↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/30

三橋 成真 7

「……まぁ」


「その後ケンカして出ていっちゃったって聞いてー」


 ふと、進の顔面の傷痕に目がいく。


「心配してたけど、こうしてまた会えてよかったわね」


 …心配?


 ……ふざけるな。


 心にもない事を何故平気でそう口に出せる。

「…ああ、そうだな」と進が答えた瞬間、頭の中で何かが切れた様な音が聞こえた。そして口が自然と開いた。


「もう忘れたのかよ?」


 何をどう言おうかなんて考える間も無く口だけが動いていく。


「何だったんだよ。あんだけ悲しんでただろ?何だったんだよ」


「何言ってんだ?成真」


 庭に人が埋まっている事を知られようがどうだっていい、この男の都合なんて。


「あの時の涙はなんだよ。居なくなったって何だよ?お前が勝手に消したんだろ!!」


「……成真、てっきり俺は喜んでくれるのかと思ったよ」


「私の所為かしら。そうよね、直ぐには受け入れられないわよね」


 庭の隅に置かれたシャベルが目に入った。


 体が動いた。


 まるで何かに引っ張られるようにー


 俺は立ち上がり庭へとつながる窓を開け外へ出た。



「おい、成真!」


 走ってシャベルを手に取った俺はお母さんの上に立った。


「何やってんだ!」

 進の声を無視して俺はシャベルを突き刺していった。


“ガッ、ガッ”


「おいやめろ!」


シャベルが突き刺さる音以外は耳に入って来なくなった。


 お母さんは居る。


 居なくなってなんかいない。今この真下にお母さんは居るんだ。


“ガッ、ガッ”


「うっ!」

 後ろから走って来た進に体当たりされシャベルを奪われた。


「はぁはぁ、この野郎、何してんだ」


「な、なんだよ、もう居ないんだろ?居なくなったんだろ!?」


「‥‥掘り起こしてどうするつもりだ?」


 進の背後から女が“ザッザッ”と草履を鳴らし近づいてくるのがわかった。


「やっぱり可愛くないわねぇ―。この子も埋めちゃったら?」



「!?」



 この女は知っていたんだ…。


「おい優里、俺の息子だぞ。やめてくれよそんな言い方」


「‥‥冗談よ」


“ピンポーン”とインターホンが鳴った。




「優里行ってきてくれ」


 庭からかすかに玄関の方を窺えるが進が視界を塞ぐ。


「成真、今さらどうするんだ?掘り出したら大変なことになっちまうだろ」


「お母さんは居る」


「だから何だっていうんだ」


「……もっと良い場所に連れていく」


「なに?どういう事だ?……お前まさか―」



 “ちょっと”



 戻って来た女が家の中から顔を出した。


「ん?どうした」


「三橋成真の妻って人が来てるんだけど」





 ……え、





 何だって?






「……お前、結婚してたのか?」


「……」



 どういう事だ‥‥


 結婚? 妻?


 ……意味が分からない。



「何で呼んだ?こんな所に」


「……」

 頭が真っ白になりなんで答えていいのかわからない。


「紹介でもしようと思ったのか?……中に入れ」




 ……何が起こってるんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。