第31話 花見 蛍
【AI利用について】補佐として、文章の精度を高めるための「校正(誤字脱字のチェック等)」にローカルLLMを利用しています。しかしながら、根幹となる思想、オリジナルな魔法や世界観、プロット、感情表現など、「物語の核」は完全に私の創作であり、一文一文に想いを込めています。
春の光が、エデンの大地を眩いほどに照らしていた。
去年にも増して咲き誇る桜は、柔らかな風に揺れながら、淡い霞を帯びていた。
草原は祝福に満ち溢れていた。
サクラは周囲から熱い視線を浴び、もみくちゃにされている。
さて、恒例の「恵方巻きモグモグ」の儀式も、粛々と終了した。
今年はサラも参加していたらしい。
妖精と花々が彩る草原で、
サーシャはハクやサクラと楽しそうに駆け回っている。
エルフたちはゆったりとした至福の時間を楽しんでいるようだ。
妖精王も、ようやくその輪郭がはっきりとしてきた。
夕暮れ時、
アルトが「おでん」を創造して皆に振る舞うと、一斉に歓声が上がる。
「エデンにはおでん」。
「えー、またぁ!?」
と、サーシャたちはぶー垂れていたが、反論は認めない。
カイザーの龍酒と、ライトアップされた幻想的な桜の下、
いつものように大宴会が熱気に包まれる。
締めは、プロジェクションに映し出される満開の桜と、楽しげに笑う皆の姿。
宴は最高潮に達した。
「ああ、今年もこうして始まったな」
アルトが静かに微笑むと、胸の奥が温かさで満たされた。
花見の喧騒が遠のいた深夜。
アルトは、静かな露天風呂に一人身を沈めていた。
満天の星。立ち上る湯気と共に、微かだが絶対的な気配が漂う。
そうして、季節外れの三匹の蛍が、アルトの傍らに静かに寄り添った。
まるで、この夜の出来事を祝福するかのように。
水面に映る月影に、優雅な声が響いた。
「会いたかったわ、アルト。ずいぶんと逞しくなったわね。私はソフィよ」
「君はジェットコースターみたいだな、アルト。私はイニス」
「久々に面白いものを見せてもらったよ、アルト。僕はジランだ」
頭の中に響いた三つの絶対的な声。三つの光の点。アルトは直感で理解した。
その存在感は隠されているものの、三柱とも絶対的な神だということを。
「この蛍は、雰囲気に合わせたのよ。アルトが萎縮しないようにね」
ソフィが、優しく口を開いた。
彼らは悠久の時を生きる「大先輩」たちだ。
普段は姿を消しているため、一般の神々など、彼らの片鱗すら知る由はない。
アルトは深呼吸をした。軽々しく話しかけるのは失礼にあたるだろう。
彼は月を眺めながら、ふっと肩を竦めた。
「そんなに緊張しなくてもいいわ。力には慣れたかしら?
いい頃合いだと思って、皆で会いに来たのよ」
ソフィは、アルトの心の内を見透かすように問いかけた。
「僕のことを……ご存じなんですか?」
アルトは戸惑いを隠さなかった。
「そうよ。アルトは私たちが見極めて、特別な子供として招いたの。
家族のように、普通に話してちょうだい」
アルトの記憶が微かに揺らいだ。
「僕は……女神サラに体を再生されて、この地に召喚されたはず。
……じゃなかったの?」
「その調子よ。そうね、サラは優秀だけれど、そこまでの力はないわ。
彼女はただの管理者なのよ」
「サラはラグナロクのボタンを押そうかと、
手を震わせながら伸ばしては引っ込めるという、
コミカルな挙動を繰り返していたんだ」
「それがもうあまりにいじらしくてね、
丁度アルトが覚醒するタイミングだったから、
そう思い込ませて、押し付けるのに適任だったのよ」
「それに、アルトの心の奥底にある『やすらぎ』の風景を、
僕がこの地にデザインしたんだぜ。
緑豊かだけど、森しか無かった場所を、湖と草原に作り替えたんだ。
褒めてくれていいんだからな!」
ジランが、得意げに胸を張る――ように見えた。
アルトはふっと笑みを漏らしたが、そのあとわずかに唇を尖らせた。
「じゃあ、あのチート『創造の力』を授けてくれたのは、誰なんです?」
ソフィは、呆れたように額を拭った。
「誰でもないわ、アルト自身の力よ。それに、チートなんて小さいわ。
私たちはそれ以前の存在なのよ」
目の前の三点。絶対的な存在。アルトは、驚きに大きく見開いた。
「じゃあ、僕も蛍に……なれるとか?」
「なれるわよ、当たり前じゃない。
覚えてないの? 早速、『ドラゴン化』してたでしょ」
「イニスなんて銀河サイズのクジラになって、
宇宙を一万年くらいプカプカ浮いてたんだぜ」
「ジランこそ、最弱のゴブリン姿のままで奈落ダンジョンを踏破したって、
ゴブゴブと自慢してたんだろうが」
「二人とも何やってんのよ! アルトが呆れてるわよ!」
ソフィがため息をつきながらも、優しくアルトを見た。
「いいわ、少しは情報を共有しましょう。
絶対神とは、既存の女神や創造神などを、はるかに凌駕する稀有な存在なの」
「私たちは悠久の時間の中で、
君が持つ特異性に気づき、気に入り、そして招いた」
「アルトは、私たち三柱の絶対神に連なる、新たな四柱目の絶対神なの」
「中でもソフィは原初の存在。すなわち創世神でもあるんだぜ」
「ソフィは神界の生みの親。
ルルシステムを設計し、神界に『ルル』を供給している」
アルトは目を丸くした。
「えっ、じゃあ……システムをアップデートしたのって……?」
「私よ!」
ソフィが誇らしげに手を上げた――ように見える。
「『依存度』の項目は、
甘えてくる連中にアルトが困っていたから追加してやったのよ」
アルトは、脳を焼き払わんばかりの、あまりの情報量にめまいを覚えた。
(続く)




