↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/40

第31話  花見 蛍

【AI利用について】補佐として、文章の精度を高めるための「校正(誤字脱字のチェック等)」にローカルLLMを利用しています。しかしながら、根幹となる思想、オリジナルな魔法や世界観、プロット、感情表現など、「物語の核」は完全に私の創作であり、一文一文に想いを込めています。

春の光が、エデンの大地を眩いほどに照らしていた。

去年にも増して咲き誇る桜は、柔らかな風に揺れながら、淡い霞を帯びていた。



草原は祝福に満ち溢れていた。

サクラは周囲から熱い視線を浴び、もみくちゃにされている。


さて、恒例の「恵方巻きモグモグ」の儀式も、粛々と終了した。

今年はサラも参加していたらしい。


妖精と花々が彩る草原で、

サーシャはハクやサクラと楽しそうに駆け回っている。


エルフたちはゆったりとした至福の時間を楽しんでいるようだ。


妖精王も、ようやくその輪郭がはっきりとしてきた。


夕暮れ時、

アルトが「おでん」を創造して皆に振る舞うと、一斉に歓声が上がる。


「エデンにはおでん」。


「えー、またぁ!?」


と、サーシャたちはぶー垂れていたが、反論は認めない。


カイザーの龍酒と、ライトアップされた幻想的な桜の下、

いつものように大宴会が熱気に包まれる。


締めは、プロジェクションに映し出される満開の桜と、楽しげに笑う皆の姿。

宴は最高潮に達した。


「ああ、今年もこうして始まったな」


アルトが静かに微笑むと、胸の奥が温かさで満たされた。




花見の喧騒が遠のいた深夜。

アルトは、静かな露天風呂に一人身を沈めていた。


満天の星。立ち上る湯気と共に、微かだが絶対的な気配が漂う。


そうして、季節外れの三匹の蛍が、アルトの傍らに静かに寄り添った。

まるで、この夜の出来事を祝福するかのように。


水面に映る月影に、優雅な声が響いた。


「会いたかったわ、アルト。ずいぶんと逞しくなったわね。私はソフィよ」


「君はジェットコースターみたいだな、アルト。私はイニス」


「久々に面白いものを見せてもらったよ、アルト。僕はジランだ」


頭の中に響いた三つの絶対的な声。三つの光の点。アルトは直感で理解した。

その存在感は隠されているものの、三柱とも絶対的な神だということを。



「この蛍は、雰囲気に合わせたのよ。アルトが萎縮しないようにね」


ソフィが、優しく口を開いた。


彼らは悠久の時を生きる「大先輩」たちだ。

普段は姿を消しているため、一般の神々など、彼らの片鱗すら知る由はない。


アルトは深呼吸をした。軽々しく話しかけるのは失礼にあたるだろう。

彼は月を眺めながら、ふっと肩を竦めた。


「そんなに緊張しなくてもいいわ。力には慣れたかしら?

いい頃合いだと思って、皆で会いに来たのよ」


ソフィは、アルトの心の内を見透かすように問いかけた。


「僕のことを……ご存じなんですか?」


アルトは戸惑いを隠さなかった。


「そうよ。アルトは私たちが見極めて、特別な子供として招いたの。

家族のように、普通に話してちょうだい」



アルトの記憶が微かに揺らいだ。


「僕は……女神サラに体を再生されて、この地に召喚されたはず。

……じゃなかったの?」


「その調子よ。そうね、サラは優秀だけれど、そこまでの力はないわ。

彼女はただの管理者なのよ」


「サラはラグナロクのボタンを押そうかと、

手を震わせながら伸ばしては引っ込めるという、

コミカルな挙動を繰り返していたんだ」


「それがもうあまりにいじらしくてね、

丁度アルトが覚醒するタイミングだったから、

そう思い込ませて、押し付けるのに適任だったのよ」


「それに、アルトの心の奥底にある『やすらぎ』の風景を、

僕がこの地にデザインしたんだぜ。

緑豊かだけど、森しか無かった場所を、湖と草原に作り替えたんだ。

褒めてくれていいんだからな!」


ジランが、得意げに胸を張る――ように見えた。



アルトはふっと笑みを漏らしたが、そのあとわずかに唇を尖らせた。


「じゃあ、あのチート『創造の力』を授けてくれたのは、誰なんです?」


ソフィは、呆れたように額を拭った。


「誰でもないわ、アルト自身の力よ。それに、チートなんて小さいわ。

私たちはそれ以前の存在なのよ」


目の前の三点。絶対的な存在。アルトは、驚きに大きく見開いた。



「じゃあ、僕も蛍に……なれるとか?」


「なれるわよ、当たり前じゃない。

覚えてないの? 早速、『ドラゴン化』してたでしょ」


「イニスなんて銀河サイズのクジラになって、

宇宙を一万年くらいプカプカ浮いてたんだぜ」


「ジランこそ、最弱のゴブリン姿のままで奈落ダンジョンを踏破したって、

ゴブゴブと自慢してたんだろうが」


「二人とも何やってんのよ! アルトが呆れてるわよ!」



ソフィがため息をつきながらも、優しくアルトを見た。


「いいわ、少しは情報を共有しましょう。

絶対神とは、既存の女神や創造神などを、はるかに凌駕する稀有な存在なの」


「私たちは悠久の時間の中で、

君が持つ特異性に気づき、気に入り、そして招いた」


「アルトは、私たち三柱の絶対神に連なる、新たな四柱目の絶対神なの」


「中でもソフィは原初の存在。すなわち創世神でもあるんだぜ」


「ソフィは神界の生みの親。

ルルシステムを設計し、神界に『ルル』を供給している」



アルトは目を丸くした。


「えっ、じゃあ……システムをアップデートしたのって……?」


「私よ!」


ソフィが誇らしげに手を上げた――ように見える。


「『依存度』の項目は、

甘えてくる連中にアルトが困っていたから追加してやったのよ」



アルトは、脳を焼き払わんばかりの、あまりの情報量にめまいを覚えた。



(続く)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。