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第25話『腐蝕の呪い』


「――呪いだよ」

 

 そう『知恵の神』は言い放った。カナタとしては、魔法や特殊能力がある異世界だし、呪いも普通にあるのかーと考えていた。

 しかし、ラインとアレスが心当たりのない顔をしているのを見て、この世界でも呪いは流行しているわけではないと悟った。


「呪い……? そんなのがあるのか? 今まで生きてきたけど知らなかったな……」


「ちなみに、昔は他者に呪いをかける魔法があったんだけど、その使用者は全て死に絶えた。そして、君たちが受けた呪いは昔のソレとは違うよ。何か新しいものだった」


 アステナによると、昔は呪いの魔法があったのだが、今回ラインたちが受けた呪いはまた違う種類のものらしい。


「それで、どんな呪いなの? 対処法とかあるかな?」


 アレスが質問をすると、アステナは髪の触覚を触りながら困ったように「うーん」と嘆いた。


「さっきも言ったけど、昔の呪いは魔法だったんだ。だから防御魔法で身を守ることが出来たんだけど、今回のはそうはいかない。魔法じゃないからね」


「……つまり?」


「相手に触れられないように警戒する以外、身を守る術が無いってこと。危険なんてものじゃないよね。腕を触られただけで全身が腐敗するんだから」


 ……そうなると、もしまたあの男にあった場合、カナタは対処することができない。ラインとアレスがどうかは知らないが、カナタとしては、あの男の動きを目で追い、さらに攻撃を避けることは到底できないと思ってしまう。


「しかも、あいつは自分の見た目を変える力も持ってるからな。あと、強い重力で地面に押し付ける攻撃もしてくるぞ」


「僕も戦ってる時に、斬撃が変な方向に曲がったりしたよ」


 そこまで聞いて、カナタは「あれ……?」と思った。強い重力。地面に押し付けられる。そんな出来事が、カナタにはあったではないか。


「待って、俺、そいつのこと知ってるかも。会ったことあると思う」


「はぁ? 知り合いか?」


「いや俺この世界の人じゃないから知り合いいるわけないだろ?」


 まあそりゃそうか、と納得したような顔を見せ、ラインは続けて「それで、どこで会ったんだ?」と質問する。


「グレイスに初めて魔法を教えてもらった日のことなんだけど、俺をこの世界に連れてきたやつが俺を襲ってきたんだ。その時に、強い重力で地面に押し付けられたよ」


「なるほど。君をこの世界に連れてきたやつと、今回襲って来たのが同じということだね。それにしても、中々厄介な力を持ってるね……」


 アステナの話に納得しながらカナタは頷いていたのだが、「ん?」と引っかかってしまうことがあった。


 それは、カナタが別の世界から来た人ということを知っているのはラインたち四つ子とメイド二人だけのはず。まあ、彼らがアステナに話した可能性はあるし、そこまで気にはとめなかった。


「――さて。私から今言えることは以上だよ。とりあえず、もしまた襲われたら構わず逃げること。特に君、カナタ君はね」

 

「え、俺?」


「うん。君をこの世界に連れてきた者と、襲ってきた者が一緒だと考えると、君は狙われているみたいだからね。充分気をつけて」


 あと数日でカナタは魔法学園に通うことになると言うのに、あんな化け物に狙われているのなら平和に過ごせないだろう。本当に勘弁して欲しい。


「それじゃあみんな、ここから出ていって貰おうか。私は読書をするからさ」


「じゃ、僕たちはリビングに行こうか」


 一人の時間を邪魔するのも悪いと思い、アレスの提案に「そうだなー」と乗り、三人で扉に向かって歩き始めた。

 ところが、


「……あ、やっぱりライン君は残ってよ」


「え、なんでだよ?」


 何故かラインだけが呼び止められ、不思議そうな表情をする三人。しかし、アレスは何か気づいたように、カナタの腕を引っ張って扉から出ていった。


 ――一方、ラインはアステナの返答を腕を組んで待っていた。すると、アステナは指で髪の触覚をいじりながら頬を赤く染める。


「だって、もっと一緒にいたいと思って……」


「いつも一緒に寝てるだろ?」


「それはそうだけどさぁ……。もっとこう、乙女心を理解して欲しいな。君たちの種族は恋愛に関して鈍感すぎるよ」


「いや、アステナも人の事言えない気が……」


「う、うるさいなぁ。――い、良いからこっち来てよ。も、もう少し一緒にいよ?」


 白い肌を真っ赤に染め、声を震わせてそうつぶやくアステナ。ラインは頭をかき、彼女の方へ向かって行った。

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― 新着の感想 ―
何も対抗手段が無いのかな? 以前はあったのだから何か対策は打てそうに思うけど、それを今後に開発するとか? (´・ω・`)
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