エルフィア家に関する黒い話
「あれ? カトル義兄さん、どうしたんですか?」
「エーちゃん、ごめんだけどジェフ国王様に相談のアポイント取れるようにしてくれない?」
「相談? 分かった、やってくるよ」
クルルの家に入って来たカトルを見て、エクスはどうしたのかと尋ねたが、クルルが国王への相談のアポイントを取ってくれという伝令を聞いて察したようで、対応しに行った。
そして、そのままカトルをリビングに案内し、お茶も用意した。
「急だからそこまでしなくてもいいんだが……」
「流石にそうもいかないよ。 それでノエルちゃんの件だけど……」
「ああ、それを言う前に、クルルはエルフィアという家系を知ってるか? ギルド間のネットワークでは悪い意味で有名らしいが」
クルルと対面する形でソファーに座ったカトルは、ノエルの事に関連する『エルフィア』の単語を出してクルルに聞いてみた。
その単語を聞いたクルルは、嫌な顔をしながらこう答えた。
「まさかその単語が出てくるとは思わなかったよ。 ギルドである程度聞いているなら察しはつくけど、あの家系はベルセリア王国内では最近ブラックリスト入りしている貴族主義の家系でもあるんだよ。 そして、戦士の素質を持つ人はヘコヘコして、それ以外の素質を持つ者には見下す職業差別主義の家系でもあるの。 後者の考えは身内にも適用してるって話だよ」
「職業差別の話はギルドでも聞いたが、貴族主義は初耳だな。 実はあのノエルちゃんもその家系の生まれだが、おそらく戦士系ではなかったが為に捨てられたんだ」
クルルによるエルフィアの家系の特徴を知っている限りの回答を聞いたカトル。
職業による差別主義は、ギルドでも聞いたがどうもかつて聖光祭でのトラブルの相手の人物のような貴族主義だった事は初耳だった模様。
その回答を聞いたカトルが、クルルにノエルの身に起こった事を予測を含めて打ち明けた。
「身内にも適用するってさっき言ったけど、本当にやるとはね……。 ノエルちゃんがかわいそうだよ……。 だから、カトルお兄ちゃんとメルルお姉ちゃんはあの子を家族にしようって考えてたんだね」
「ああ、まだ幼い子をあんな扱いにされたと聞いて放っておけなかったんだ」
「なるほどね……。 でも、何でノエルちゃんは戦士系じゃないって分かったの?」
「ギルド曰く、あの家系は10歳になったら素質の測定をしていたそうだ。 それで戦士系でなければ捨てるという決まりなんだとさ」
「聞けば聞くほど、最悪だね……」
クルルが相変わらず嫌な表情でカトルとエルフィア家の行いについての話をしていた。
カトルとメルルがノエルを家族に迎え入れる理由も、クルルは察してくれたようだ。
「クルル、カトル義兄さん、国王様へのアポイントを取って来たよ。 明日以降、いつでもいいって」
そして、エクスがリビングに入ってきて、ジェフ国王へ相談するためのアポイントを取って来たことを伝えられた。
「明日以降か……。 分かった。 明日にはメルルの転移魔法で彼女と一緒に行くよ」
「お姉ちゃんは分かるけど、その相談にノエルちゃんも連れて行くの?」
「ああ、一応な。 エルフィア家の非道な考えの証人としてだけど。 だけど、無理強いはさせない」
「捨てられたというトラウマがあるだろうからね。 じゃあ、明日お姉ちゃんと行くって事で国王様に伝えるね」
「ああ、頼む」
カトルは、クルルに明日王都にメルルの転移魔法で向かう事を国王に伝える事を頼んで、クルルの家を出た。
そして、すぐに隣の自分たちの家に戻る。
「メルル、ただいまー」
「あ、お帰りカトル君」
「おにーちゃん、おかえり」
「ノエルちゃんもただいま。 約束通りにギュってしてあげるぞー」
「んみゅ……♪」
カトルが帰ってきた途端にノエルがカトルの元にやってきたので、カトルは優しく抱きしめてあげた。
ギュっと抱きしめて貰ってご満悦なのか、ノエルはカトルの胸元を頬ずりしていた。
「ノエルちゃん、本当にカトル君が好きだね。 カトル君が帰ってくるまでは、私も同じようにスリスリしてくれてたけど」
「まぁ、僕達は安心感があるんだろうな。 目を合わせた時に僕達も元に来てギュっとして欲しいって言われた時はびっくりしたけど」
「無意識に魔力で探って、そう感じたんだろうね。 それよりもご飯が出来たから食べよう。 今日はノエルちゃんが家族になった記念だし」
「分かった。 ノエルちゃんもお腹が空いただろうから、食べようか」
「うんっ!」
ノエルに抱きついたまま、カトルがご飯を食べようと声を掛けると、ノエルは元気よく満面の笑顔で応えた。
この時のノエルの笑顔に、カトルとメルルは『可愛いッ! 天使だっ!』と心の中で叫んだのは別の話としておこう。
次は10日(月)更新予定です。
作者のモチベーションの維持に繋がりますので、よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。




