エクレアとの会談と発見報告
穏健派で魔王の娘であるエクレアによるノクターン魔法国の現状を聞かされてから三日後。
ジェフ国王がホーエルにやって来た。
緊急を要するために転移で来たらしく、エルクとマリアの知人の葬儀も行われた。
そして、葬儀後にエクレアと共にギルドのもう一つの空き部屋で話が行われた。
「エクレア嬢から聞いた時には信じられなかったが……、まさかクーデターをノクターン魔法国で起こすとは……」
「しかも、グズマのパーティーメンバーの家系が主導していたらしくてな」
「なるほど。 おそらくは娘を処刑された復讐なのかも知れないな」
「あいつらの家系は自分本位だしね。 グズマの家系の方が酷かったから気付かなかったよ」
「その家系はどうも過激な貴族主義思想を持っていますしね。 エルクさん達の新たな担任の教師もその家系の差し金でしょうね」
ノクターン魔法国が『アリストクラット』残党によるクーデターで乗っ取られた事にショックを受けるジェフ国王。
カトルは、マライアとカレンの家系が主導していたという事を話すと、ジェフは処刑されたその家系の娘の為の復讐ではと疑う。
メルルもその家系が自分本位であることを忘れてしまった事を反省しており、エクレアは教師がマライアやカレンの家系の差し金ではと予測した。
「エクレア嬢、あれからの魔王軍とは相変わらず膠着状態ですか?」
「ええ、未だに動いておりません。 向こう側の魔族が私達に寝返ってますし」
「スパイの可能性はと思ったけど、魔族は諜報活動が苦手みたい」
「なるほど……」
「私の信頼できる秘書が代わりに司令官を務めていますから、膠着状態の間に私もノクターン魔法国の解放に協力をしたいと思います」
「よろしいのですか?」
ジェフ国王は三日前のエクレアの話を改めて確認した。
流石に三日経っただけでは戦局はあまり動いていないみたいだ。
なので、エクレアは司令官代行を秘書に任せてノクターン魔法国の解放に協力する事を申し出た。
「私率いる穏健派の思想は、人や魔族が仲良く暮らすことを想定しています。 『アリストクラット』の思想はその真逆の思想ですからね」
「そうですか……」
エクレア率いる穏健派の思想は、人間や魔族が仲良く暮らすことを想定している。
逆に『アリストクラット』の思想は貴族主義。
つまり、エクレアの思想とは真逆なのだ。
『エクレア様』
「あら、どうされました?」
そんな感じで色々と話しあっている所に、エクレアの首に掛かっているネックレスが光り、そこから声が聞こえた。
カトル達がそれに驚く中で、エクレアは対応する。
『ノクターン魔法国の王族とみられる方たちを発見しました。 場所は東の湖……かつてエクレア様がカトル様達と一緒に戦ったあの【レイクラーケン】が潜んでいた場所です』
「東の湖に!?」
「ノクターン魔法国の王族が!?」
話の内容から、どうやらクーデターの後に行方をくらませたノクターン魔法国の王族を哨戒任務中のエクレアの仲間によって発見されたようだ。
発見場所はかつてエクレアと共に【レイクラーケン】を倒したあの東の湖だ。
「彼らの状態は?」
『まず、生死についてですが全員生きてます。 ですが衰弱していたので、食料を与えました』
(生きていたんだ……、よかった)
ノクターンの王族の生死については、生きてはいるが衰弱している状態だったようだ。
そのため食事を与えたら持ち直したのだとか。
ノクターンの王族が生きていたことにメルルは安堵したようだ。
『ですが、クーデターの際に即座に狙われたのでしょう。 切り傷が幾つかあり、服も破れてました。 幼い王女も生きてますが、心の傷が……』
「そうですか……」
だが、王族の切り傷の数が多く、幼い王女に至っては心の傷が酷いらしい。
カトルとジェフ国王はそれを聞いて表情を歪める。
『ひとまず、彼らをこの場所の近くにある村……ホーエルの村まで送ることにします。 エクレア様もそこにおられるのですよね?』
「ええ、ホーエルにいます」
『では、彼らをカトル様やメルル様、ジェフ国王様と共に出迎えてくれませんか?』
「分かりました。 東の入り口でお待ちしてます」
そう言って、エクレアは仲間との通信を終えた。
「東の湖で発見とはな。 悪運が強いのか、奇跡なのか……」
「生きててくれたのはいいけど、幼い王女様のトラウマが深いのが気がかりだね」
「ええ、とにかく東の入り口まで行きましょう」
「ああ」
ノクターン魔法国の王族に色々思う所はあるものの、心配であるため、全員で東の入り口に向かう事になった。
(これで今のノクターン魔法国の状況が分かればいいんだけど)
カトルは心の中でそう思うのだった……。
次回は9月17日(土)の更新予定です。
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