大倉 亘 7
「ねぇ、居なかったらどうする?」
リュックを背負いまるで遠足に行くような雰囲気で横を歩く作太。
「おい作太、なんかワクワクしてないか?」
「え?してないよ。……でもドキドキはしてる」
「要は興奮してるって事ね」
「ちゃんと心配してるよ?成真君の事。…でもなんかこうやって友達の事で色々と考えたりするの初めてだからなんか、嬉しい」
「……」
作太から〝友達〟という言葉を初めて聞いた。こいつとの出会いを思い返すと、なんだか感慨深いものがあるな。
「行くの?お父さんち?」
「んー、とりあえず成真んちだな」
「居なかったら?」
「成真の親父の家か……」
「え?行くの?」
「…んー」
成真のアパートはここから電車で3駅離れた場所にあるが実家の家となると逆方面に3駅だ。どうか自分の家に居る事を願う。もしあいつがまた〝あそこ〟へ行ってしまっていたら……。
成真のアパートに着くといつもより静けさを感じる。前に来た時に居たバカうるさい2人は引っ越したのか?
「自転車少ないけど、成真君の自転車は?」
「持ってない。あいつはいつも徒歩と電車」
「へー」
階段を駆け上がり204のインターホンを鳴らす。
「おーい成真―」
もう一度インターホンを押す作太。
「成真君―」
「居ねぇか……」
「ねぇ」
「あん?」
作太がじっと俺の肩先を見ている。
「えなに?なんかついてる?」
「いや、後ろ……」
「え?成真?うわああああああ!」
振り向くと白いワンピースを着た女の顔が目の前に現れた。一瞬幽霊かと思ったが違った、隣に住んでいる例の薄気味悪い女だ。
「……」
「……」
「どいてくれますか?」
そう言って女は奥の部屋、205の部屋へと入っていった。
「……」
「あの人だよね?成真君に変な人形プレゼントしたって人」
「バカッ、聞こえるだろっ」
“ガチャッ”と205の扉が少し開いた。
「……」
「……」




