第2章1話『王女様』
第2章開始です!
「王女様の相手をしないといけないからな」
「お、王女様!?」
ラインの口から王女という言葉が出て、驚いてしまう。でかい家に住んでいるし、王女様とも関係があるのか。やはり何か凄い家族なのだろうか。
「えっと……ラインって何か凄い人だったりする?」
「いや別に。ただ、俺とアッシュ、グレイスの家系は昔から王族と関係を持っててさ。たまに連絡が来るんだよ」
「いや凄いじゃん! 貴族か何かなの?」
「一応貴族だ。でも、俺らは別に貴族みたいな振る舞いしてないしなー。母さんもだし」
まさかの貴族だったらしい。どう考えてもお金持ちな人が住みそうな家に住んでいたし、メイドを二人も雇っているし、一体どれだけ凄い家系なのかとカナタは不思議に思ってしまう。
「ていうか、王女様ってどんな人なんだ?」
「え? あいつは……ヤバい」
「え? や、ヤバいって何が?」
「注文が多い、人の話を聞かない、うるさい、とかな。まあ、優しくはあるしそこまで気にしてないけど」
どうやら、王女様は少々傲慢なようだ。そんなものなのか?
「明日の準備のためにすぐに帰るぞ」
「あ、う、うん!」
そして、カナタは四つ子に着いて帰っていった。
◆◇◆◇
翌日の朝、ラインたち四つ子に連れられ、カナタはレガリア王国の王都レガリアにたどり着いた。
そして、一番目立っている巨大な城に入ると、すぐに門番が歩いてきた。
「お名前は?」
「ファルレフィアです」
「そうですか。では、王女様の部屋まで案内しましょうか?」
「覚えてるので大丈夫ですよ」
丁寧な門番に頭を下げ、五人は非常に長い廊下を進む。
さらに、長い階段を無言で登り続け、五階に辿り着いた時、廊下の壁にある部屋の扉まで向かった。
コンコン。と扉を鳴らすと、「入ってよいぞ」と言った少女の大きな声が聞こえた。
扉を開けた先には、豪華な部屋が目に入った。黄金で装飾された、いかにもお姫様の部屋。そんなところで、一人の少女がベッドに座っていた。
「久しぶりじゃな。一年ぶりか?」
腕と足をそれぞれ組み、ドヤ顔でこちらを見つめる金髪の美少女。流石は王女様といった美貌をしていて、年齢はカナタたちと同程度に見える。
「ああ。で、今日は何の用だよ。わざわざ俺らを呼び出して……」
「汝は王女である妾に敬語も使えないのか?」
「毎度このやり取りやってるからもう良いだろ。俺らを呼び出した理由を教えろよ」
敬語を使わず、タメ口で話すラインを睨む王女様だが、ラインも変わらず接する。すると、王女様はため息をつき、
「まあよい。汝らを呼んだ理由は、端的に言えば妾のボディーガード役じゃ」
と言い放った。
「今日は王国の祭りじゃ。騎士も王都の警備に当たる。よって、妾の身を守る者がいないのじゃ。だから、今日一日中ボディーガードをしてもらうつもりじゃ」
「まあ良いけどさ。なんで俺らなんだよ。アッシュだって今日は自由だからあいつでも良いだろ?」
「別に自由ではないじゃろ。それより! もしもあやつを呼んだら貴様を殺すぞ!」
先日カナタに言ったように、ラインたち四つ子、アッシュ、グレイスの家系は王族と深い関わりがある。
ボディーガードを頼みたいなら、国民にもよく知られている『剣聖』であるアッシュに頼むのが一番だろう。
しかし、何故か王女様は彼に頼むのは嫌なようだ。
「なんでだよ!? アッシュのこと嫌いじゃないだろ?」
「それはそうじゃが……。あやつに頼むのは絶対ダメじゃ! 分かったな!?」
「分かったって」
(嫌いじゃないならアッシュで良いだろ……。俺らより国民に知られてるし、誰かに襲われそうになっても抑止力になると思うけどな……)
王女様に頭をかきながらそう答え、ラインは心の中でそう考える。その一方で、ライン以外の四人は同じことを考えていた。
(いや、これ、アッシュのことを好きなんじゃない?)
共にそう思い、お互いの顔を見合わす。「多分そうだよね?」といった顔をしていると、王女様が口を開いた。
「ところで、そこの黒髪。貴様は誰じゃ?」
「え? あ、夜凪叶向です。よろしく……お願いします」
「不細工な名前じゃな。妙な髪色をしおって、気色悪いのう」
「え、えぇ……」
初対面でボコボコ言われてしまい、カナタは小さな声でそう呟く。めちゃくちゃ酷いことを言われた訳では無いが、いきなり侮辱はびっくりした。
「これから妾は着替える。セツナとレンゲ以外は出ていくのじゃ。さもないと殺すぞ?」
「物騒なことばかり言いやがって……。本当に王女かよ……」
「おい。聞き捨てならないのう。妾を侮辱したら処刑にするぞ!」
「分かった分かったって。じゃあ俺らは出てるから」
そう言うラインについて行き、男子三人は王女様の部屋から出ていった。
――中に残った女子三人。ベッドに座ったままの王女に顔を向け、セツナは尋ねる。
「どうして私たちを部屋に残したの?」
「決まっているじゃろ? 妾の着替えの手伝いじゃ。今日はドレスを着る必要があってな、それを手伝うのじゃ」
「えー。私たちが手伝わないと着れないの?」
「汝は妾をバカにしているのか? まあよい。早く済ませるぞ」




