お祭り開始
グズマ達の再脱走の報告から、4日経過した今日、ようやく『ホーエル』村では初めての祭りが開催された。
本来は2日後に開催予定だったのだが、グズマ関連の最新情報が入ってきた影響で開催が延期されたのだ。
「まさか、グズマがそこまでやるとはね……」
なお、その情報の内容は、聞いたメルルが嫌悪感を示す程だったという。
その内容は、セレティア王国の呼び掛けで、国内の町や村、ならびに他国は即座にグズマ、マライア、カレンを国際級指名手配にした。
しかし、それが気にくわなかったグズマ達が、その町や村を襲撃。
大半の住民を殺した上で食糧や衣類を奪った事により、幾つかの町や村が壊滅したらしい。
さらに、マライアが勇者の力に等しき力をグズマに与えていたという内容も伝えられた。
これでグズマは本来の力を手にした事になる。
「そうなると最悪だね……。 グズマ達は自分たちの考えを否定した者たちを粛正し続けるよ。 果ては魔族も滅ぼして自分達だけの世界にするつもりだね」
「現時点では魔王を倒すには聖剣が必要だけどね…」
今の時点では魔王を倒すには聖剣が必要。
そして、それを手にするには勇者の素質とある条件達成が必須条件なのだが、グズマ達はそれを無視してでも手にしようとするだろう。
現時点で分かった情報はこれだけだが、カトルとメルルの状況からして、延期させるのには十分すぎる状況だったのだ。
そして、二人を休ませた後でクルルは、じっくりと祭りの準備に取り掛かったという事だ。
そんな流れから今に至るのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ホーエルの村の中央広場にあたる場所で、色んな食べ物が簡易的なテーブルの上に並べられていた。
「有志の人たちや住民の方にこの企画を伝えたら、喜んで準備をしてくれたよ」
「そうなんだね。 どうりで色んな料理が多く並んでいるなぁって思ったよ」
メルルが並べられた料理を見回しながら、そう言った。
クルル曰く、有志や住民の人たちに今回の企画を伝えたらしく、住民達や有志達は快く承諾してくれた上に、準備を手伝ってくれたのだ。
「そして私達もいるよー」
「あ、シエラと『マジカルアイドル・ピュアキュア』の皆さん!」
「彼女達がここに居るという事はもしや…?」
「そう、グズマ再脱走の影響で他の国の催しが延期になっちゃったよー。 その上でしばらくここに居る事になったのー」
「ああ、やはり……」
カトルの予感にシエラは肯定するように答えた。
やはり、グズマ再脱走の影響は大きかったようで、彼女達アイドルグループ『マジカルアイドル・ピュアキュア』の他国公演も延期になった模様。
さらに暫くは、この『ホーエル』の村に滞在することになったという。
宿屋を急遽拡張して、規模を大きくしたようで、大部屋が二つ作られたのだそうだ。
その大部屋二つに、アイドルグループのメンバーやスタッフが住み込むことになるようだ。
「でも、私達はめげませんよ! 今回の祭りで私達も歌う事が許可されたので、盛り上げていきたいと思ってます!」
「本当にありがたいよ。 他の人たちも盛り上がってるし」
アイドルの少女たちが、今回の件にめげずに盛り上げていく事を宣言し、周囲の者たちが拍手喝采するなどで盛り上がり始めた。
メルルもカトルも感謝をしていた。
「あ、エクス君が壇上に上がるみたい」
メルルが言うと、皆が壇上のエクスに注目する。
「皆さん、急な形になったのに関わらず、今回の祭りに参加していただきましてありがとうございます」
エクスによる祭り開始前の挨拶のスピーチが始まった。
メルルとカトルも固唾を飲んで見守る。
「発展途上の村ですが、これからのさらなる発展を願いまして今回の祭りを企画させていただきました。 規模は簡易で小さめですが、『ホーエル』村の最初の祭りなので、英気を養う形で盛り上げていきましょう。 では、皆さんコップを持ってください」
挨拶のスピーチを程々に終わらせ、乾杯の音頭を取るためにみんなにカップを持つように言った。
「では、ホーエル村のさらなる発展を願い、乾杯!」
「「「かんぱーい!!」」」
乾杯の音頭を皮切りに、お祭りがスタートした。
と言っても、野外パーティみたいなノリで、みんなで飲んで食べて騒ぐだけのものなのだ。
それでも、今のメルルとカトルにとっては、一種の清涼剤みたいなものだ。
この祭りで嫌な事を忘れられるように祈るばかりだ。
「では、私達は早速歌いまーす」
「「「うおおおおおおっ!!」」」
壇上にはシエラと他の『マジカルアイドル・ピュアキュア』のメンバーが上がっており、演奏スタッフとともに歌を歌い始めた。
それと同時に男性陣の絶叫が響き渡っていた。
「あー、忘れてた……」
「『マジカルアイドル・ピュアキュア』は男性に人気のアイドルユニットだったね……」
傍らで絶叫を聞いて、メルルとカトルは男性に人気のアイドルだった事を思い出し、少しゲンナリしていたがすぐに持ち直す。
「まぁ、彼女達もグズマの影響を受けたんだし、これくらいはいいんじゃない?」
「そうだね。 折角の祭りだし、僕達も楽しもうか」
そして、カトルの言葉を皮切りにメルルと共に今回の祭りを楽しむことを優先した。
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