ノエルを家族に……
「メルル、その子……ノエルちゃんをどうする?」
受付嬢との話を終えたカトルが、メルルに問いかける。
「そうだね。 この子は私達で家族として迎え入れようと思うよ」
「そう来るよな。 僕も同じ考えだったけど」
「……いいの?」
メルルがノエルを家族として迎え入れようと考えていた事で、カトルも同じ考えだったことに安堵したようだ。
ノエルは、その事で目が点になって、聞いてきた。
「もちろんだよ。 君のような子を僕は放っておくことはできないしね」
「私もだよ。 この際だから新しい生活で私達と頑張ってみようよ」
「おにーちゃん…、おねーちゃん…」
ノエルの瞳に涙が溢れる。
そして…
「ふえぇぇぇぇん!!」
感極まったのか、堰を切ったように声を出して泣きながらカトルに抱きついてきた。
「辛かったんだな……。 もう大丈夫だ。 僕達が支えるから」
「そうだよ。 ノエルちゃんは一人じゃないんだから…」
二人はノエルにそう優しく声を掛けながら、ノエルが泣き止むまでカトルは彼女を抱きしめて、メルルは傍で彼女の頭を撫でていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ごめんなさい……、いっぱい泣いちゃって」
「いいんだよ。 泣きたい時に泣くのは自然な事だしね」
「そうそう、今まで辛かった分なんだから気にしちゃだめだよ」
「うん……!」
ようやく泣き止んだノエルは、たくさん泣いたことに関して謝っていたが、カトルとメルルは気にしていなかった。
むしろ、ノエルが追放と言う辛い経験をしたからこそ、二人は放っておくわけにはいかなかったのだ。
そんな二人の優しさに、ノエルはようやく笑顔を見せた。
その笑顔は年相応な天使の笑顔だった。
「受付嬢さん、この子は俺達が引き取ります」
「ええ、クルル村長にも伝えておいてくださいね」
「分かりました。 じゃあ、行こっか、ノエルちゃん」
「うん」
カトルとメルルは、ギルドの受付嬢にノエルを引き取ることを伝え、ノエルの手を繋ぎながらクルルの家へと向かった。
「あれ、お姉ちゃん達……って、どうしたのその子!?」
「私達が来る一時間前にギルドで保護されてたんだけど、私達で引き取ることにしたんだよ」
「どういうことなの?」
「訳は後で話す。 とりあえず、この子の戸籍を変えれないか?」
「訳ありなんだね。 だったら特例で可能になるよ。 普通は家族の同意を得ないと戸籍の変更は無理だけど。 ちょっと待っててね」
ノエルを連れてクルルの家に来たメルル達。
彼女を連れてきた二人にクルルは驚くが、ノエルを引き取ることを伝え、戸籍を変更できるかを聞いた時に察したようで、特例を使って戸籍変更の処理を行った。
待っている間は、ノエルとお話したり遊んだりしていた。
特にカトルと遊ぶノエルは、満面の笑顔だったと後にメルルが証言した。
そして、しばらくしてからクルルがカトル達の前に書類を持ってきた。
「お待たせ、戸籍変更は完了したよー。 私達と同じ苗字を使うって事は、お姉ちゃん達は、ノエルちゃんを妹として受け入れるんだね」
「うん、ノエルちゃんは10歳だし、私達の年齢の差からして、妹の方がいいかなって」
「まぁ、お姉ちゃんとカトルお兄ちゃんはまだ十代後半だしね。 じゃ、ノエルちゃん、ここに名前を書いてくれるかな?」
「ん……!」
クルルに促されてノエルは、一生懸命に自分の名前を書く。
そして書き終わった書類をクルルに渡す。
それを確認したクルルは、書類を受け取ってカトル達に向き合う。
「よしっ。 これでノエルちゃんも私達の家族になったね。 一応、この件に関してお母さんたちや国王様にも伝えておくね」
「うん、お願いね」
「あ、ついでに国王様に相談のアポも取ってくれないか?」
そう言って、クルルが家の中に入る直前に、カトルが思い出したかのようにこう伝えて来た。
「相談のアポ? うん、分かった。 ついでに私達にも訳を話してくれるんだよね?」
「そのつもりだよ。 メルル、暫くノエルちゃんを頼むよ」
「了解したよー。 じゃ、ノエルちゃんおうちに入ろうか」
「うん、おにーちゃんも早く戻ってきてね。 ギュってしてほしいから」
「分かった。 なるべく早く戻ってくるよ」
カトルは、ノエルの頭を優しく撫でた後、ノエルをメルルに任せて、ノエルの件での訳を話すためにクルルの家へ入った。
次は8日(土)更新予定です。
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