表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/50

第24話『『知恵の神』』


 ――見慣れた天井。そうカナタは思った。なぜベッドで寝ている? 確か、昨日は制服を取りに行った帰りに、変な男に襲われた。そこまでは覚えているが、それ以降のことを思い出せない。


「ん……」


 ゆっくり身体を押し上げると、足を組んで椅子に座っているラインと目が合った。


「あ、起きたか。身体は大丈夫か?」


「うん。全然なんともない。昨日の記憶が曖昧なんだけど……」


「昨日、変なやつに襲われただろ? あの後、アレスがお前をここまで運んだんだが、全く起きなかったらしい。疲れてたのかもな」


 ああ、そうだった。アレスが担いでくれたのだった。後で会ったらお礼をしなければ。そう思っていると、ラインが突然質問を切り出した。


「お前も一度、身体を腐敗させられたんだろ?」


「ああ、そうだよ。あれは本気で死ぬかと思った。俺の《破壊》って『権能』が発動して、取り払ってくれたんだ。その後、治癒魔法で身体を治して……。あれ?」


「どした?」


 昨日は何の不思議も思わなかったが、今ラインと話して、違和感を覚えた。首を傾げ、カナタを見つめるラインに「あ、いや……」と返し、


「グレイスが言ってたんだ。腕を無くしたりしたら、魔力の燃費の関係で再生できないって。でも、俺の身体は溶けて、皮膚もぐちゃぐちゃだったんだ。なんで再生できたんだろ……」


「……さあな。火事場の馬鹿力ってやつじゃないか? とりあえずは運が良かったと思えばいいだろ」


 と、ラインは答えた。正直あまり納得しないが、原理も分からないし、これ以上考えるのはやめた。


「なぁ」


 ラインに呼びかけられ、カナタはゆっくり立ち上がりながら目を向ける。


「頼みがあるんだけど、ちょっと来てもらえるか?」


「え? もちろん良いけど、なんで?」


「昨日の男の腐敗させる力。あれを解析する」



◆◇◆◇



「昨日の男の腐敗させる力。あれを解析する」


 そう言ったラインの後ろに続いて、カナタは廊下を歩いていた。相変わらず広い屋敷だと思うが、端まで着くと、ラインが左手側にある扉に手をかけた。


 そして、ゆっくりと開くと、大量の本棚が置いてある部屋が目に入った。

 前は、グレイスの屋敷にある図書室に入ってしまったことがあるが、それとはまた違って、ここは図書館のような空間だ。


「すっげぇ……。本が沢山……。え? 誰?」


 タイトルが読めないずらっと並んでいる本に目を通して、奥まで目を向けると、椅子に座っている白銀の髪の女性がいた。


「――おや、来たようだね」


 優しくもミステリアスな声色で、開いた扉の方に目を向ける女性。その瞳も、髪色と同じく白銀で、そして何よりも、


 (めっちゃ美人……。え、えぇ? 綺麗……)


 もう言葉で言い表せないほどの美人だ。神秘的な美貌を持ち、びっくりするほど綺麗な正面顔がカナタの瞳に映った。


「……はじめまして、だよね?」


「あ、えっと……。は、はい。はじめまして、ですね」


 何か変な質問だとは思ったが、カナタは上手く言葉が出てこなくなり、焦りながらそう答えた。


 一定の間があり、女性は「……そっか」と呟き、


「君の名前は知ってるから、私の自己紹介をさせてもらうね」


「は、はい」


「――私の名前はアステナ。『知恵の神』でもある。好きな方で呼んだら良いよ」


 ……は? 今何と言った? 『知恵の神』とそう言った。彼女は神様なのか。そりゃ異世界だし、そんな強い力を持つ人がいてもおかしくはないが、こんな普通に話してくれる感じなのか。


「え、か、神様なんですか?」


 あまりの衝撃で敬語になってしまう。すると、女性はクスッと笑い、


「いや、別に敬語じゃなくていいよ。――とまあ、お話はこの辺にして、三人を呼んだのは、君たちが腐敗の攻撃を受けたからだ」


 三人? 今ここにいるのはラインとカナタだけ。残り一人は……と考える間もなく、もう一人は現れた。


「僕は身体に広がる前に腕を切り落としたから、役に立てるか分からないけど……」


「一応ね。人は多い方がいいよ」


 もう一人とはアレスのことだった。彼も腐敗の攻撃を受けたのだが、一瞬の判断で腕を切り落とし、全身まで広がることはなかった。

 それでも、攻撃を受けてはいるので、何か情報を得られるかもと感じ、アステナはアレスも呼んだのだ。

 

「それじゃあ、早速始めるね」


 アステナはゆっくり立ち上がり、そう言った。

 その瞬間、カナタ、ライン、アレスの身体に銀色のオーラが光った。


 (え、な、なにこれ!?)


 そう声に出そうになりながらも心の声で我慢し、ラインとアレスがしているように目を閉じる。



 ――二分くらいたっただろうか。身体にまとわりついていた銀色のオーラが段々と消えていくのを何となく感じる。


「はい、終わりだよ。ちょっと解析に時間かかっちゃったね」


 たった二分程度で見知らぬ技を解析出来るのは流石神様だと思う。

 ――っと、それよりも解析結果を知りたい。カナタが質問するより先に、ラインが急かした。


「それで、どうだったんだ?」


「簡単に言わせて貰うけど、君たちが受けた攻撃は……」


 三人とも唾を飲み込み、その口から紡がれる言葉に聞き耳を立てる。

 そして、アステナが呟いた。


「――呪いだよ」


 そして、知恵の権化はニヤッと笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
呪いだったのか。 (´⊙ω⊙`)! 続きがめちゃ気になります。 (*´ω`*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ