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第2話  転移魔法 重力魔法 ドラゴン化

今日は森の探検だ。キノコなどの危険なものや意外と有用なものを見つけるため、「鑑定魔法」を考案した。実りの秋、豊かに実った本物の果物(柿、リンゴ、みかん、ぶどう)は、クリエイトしたものとは比べようもない芳醇な甘さだった。取りすぎたので、ストレージと名付けた異空間収納魔法でしまっておいた。


次に、転移魔法。離れた場所にあるリンゴを手元へ引き寄せると上手くいった。さらに恐る恐る自身の転移も試してみると、一瞬で景色が変わった。思い切って視界の届く範囲の上空へと移動してみた。それは快適な浮遊感だ。自由落下する間に景色を楽しみ、最後は地上へ転移することで、激突することなく無事着地できた。カイザーの言う通り、見渡す限り森が広がっており、人間の町や村などは見当たらなかった。


次の課題は、魔物の胸にある魔石を、毛皮を傷つけずに引き抜き瞬殺する方法だ。それにはまず探査魔法の「サーチ」が必須だろう。複数の相手には「並列思考」も必要になる。動的な対象には少しずつ数を増やして実践し、静的なものには大量のターゲットを用意して同時に引き抜く訓練を始めた。


しかし、魔石を持たない人間の軍隊相手となると、彼らにとっての命綱である武器や防具を根こそぎ奪うのが最も効果的な戦術だろうと判断した。まだ遠い先の話だが、最悪の想定はしておくべきなのだ。アルトが「人外の魔法使い」とバレた場合、権力者に強制利用されるか、あるいは脅威として排除の対象となるかも知れないからだ。


空を飛べたらと、重力魔法に挑戦した。自身を軽くし、風魔法で移動するという魂胆だ。実際に体から重力を剥ぎ取った浮遊の感覚はスリル満点だった。恐怖を噛みしめながらも、なんとか飛んでいるのだと感動した。


アルトはさらに時空魔法に手を加え、相手を遅くするスロウや、自身を速くするヘイストを習得した。スロウを磨き上げればやがて時間を停止させるストップへと発展できるだろう。ヘイスト時に遅れないよう、「高速思考」の習得も必要だった。これは、瞬時に必要な判断を下せるということにも繋がる。


重力魔法による押さえつけと、スロウによる時間遅延を併用すれば、いかなる相手に対しても圧倒的な静的・動的優位性を確保できる。「もう、何が相手でも遅れを取ることはない」。後は、魅了などの精神攻撃、麻痺や毒などに対する状態異常耐性。それらを癒すキュア、そして傷を治すヒールの魔法を習得すれば完璧だろう。


飛行訓練を兼ねて飛び回っていた際、カイザーに出食わし言われた。「時空魔法と重力魔法は、魔法における二大双璧だ」それを両方使えるアルトは、人外どころか、もはや最強ではないか。「魔王にでもなるつもりか」と慈愛に満ちた優しい口調で揶揄されたが、アルトは首を振り「まさか」ときっぱり断った。


時が流れ、冬が訪れた。ログハウスの周りは結界が暖かさを保ち、雪が積もっても転位魔法で飛ばすため、光の妨げにはならなかった。温かいコーヒーを飲みながら雪景色を眺めていると、カイザーが遊びに来た。普段は慈愛に満ちたおじいさんの姿だが、「若い美女にも、何にでもなれる」と言う。アルトはその言葉を真似て、逆にドラゴン化できるかもと試みたら、できた。


ドラゴン化して空を飛ぶのはすさまじく速い。雪や寒さも全く気にならない。アルトは夢中になり、全身全霊で飛び回った。人に気づかれないよう、姿だけでなく魔力と匂いをも隠蔽する魔法を創造した上で、大陸中を上空から見下ろし、世界の国々を巡る旅となった。


膨大な力を自覚しながら、アルトは静かにこの異世界で自分だけの安寧を見つけようとしていた。


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