ジェフ国王との相談
翌日、メルルとカトルはノエルを連れて転移魔法を使って王都のジョンストンに向かった。
ジェフ国王に相談する際に、渦中の人物であるノエルを連れて行くか否かをメルルとカトルが話し合ったが、ノエルは一緒に行くと言ったので連れて行く事にしたのだ。
正直な話、相談内容はノエルにとって辛い内容でもあるので、カトル自身は無理強いはさせたくなかった。
「おにーちゃんがギュってしてくれたら安心できる」
こうノエルに言われたので、仕方なく連れて行く事で話がまとまったのだ。
王都に着いてからは、ノエルは珍しそうに周りを見ている。
カトルに手を繋がれているので、はぐれる事はないと思うが、好奇心旺盛な一面にカトルもメルルも冷や汗ものだ。
「すみません、カトルです。 国王様に相談があって来ました」
「おおっ、カトル殿にメルル殿。 ご案内します。 して、その子は?」
「私達の妹になった女の子です。 訳ありでして……」
「なるほど……」
メルルが兵士に簡単にノエルの事を説明すると、兵士は何となく察したようだ。
そのまま、ジェフ国王の部屋の前に着いたようだ。
「国王様、カトル殿とメルル殿が来られました」
「ああ、入ってもらってくれ」
「はっ! さて、皆様どうぞお入りください」
ドアの奥にいるジェフ国王の一声で、兵士がドアを開けて、国王の部屋に入ることを促す。
メルルが先頭にカトルはノエルと手を繋いだまま部屋に入る。
「やぁ、来たね。 それでその子はクルル嬢が言っていた……」
「ああ、ノエルちゃんだ。 戸籍変更で僕達の妹としたんだ」
「よ、よろしく……です……」
ちょっと人に慣れていないのか、怖いのか?
ノエルはカトルの後ろに隠れながら何とか声を振り絞って挨拶をしていた。
「人見知りが激しいのかな? それとも……? まぁ、とにかく座ってほしい」
そう言ってジェフ国王はカトルとメルルに、ソファーに座ることを促してくる。
二人はそれに従い、国王と対面するように座る。
その後にノエルがカトルの膝の上に座る。
「早速だけど、相談内容がノエルちゃん関連らしいと聞いたけど……」
座った直後に、ジェフ国王が早速本題を話し始める。
「うん、エルフィア家絡みの話なんだけどね」
「ああ、父上や母上がまだ現役だった時代から、ブラックリスト入りした貴族主義の家系だな? もしや、その子は……?」
「そうなんだ。 ノエルちゃんはエルフィア家を追放されたみたいなんだ。 戦士の素質がないからって……」
「戦士至上主義と言う名の職業差別も続けていたのか、あの家系は」
「その考えを持つエルフィア家は、ギルド間でも悪い意味で有名みたいだよ」
「だろうなぁ……」
カトルとメルルが事のあらましを話すとジェフ国王は額を手に当てながら呆れだす。
国王自身も、エルフィア家の悪事は知っているが、職業差別すら今でも行われていた事に関して怒りを通り越してしまったみたいだ。
「母上が、王妃を引退してからもエルフィア家を調べていたんだけど、どうも厄介でね……」
「厄介……?」
寝始めたノエルを抱きしめたカトルが、首を傾げる。
厄介という単語に引っかかったのだろう。 ジェフ国王の母親による調査報告で何かが判明したのだろうか?
「年が明ける前にセレティアで処刑されたグズマ一行の事は?」
「ああ、知ってるよ。 思い出したくはない程にね」
「私も同じだよ」
さらに話を続けるジェフ国王からグズマ一行の話が出て来た。 どういう意味だろうとカトルとメルルは首を傾げる。
「そのうちの一人のカレンの家系が、エルフィア家と繋がっているんだよ」
「「はぁ!?」」
まさかの事実にカトルとメルルは驚いていた。
グズマ一行の片割れであったカレンの家系が、ノエルを追放した戦士至上主義のエルフィア家と繋がっていたのだから……。
「とはいえ、セレティア国王もそれに気付いたようで、カレンの家系は強制解体、鉱山送りになったけどね」
「そうだろうな……。 他国の貴族と繋がっているなら、黙ってはいられないし」
「それでもエルフィア家はそれを利用して上手く逃れたらしい。 その後も事あるごとに工作をして難を逃れたようなんだ」
「卑怯すぎるね……」
エルフィア家の狡猾さを聞いて、メルルは不快感を示す。
カレンの家系をスケープゴートに仕立てて、他の調査の手から逃れる事が出来た上に、事あるごとに工作をしていたのだから、無理はないだろう。
「だから、こっちからも母上の元に優秀な諜報部隊を派遣した。 彼らの力でエルフィア家を丸裸にするんだ」
「そうだな…」
「で……、カトル君やメルル嬢はノエルちゃんが捨てられた地点とかは分かるか?」
「ギルドの受付嬢さんが捨てられたノエルちゃんを発見したそうで、地図にも記録してもらったと思うよ……。 えーっと、どこだったかな?」
そして、ジェフ国王がノエルが捨てられた地点はどこかを聞いてきた。
メルルは、アイテムボックスを取り出し、当時のノエルを発見した受付嬢が記録したという地図を探し出す。
「あ、あったあった。 これが擦れられた地点を記録された地図だよ」
ようやく見つけた地図を、テーブルの前に広げて、マークがされた場所を指差しした。
その地点は、『ホーエル』の西の街道の茂みがある部分だったようだ。
次は12日(水)更新予定です。
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