↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『映像記憶』の密航者  作者: 蜂蜜ラテラテ
第1章『魔法学園への入学』
3/133

第3話-1『記憶にある人物』


 ――これが俗に言う異世界転移ってやつか?


 ヨナギ・カナタは呆然と空を見上げた。

 元の世界に戻るには、あの男を探すしかない。だが、そもそもこの世界のことを何も知らない。


「大丈夫か? 見ない格好だけど。――どこから来た?」


「あ、俺は……」


 そこまで言って、止まった。異世界から来たと言えばどうなる。どう考えても、おかしな奴だと思われる。自分が同じ立場なら、確実に引くと、分かる。


 ――今は黙っておいた方がいい。


「えっと、遠くの方から……。 ッ!?」


「!? どうした!?」


 突然、カナタは頭を抱えて崩れ落ちた。同時に、少年がすぐにしゃがみ込み、背中を支えてくれる。


 ――またか。


 子供の頃からずっと繰り返してきた痛みだ。病院では異常なしと言われ続けた。

 フォトグラフィックメモリー、つまり見たものを写真のように記憶する能力を持っているせいで、脳が疲弊しているのではないかと言われたこともある。

 でも、違う。そうじゃない、とカナタは確信していた。


 だって、この痛みが来るたびに、見たこともない映像が流れ込んでくるから。


 真っ赤に染まった空。知らない人物。地球とは思えない空間。


 そして今回は――、真っ白な髪と瞳を持つ、少年と少女の姿だった。


「痛ぇ……」


 地面に額を押し当てていると、ふっと痛みが消えた。


「あれ……?」


「これで大丈夫そうだな」


「何かしたの?」


「まあちょっとな。今だけだけど」


 少年がなにかしてくれたらしい。

 異世界では頭痛まで治せるのか。便利だ。

 そう思いながら顔を上げ、二人の顔を見た。


 そして、カナタは思わず息を呑んだ。


「どうしたの?」


「……いや、なんでもないです」


 なんでもない、わけがなかった。さっきの映像の中にいた顔と、目の前の二人が重なって見えたのだ。あの映像では髪と瞳が真っ白だったが、輪郭も表情も、確かに一致している。


 なぜ、今会ったばかりの人間が、頭に出てきたのか。


 ――考えても、今は分からない。

 異世界転移に加え、こんなことも起きてきた。

 一旦、カナタはその疑問を頭の隅に押し込んだ。

 そして――、


「この辺のことが全然分からなくて。良ければ案内してもらえませんか?」


 カナタの頼みに二人は目を合わせてから、こちらを見た。


「良いよ」


「ありがとうございます」


「敬語じゃなくて良いよ。そうだ、名前は?」


 少年が手を差し出してくる。


「夜凪(よなぎ)叶向(かなた)。二人は?」


「俺はライン」


「私はセツナ。これの妹」


「これって言うなよ……。ま、良いか」


 ラインとセツナ。カナタはその名前と顔を、写真を撮るように記憶した。


 ――だが、この二人と、どこかで関わったことがある気がする。その感覚はまだ、うまく言葉にできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
カナタはラインたちと合流できてホームステイまでできるのは幸運でしたね。 今後はどのタイミングでカミングアウトするかでしょうか? (´・ω・`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。