表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/78

エビルグリズリーの弱点

「グオォォォォォッ!!」


「あわわわ~~っ! 追いかけて来るよぉ!?」


「ほ、本当にこれでいいんですかぁ!?」


 殺気を込めて追いかけて来るエビルグリズリーから逃げる選択をしたカトルとメルルに対し涙目になりながら訴えるノエルとギルドのスタッフ。

 だが、当の二人はそのまま逃げ続けている様子だった。


(メルル、奴は僕達を追いかけ続けているか?)


(うん。 距離を保ちながら逃げてるから私達を追いかけたままだよ。 そうしないと先回りして追い詰める方法に変えられるからね)


 だが、メルルの念話魔法でカトルとやり取りをしているようだ。

 二人が念話で言うように、彼らとエビルグリズリーの距離はまだ一定を保ったままだ。

 おそらく、距離を開けてしまうとエビルグリズリーが先回りをしてメルル達を追い詰める方法に変えてくるからだ。


「お、おにーちゃん! まだ追いかけてくるよぉ!?」


「ああ、そろそろ頃合いだな。 メルル!」


「うん! 私に密着するように詰めて!」


「え、え……!?」


 お姫様抱っこをされたまま不安そうな様子で追いかけて来るエビルグリズリーを見てカトルに伝えるノエルに、カトルは頃合いだと言った。

 それを聞いたメルルも自分に密着するようにと言ったので、手を繋がれていたギルドスタッフも困惑していた。

 メルルは困惑する二人をよそに、ある魔法を唱えた。


「重力よ、私達に力を! 【レビテーション】!!」


 メルルが走りながら唱えた魔法は、浮遊魔法【レビテーション】。

 彼女の魔力なら長時間浮遊することが可能である。 そして、密着した状態なら複数に効果が及ぶ。


「おっとと……! 相変わらずこれは慣れないな」


「これで私達は浮遊状態になったから、湖を渡るよ!」


「よし!」


「み、湖をですか!?」


「ほえぇぇ……」


 浮遊魔法【レビテーション】の力で浮遊したメルル達は、そのまま湖の上を進むようだ。

 それを聞いたスタッフは驚き、ノエルは呆然としていた。


「グガアァァァァァッ!!」


 メルル達が湖の上を渡り始めた時に、エビルグリズリーがそのままついて来た。

 その直後、エビルグリズリーが湖の中にバシャーンという音を立てて飛び込んでしまった。


「ギャアァァァァァァッ!!!」


 そして、すぐにエビルグリズリーが苦しみの声を上げた。

 陸に上がろうにも、苦しさの為なのかどうする事も出来ないらしい。


「え、っと……? おにーちゃん、おねーちゃん……。 これって?」


「ああ、当時の私達もこうやって(シャ)()(ゥー)()のエビルグリズリーを倒したんだよ。 アレの弱点は湖の水や海の水だからね」


「湖の水と海の水が弱点ですか?」


「そうですよ。 エビルグリズリーの皮膚は淡水や海水に対しててんでダメらしいんですよ。 ここも湖なので奴にとっては地獄そのものですよ」


「しかも(シャ)()(ゥー)()状態は、相手を獲物として食べようとする為に追いかける事に専念しているから。淡水や海水が近くにあっても気付かないんですよ」


「それであのやり方なんですか……」


「ほえー……」


 湖の水による痛みなのかもがき苦しむエビルグリズリーをよそに、カトルとメルルが説明する。

 エビルグリズリーの皮膚が淡水や海水に対してダメなようで、そのために湖や海の水が弱点らしいのだ。

 通常ならそれを避けて行動するのだが、このエビルグリズリーはいわゆる(シャ)()(ゥー)()状態。 空腹を満たすために獲物を追いかけて何としても食すことだけしか考えてないので湖の存在も気付かなかったのだとか。

 いわば、カトルとメルルが距離を保ちながらある程度逃げに徹したのもこの為であったのだ。

 それを聞いたノエルやギルドのスタッフも開いた口が塞がらなかった。


「あ、動かなくなった」


「死んだみたいだね。 皮膚もかなり爛れているよ」


「傍から見てもグロいな。 まるで溶けてるみたいだな」


 エビルグリズリーが暫くもがき苦しんだ後で動かなくなったのを確認した二人は、【レビテーション】の効果が切れる前に向こう側に渡った。

 地上に着いた所で、カトルはノエルをお姫様抱っこから解放した。


「さて、ごめんな。 少しの間怖い思いをさせて」


「大丈夫。 おにーちゃんがずっと抱っこしてくれたから」


「家に戻ったら存分に遊んであげるよ」


「うん!」


「そうだね。 私もノエルちゃんと遊びたくなったし、帰ったらそうしよう」


「では、私もギルドに帰還しますよ。 一応、エビルグリズリーの出現は報告しましょうか?」


「お願いします。 こちらからも報告はしますが……」


「分かりました。 報酬を渡す際にお願いしますね。 では」


 ノエルと家に帰ったら遊んであげるという約束をしたメルルとカトルに、スタッフもギルドに帰還すると伝えた。

 その際にエビルグリズリーの出現の件を報告する事を二人は頼み、スタッフも了承して先に帰っていった。


「さて、僕達も帰ろうか」


「そうだね。 先にギルドに寄ってからだけど。 ノエルちゃん、手を繋ごっか」


「うん♪」


 なんだかんだで、無事に採取依頼が完了したので、カトルとメルルもノエルと手を繋いで仲良く村のギルドに向かった。

次は諸事情により30日(日)更新予定です。


作者のモチベーションの維持に繋がりますので、よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ