表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/78

幕間~シオン王妃とカトレア

「うーん……」


 季節が間もなく春に差し掛かろうとしていた時期。

 ここ、ベルセリア王国の王城内の王妃の部屋で、ジェフ国王の妻のシオン・ベルセリア王妃は報告書を見ながら唸り続けていた。

 その理由は、カトレアによって新たに判明した貴族主義の組織『アリストクラット』の情報であった。


「戦士至上主義のエルフィア家があの『アリストクラット』を牛耳ろうとしているとはねぇ」


 その内容とは、魔法適性の高いノエルを捨てた戦士至上主義のエルフィア家が『アリストクラット』を牛耳ろうとしているというものだった。

 他の貴族主義の一家も集まるその組織内で、戦士至上主義のエルフィア家だけが他と距離を置かれている事が原因のようだ。


「だからと言って、組織を牛耳って戦士至上主義を組織内に浸透させようとするとか……。 まぁ、()()エルフィア家だからねぇ」


 エルフィア家の黒い噂はギルド経由で聞いているし、ジェフ国王に相談に来たカトルやメルルからも話を聞いていたのでいまさらと言う感じはあるが、それでもブラックリストに載り続ける危険な一家である事には変わりはない。


「それでも早いうちに芽を摘んどかないと、組織が大きくなってからでは遅いしね」


「シオン王妃様、カトレア様が来られました」


「カトレアさんが? うん、入ってもらって」


「畏まりました」


 シオン王妃が独り言ちている時に、メイドからカトレアが来訪したという報告を受け、彼女をここに入れておくように命じた。

 メイドが去ったと同時にカトレアが入って来た。


「どうもです、王妃様」


「カトレアさん、こちらこそ無理を言ってすみません」


「いいですよ。 私も夫も『アリストクラット』という組織は危険性を感じてますから。 それで幾つかの報告をしようと……」


「新しい報告……?」


「ええ。 まず、諜報部隊の新規訓練所の設立はホーエルから派遣された建築魔法の使い手の建築士のおかげで早期に完成が見込まれます」


「そっちはすごく助かるよ。 後で報酬をあげないと」


「そうしてあげて下さい。 あと次の報告ですが、面白い内容ですよ」


「どんなの?」


 まずは諜報部隊の訓練施設が早期に完成が見込まれることは、シオン王妃にとってはいい報告だった。

 今回の『アリストクラット』の件以降も、何らかの形で増員が必要だったこともあって、訓練所の新設は急務であったからだ。

 そしてカトレアからもたらされる次の報告が面白い内容だとの事で、シオンは首を傾げながら話を聞く事に。


「貴族主義の組織『アリストクラット』が早速分裂しはじめています」


「分裂? もしや、エルフィア家の主義が原因で?」


「ええ。 エルフィア家の思想を是とする貴族たちとそうでない貴族たちで派閥が出来上がってしまい、そのまま内部対立の形になっているようです」


「ふーむ……。 でも、何でそんな急に内部分裂なんて許しちゃったの?」


「ファミリアを使って詳しい調査をしたところ、どうも『アリストクラット』は貴族主義の貴族たちがただ集まっただけになっており、代表などは決まっていない状態だったようです」


「うわぁ……。 代表がいないんじゃそうなるかぁ……」


 次にもたらされた報告内容は、エルフィア家の思想を是とする者とそうでない者たちとで内部対立ならびに分裂が起こっていたという報告内容だった。

 しかも、『アリストクラット』と言う組織は代表が居ない状態のままだったようで組織の体を成していないとの事だった。

 組織を纏める代表が居ないことで、思想の対立がいtも容易く行われていたという現実にシオン王妃はただ呆れるばかり。


「とにかく『アリストクラット』を潰すのは今ってところかな?」


「そうですね。 私と夫で殿(しんがり)を務めて、後は騎士団や戦闘力が高い諜報部隊でいなす事で一斉検挙できますね」


「処刑されたグズマ一行のパーティの家の者も入ってるらしいから、徹底してやらないとね。 エルフィア家の捕縛と解体がメインだけど」


「先代王妃様にも報告してあるので、すぐに準備は整うと思います」


「お義母様にも報告したんだね。 じゃあ、後の指揮はカトレアさんに頼んでもいいかな?」


「ええ、いざという時はメルル達にも依頼しますけどね。 できれば避けたいですが」


「でも、カトル君達はノエルちゃんの件で腸が煮えくり返っているから、やる気満々じゃないかな?」


「確かにそうですけどね」


 頭を切り替えたシオン王妃は、カトレアと確認を取った。

 組織の体を成していない今こそ『アリストクラット』を潰すチャンスだと。

 カトレア自身もカルロスと共に騎士団や戦闘力の高い諜報部隊を連れて『アリストクラット』を壊滅させる気満々だ。

 一方で、いざという時にカトルやメルルにも頼ろうと考えてはいたが、出来るだけそうならないようにしたいとカトレアは考えていた。

 しかし、シオン王妃の言うようにカトルやメルルもノエルの件で特にエルフィア家に怒りを露にしているので、依頼されたら平気で引き受けるのではと予想していた。


「じゃあボクは夫のジェフ君にもこの件を伝えるよ」


「お願いします。 私もすぐに組織の壊滅に向かいますので」


「うん、気を付けてね、カトレアさん」


「ええ、シオン王妃こそ。 では、失礼します」


 そう言って、カトレアは王妃の部屋を出ていく。


「さて、ボクの方も忙しくなりそうだね」


 残されたシオン王妃も、これからの忙しさに備えて準備を勤しむことにしたようだ。

 これにより、貴族主義組織『アリストクラット』壊滅の秒読みは刻一刻と迫っていた。


次は諸事情により2月4日(金)更新予定です。


作者のモチベーションの維持に繋がりますので、よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ