エクレアからの衝撃的な報告
「皆さん、お久しぶりです」
「エクレアさん!」
ノクターン魔法国に関する事で、当国がいい動きをしてくれる事を期待しながら冒険者活動に精を出していたカトルとメルルとノエルの前に、現魔王と敵対している魔王の娘のエクレアがホーエルの村を訪れて来た。
カトルとメルルは二度会っているが、ノエルは誰なのか分からないので首を傾げている。
「ノエルちゃん、この人はエクレアさん」
「エクレアと言います。 よろしくね、ノエルちゃん」
「ん……♪」
カトルがそんなノエルにエクレアの事を紹介し、エクレア自身も名乗りながらノエルの頭を優しく撫でた。
撫でられて気持ちいいのか、ノエルは嬉しそうに目を細める。
「エクレアさんがここに来たというのは……?」
「色々ありますが、現魔王との戦いは膠着状態なのですが、その最中に起こった事について報告がありまして」
「分かった。 クルルの家で話そう。 カトル君もノエルちゃんをシエラに見てもらうようにしてからクルルの家に来て」
「ああ」
何らかの報告の為に、わざわざエクレアがホーエルに来たという事で、メルルは彼女を村長のクルルの家に案内する。
その間に、カトルは先に自宅にノエルを連れて帰り、居候のシエラにノエルの面倒を見てもらうように頼み、その後クルルに家に向かった。
「あ、カトルお兄ちゃん」
「メルルとエクレアさんはもう中に?」
「うん。 色々話すことがあるみたいだしね。 カトルお兄ちゃんも中に入って」
クルルの家ではクルルが玄関で待っており、すぐにカトルを中に入れる。
メルルとエクレアはリビングに座っており、カトルはメルルと対面するように座る。
「さて、まずは現魔王との戦いの事ですが、向こう側の部下の何人かがこっちに寝返った事で現在膠着状態にあります」
「睨み合いか……」
「寝返った者は、向こう側のスパイってことはないの?」
「いえ、魔族は基本的にスパイ活動は苦手なので、それはありえないです」
「あー……」
まずは、現魔王との戦いの状態だが膠着状態にあるようだ。
理由は現魔王の何人かの部下が、エクレア側に寝返った為である。
メルルはそれらが向こう側からのスパイではないのかと勘繰るが、エクレアは否定した。
魔族は人間と違い、スパイなどの諜報活動は苦手らしい。
「その膠着状態の戦線の中で、私の部下を数人偵察に向かわせましたが、そこでこの服を着た男女の遺体が見つかったそうなのです」
エクレアはそう言いながら、魔法の玉を出し、そこから映像を出した。
「え!? この服装は……!?」
そこにはメルルやカトルにとっては見覚えのある服装を着た男女が転がっていた。
だが、エクレアが遺体と言ったので、その男女は既に事切れているようだった。
さらによく見ると、その制服は所々破かれており、女性の方は下着を露出しながら息絶えている様子だった。
身体も腕や足が千切られており、腹部も穴が開いていたようだった。
「ノクターン魔法国の学校の制服だ……! すでに魔物に殺されていたのか……!」
「はい。 別の部下から人間の国について調査を依頼してましたが、『アリストクラット』という組織の残党が各国に燻っているようですね」
「ええ、ノクターン魔法国から飛ばされたさっきの遺体の子たちの知り合いがこの村で保護しています」
「そのノクターン魔法国ですが……、どうもその残党を支援する家系によって乗っ取られたようです」
「何ですって!?」
時すでに遅しとはこういう事なのか……。
エクレアからもたらされた情報の内容に、カトルとメルルは驚きを隠せないでいた。
その傍らで冷静に話を聞いていたクルルは、エクレアにある質問をした。
「……その残党を支援している家系は?」
「調査の結果、その家系はワールロッド家とカラリア家だと判明しました」
「!? その家系は……!!」
「マライアとカレンの家系だというわけだね……。 あの処刑から逃げて時を待っていたのかもね」
エクレアからのさらなる答えにカトルは驚き、メルルも不快感を露にした。
処刑されたマライアとカレンの家系がノクターン魔法国を荒らして、乗っ取ったようだ。
「この話は既にベルセリア王家にも伝わってます。 別の反貴族主義の国にも伝えてありますので、何らかの形で動くでしょう」
「ノクターンの国王たちは?」
「現在行方不明です。 遺体はないので、殺されてはいないようですが……」
ノクターン魔法国の王家がこのクーデターで行方をくらませた事にもカトル達はショックを受けていた。
こうして、予想だにしなかった衝撃的な内容は、ベルセリアやフリージア王国だけでなく、すぐに全世界にも伝わることになった。
次回は8月20日(土)の更新予定です。
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