前はいいなぁ。周りには良い友達がいっぱい居てよぉ」
「!?」
進は見破った。
自分達が偽っているのを…。




