大倉 亘 6
―現在―
俺と作太は店を出て駅へと向かっていた。
「ダメだ、出ない」
成真に何回か電話をかけたがまったく出る気配がない。
「それから成真君はお父さんと会ったの?」
あまり人に興味が無い作太だが珍しくこの話は真剣に聞いている。
「いや、それから一度も行ったっていう話も会ったっていう話も聞いてないな。だからさっき会ったって言ってて俺もビビったわ」
「そうなんだ」
「というかあの親父も生きてるのかどうかもわからない状態だったからな。まぁあの日の事もニュースになってなかったし生きてるんだろうとは思ってたけど」
「また追いかけて来なかったの?」
「それが怖くてさ、俺も成真も何日かネカフェで寝泊まりしたよ。そんで直ぐ引っ越した」
「まだ探してるかもしれないじゃん?」
「だからいつでも護身用に、ほら」
俺は自分の鞄の中を作太に見せてやった。
「何コレ?髭剃り?」
「なんで髭剃りなんだよっ。スタンガン」
「スタンガン!?」
「声でけぇよっ」
「うわー、俺ヤベー人達と会っちゃってたんだ」
「おい、ヤベーのはあの親父だけだ」
「……」
「……みんなヤベーかな?」
「多分」
「作太が言うなら、……そうかもな」
滅多に凹まない俺だが何故かこの時だけはガクッと心が重たくなった。それを察したのか、「まっ、とりあえず成真君ちに向かおう!」と作太が声を張る。
「そうだな」




