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少し遅かった救出

「ふふふ、この瞬間を待ってたんだよ」


「このアイドルのあられのない姿を撮って、この魔道具で拡散させれば……『マジカルアイドル・ピュアキュア』もお終いだ」


「うぅ……、いや……いやぁ」


 縛られて動けない少女を中心に水たまりが広がる光景を『スナップクリスタル』で撮影、そこに別の男が手にしている魔導具を介して拡散させ、『マジカルアイドル・ピュアキュア』を終わらせようと企んでいた男二人。

 少女がトイレに行くところを狙って男二人のうちの片割れが攫ったようだ。


「我ら貴族主義にアイドルなどという存在は要らんのだよ」


「だから、ファンに成りすまして色々仕込んだのさ」


「ううぅ……」


 失禁したショックと恥ずかしさで泣きじゃくる少女に気味の悪い笑みを浮かべながら男二人はそう言った。

 奴らは貴族主義の家系の生き残りで、アイドルと言う存在を抹消する為に、こういう行為を行ったのだ。

 ファンに成りすましてまで。


「さぁ、拡散の準備が出来た」


「よし、クリスタルをそっちに掲げるぞ」


「や、やめて……」


「そこまでだよ!!


「「なっ!?」」


 少女のあられもない姿を拡散されそうになる状況で、別の少女の声が響く。


「ぐわあっ!!」


「なっ!? クリスタルと拡散用の魔道具が……!?」


 二人が戸惑ううちに、火の玉が襲い掛かり、スナップクリスタルと拡散用の魔導具と一緒に男の片割れを吹き飛ばした。

 その際に二つの魔道具は破壊されたようだ。


「ユミナ!!」


「あ、アレス君……!」


 そこにアレスがユミナという少女の元に駆け寄る。

 そして、ユミナを中心に出来た水たまりを見てしまう。


「これは……」


「ひどいね……。 おねえちゃん、大丈夫?」


「う、うん……、助けに来てくれたの?」


「そうなんだけどね……。 ちょっと遅かったかな……」


 その後に駆けつけたノエルとメルルもユミナの様子にショックを受けた。

 そして、男二人のやった行為に怒りを露にする。

 カトルも無言ながら同じく怒りを隠し切れないでいる。

 だが、それ以上に……。


「てめぇらあぁぁぁぁぁぁっ!!」


「ぐびやぁぁぁぁぁっ!?」


 ユミナの幼馴染のアレスがキレて、男に回し蹴りを繰り出した。

 蹴りの攻撃を直撃した男は、悲鳴を上げながら吹き飛んでしまう。


「アレス君、落ち着いて!」


「おにいちゃん、おねえちゃん! これ……あの道具だよね!?」


「ああ、スナップクリスタルと……もう一つは不明だが……」


「多分、スナップクリスタルで撮ったものを拡散させて幻影として公開させるものだね。 これがあるという事は……」


「あいつら、貴族主義の奴らか」


「だろうね」


 キレたアレスにメルルは諫めようとするが、ノエルが壊れたスナップクリスタルと別の魔道具を見つけたようだ。

 メルル曰くもう一つは、スナップクリスタルの補助の魔導具らしい。

 世界各国で禁止指定されている魔導具があるという事で、男二人が貴族主義の者だと断定した。


「僕はアレスを諫める。 メルルとノエルちゃんはユミナさんを」


「うん」


「分かったよ。 気を付けてね」


「ああ」


 失禁したユミナをメルルとノエルに任せたカトルは、すぐにアレスの元に急ぐ。

 キレたアレスはさらに攻撃を激しくし、男二人は顔が酷いことになっていたようだ。


「よせ! そこまでにしろ、アレス!!」


 さらに拳で思い切り殴りつけようとしたアレスをカトルは止めた。

 そこでアレスも我に返る。


「気持ちは分かる。 僕もこの男は許せないからな。 だが、公式的な許可を出さない中で殺すのはだめだ。 逆に犯罪者にされるぞ」


「う……、すみません」


 冒険者としてのルールに、依頼者が公式に相手の殺害を許可しない限り、人を殺害するのは禁止されている。

 もし、そうなれば犯罪者として、重罪にされてしまうのだ。

 さらに公式で殺害の許可を出すのは、各国の王族ならびに大統領のみという。

 

 カトルに諫められたアレスは少し落ち込んだ。

 幸い、相手側には命には別状はなかったので、彼が犯罪者にならずに済んだようだ。


「さて、こいつで縛ってギルドに引き渡すとしようか。 念のため、ジェフ国王にも報告するかな」


 カトルは用意した縄で二人の男を縛り上げてから、水晶玉を取り出し、ギルドに報告する。

 ついでにジェフ国王にも報告を入れた。

 そして、ユミナの件もメルルとノエルのフォローで何とか立ち直ったようだ。


 こうして、アイドル誘拐事件はひとまず終わったのだった……。

 

次は諸事情により5月10日(火)更新予定です。


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