表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/103

第3章34話『『水神』との再会』


「……ん。――ハッ!?」


「――あら、起きたわね」


「ここは、……あの綺麗な場所か。俺は確かラインと訓練してて……。――って、誰!?」


 ラインと訓練していたはずのカナタは、白い床で目を覚ました。どうしてここに寝ているのか、全く記憶にない。

 それに、知らない声が聞こえたため、カナタは咄嗟にそう反応した。


 すると、カナタの知らない声を発した当人とされる、女と目が合った。女――というよりは、少女っぽい見た目だ。

 薄い青色のストレートヘアーと水色の瞳を持った少女は、カナタを睨みつける。


「誰って何よ。まずはアタシに何か言うことあるでしょ?」


「え? えぇと……?」


 何かと言われても、だ。何をしてもらったのか全くわからないし、そもそも誰だこの人は。

 ――そうだ、ラインを探そう。


「――ちょっと、何無視してるのよ」


 そんな女の声は、聞こえない。カナタはラインを探すように首を回すと、五十メートルほど遠くで、ヴァサゴとなにか話しているラインを見つけた。

 そして、


「ライ――痛っ!?」


 ラインの名前を呼ぶより先に、女に頭を思いっきりしばかれた。

 あまりの痛みに地面に横たわり、


「きゅ、急に何するんだよ!?」


「アタシに感謝もしないし、無視するし。叩くに決まってるわ」


「か、感謝……? 何について?」


「はぁ……。あなたが急に倒れたから、アタシが治癒してあげたの。そのおかげで起きれてるのよ?」


 ――教えてもらっても、意味がわからない。そもそもカナタの最後の記憶は、拳に込めた、五回目の破滅の力で殴る直前。

 そこから気絶したというのだろうか。そして彼女がカナタを何かしらして起こしてくれたのなら、それは感謝すべきだろう。


「えっと……ありがとうございます?」


「はい、それでいいのよ」


「あと……あなたはどちら様、ですか?」


 感謝してもらえて、少女は腕を組み、嬉しそうにしていた。そんな中で、カナタは彼女が何者か尋ねる。

 すると、「え?」と まるで知られていたかのように驚くが、すぐに「あー」というと、水色の瞳をカナタに向けた。


「――アタシは『水神』アクア。ラインとかアステナとかアスタリアみたいに、神様よ」


「はぁ……。よろしくお願いします」


「あら、驚かないのね? 普通、神様って聞いたら驚くと思うんだけど」


「いやなんかもう、『創世神』に『知恵の神』に『時間の神』に会ってるんで、これ以上増えてもそんなに驚かないというか……」


 それに加えて、この世界の歴史書で読んだり、【大罪冠(たいざいかん)】を率いてる男から聞いた『破壊神』という物騒な神様もいる。

 これ以上神様を名乗るのが増えても、さほど驚かない。


「――って、『水神』ってことは、『炎神』とかもいそうだな……」


「正解ね。あとは氷、雷、風を司ってる神様もいるわ」


「まーた増えたよ……」


 そう、こうやって、どんどん神様が増えてくる。驚く気力もない。

 ――ところで、水、炎、氷、雷、風を司る神様。その五つの属性は、どこかにも共通してる部分がある。

 ――そう、魔法だ。となると、もしかしたら『光の神』や『闇の神』、『無の神』などもいるのだろうか。


「うーん……」


「あら、他に属性を司る神様がいるか気になる表情ね?」


「どんな表情ですかそれ。――まあ、はい」


「ま、いないのよね。光属性と闇属性は人間が生み出したものだから。司る神様なんていないのよ」


「いないんかい」


 あまり驚きもせずそう答えると、カナタはゆっくり立ち上がる。身体は――どこも、痛みがない。

 そして服をパッパッっと手で払っていると、急に距離を詰めてきたラインと目が合った。


「うおっ!? びっくりしたわ……急に来るなよ……」


「悪い悪い。お前、急に気絶したんだぞ? 力が抜けたように地面にバーンって倒れた」


「えーガチで? それ頭めっちゃ強く打ってない? 大丈夫かな」


「安心しなさいよ。傷は全部アタシが治したから」


 これはまた、頼りになる『水神』様だ。――というか、ラインが治せば良かったのに、なぜに彼女が治してくれたのだろうか。


 ――カナタのその考えを、ラインは思考を覗き、


「別に俺でも良かったんだけど、俺よりアクアさんの方が治癒能力高いんだよな。あと、俺のは治すっていうか創り直す感じだし」


「え、『創世神』なのに!? 意外だなー」


 宇宙を創った神様でなんでもありな性能をしているのだから、治癒に関しても勝手に宇宙一の力を持ってると思っていた。だが、アクアの方が高いらしくでびっくりする。


「へー」と呟き、頷いていたら、アクアはラインに話しかけた。


「――前にアタシの力貸したでしょ? また貰っていいかしら?」


「ああ、良いですよ。使わなかったですし。――どうぞ」


 次の瞬間、ラインの体内から青色の光の粒子が一粒だけ現れ、アクアの中へと入っていった。

 ――何をしたのか意味がわからず、カナタは「え? え?」と両者を交互に見る。

 すると、


「お前が学園の制服を商店街に取りに行った日あっただろ? 俺はあの男に襲われたあとにアクアさんに治して貰ったんだよ。そのときに、力をちょっとだけ借りたんだ」


「力を借りた……? ――ん? 待てよ……?」


 何やら、今までバラバラだった記憶の断片が繋がる気がした。

 そもそも破滅の力を完全に自分のものにしたあとに、カナタがどうやってそれをラインに渡すのか、詳しいことがわからなかった。


 だが今の二人のやり取りを目で見て覚え、わかった。


 ――そうやって、力を渡せばいいのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ