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二人の男女の事情

「そうですか……。 『ノクターン魔法国』の制服を着た男女が……」


「ええ、東の湖への道で彷徨ってたところを保護したんです」


 ホーエルのギルドに男女二人を連れて現れたカトル達に受付嬢は目を見開いたが、事情を説明するから先にご飯をとカトルが言った事で、ギルドマスターの部屋に二人を連れて食事をさせた。

 その間にカトルとメルル、ノエルがその経緯を説明していた。

 女性の方では、ノクターン魔法国の制服を着ていた事が分かり、後に男性の方もそうだったと判明した。


「しかし、すごい食いっぷりですね」


「今まであまりご飯を食べれなかったのかもしれませんね」


「みてるだけでおなかがいっぱいになりそう」


「あはは……」


 ノクターン魔法国の制服を着た男女二人の食いっぷりにカトル達が呆れる。

 だが、今まで何も食べてなかったのかもしれないと思うと、安易に口を挟めないのだ。


「ふぅ、ごちそうさまでした」


 そして、たらふく食べ終えた男女は、カトル達に向かってお礼を述べた。


「彷徨ってた所を保護していただいてありがとうございます。 僕はノクターン魔法国領の【リッシア】の町にある魔法学校の生徒のエルク・ルルミアです」


「同じくリッシア魔法学校の生徒、マリア・メルクーリです」


「魔法学校の生徒さんだったんだ……」


 お礼を述べた後で、男女が自己紹介をしたが、メルル達は彼らが魔法学校の生徒だと判明して驚きを隠せなかった。


「その魔法学校の生徒さんが、何故ホーエルの東の湖に?」


 ギルドの受付嬢は、エルク達が何故ホーエルの東に彷徨っていたのかを尋ねた。


「実は、数日前に担任の教師が急に変わりまして」


「急に変わった?」


「はい。 その担任は前の担任と違って、魔力が生まれつき優秀な貴族のみを教えようとしてました」


「ですが、ノクターン魔法国はベルセリアと同じ反貴族主義国家です。 それを許さないと僕達を含めた多数の生徒が批判しました」


「当然よね。 向こうも反貴族主義なんだから、貴族主義みたいな考えは受け入れられないんだし」


 エルク達が通っていたリッシアの魔法学校で、担任が急に変わったらしく、その担任は優秀な貴族のみを教えると言ったようだ・。

 ノクターン魔法国は反貴族主義なので、当然ながら多数の生徒からは反発の声が上がった。

 メルルもそれには当然だろうと言った。


「しかし、その担任が持っていた水晶玉が光った直後、私達はいつの間にか深い森に飛ばされていました」


「ええ!?」


「強制転移か」


「はい。 多分反発した生徒たちに向けて放ったものと思われます。 しかも飛ばされた場所がこの町から歩いて二日かかる場所だったのと、身一つで飛ばされたので対処も何もできなかったのです」


「最低だね……。 他の子たちは?」


「分かりません。 その場所には私とエルク君しかいなかったので」


「バラバラに転移させたか」


 マリアの話で、その担任が反発した生徒を水晶玉の力で強制的に身一つでバラバラに転移させたようだ。

 その話にノエルが驚き、カトルは強制転移ではと予想したが、おおむね合っていたようだ。

 エルクとマリアが飛ばされた深い森は、ホーエルからは歩いて二日掛かる距離にある場所だったようだ。

 メルルが不快な表情をしつつ、他の反発した子たちはどうなったのかを聞いたが、二人には分からないようだ。


「もしかしたら、その担任は『アリストクラット』の残党なのかも知れませんね」


「じゃあ、ジェフ国王に報告した方がいいですかね?」


「そうしたほうがいいでしょうね。 こちらからも報告しますが、あなた達からもお願いしますね」


「分かりました。 で、エルク君達はどうします?」


「二人がよければ、ギルドの空き部屋に泊まらせますが……」


「ぜひ、お願いします」


「服とかをどうにかしないといけないので……」


 もしかしたら担任が『アリストクラット』の残党である可能性が否定できないので、ジェフ国王に報告することにしたようだ。

 そして、エルクとマリアもギルドの空き部屋に暫く泊らせることで話は纏まった。


「では、エルクさん達はあちらの方から入ってください」


「はい」


 ひとまず、エルク達は他のスタッフの先導の下で、空き部屋に向かった。

 その後で、カトル達の討伐依頼完了の報告を行い、報酬を貰ってから、報告の為に村長であるクルルの家に向かったのだ。



次回は諸事情により6月18日(土)の更新予定でございます。


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