新たな手口は「魔力爆発」
「爆発があったって言ってたけど、その施設に爆発物が設置されてたの? グズマ達がそこにいたのなら、設置は不可能だし……」
「崩壊した施設をセレティアの魔導士達が調査をしたところ、魔力による爆発だった模様です」
カトルとメルルが、再脱走の事を聞いてショックを受けている間に、クルルは受付嬢にさらなる状況を聞いていた。
受付嬢曰く、セレティアの魔導士の調査で魔力による爆発だった事が明らかになったようだ。
「魔力爆発? でも、あそこは魔法封じの術式が掛っているってセレティアの国王様が言っていたはずだけど……」
冷静を取り戻したメルルが、先ほど言っていた魔力による爆発の件について受付嬢に尋ねていた。
メルルの言うように特殊罪人が収容された施設内は魔封じの術式が貼り廻らされているので、簡単には行かないはずだと。
「生き残りの目撃者の証言があり、マライアという女僧侶による魔力爆発が起こったようです。 魔法ではなく感情による魔力暴走で起こったものらしいです」
「何ですって!?」
「そうか……、汚れを嫌うあの女僧侶ならありえる! 多分、何かの形で汚された事で憎しみを募らせたものが爆発したのかもしれない。 感情による魔力爆発は、魔力量次第で施設一つ吹き飛ばすレベルだってお母さんから聞いたよ」
「お姉ちゃん、それってありえる話なの!?」
「残念ながらね。 マライアは腐っても天才僧侶だったから、魔力の多さも私に匹敵するレベルだしね。 それに感情による魔力爆発は魔法ではないから、魔封じの術式も意味を成さないからね」
メルルの説明に、クルルが嫌な表情を浮かべた。
何せ、マライアがメルルと匹敵する天才僧侶であるがゆえに魔力も多い事と、感情による魔力爆発が自身の魔力次第で施設を吹き飛ばすことが可能であることが信じられなかったからだ。
カトルも受付嬢も同様だ。
しかもカトルは、マライアにも汚物扱いされていたことを思い出し、不快感を露にした。
「とにかく、そう言った件については現在セレティア王国から各国に指名手配をするように呼び掛けているようです。 グズマの悪行は伝わっているので各国とも応じる構えですが」
「セレティアはどうなの? 騎士団とかの派遣は?」
「すでに一部の部隊がグズマ達を追跡していますね。 あと、セレティア出身の冒険者達も同様です」
「それはよかったですよ。 私もカトル君も二度とあいつらには関わりあいたくはないので」
メルルは、グズマ達とは関わりあいたくはないと公言した。
無言だが、カトルも同じだったようで首を縦に振っていた。
「そうでしょうね。 なので、今後の動向だけは伝えておくつもりですのでそこだけは理解していただければと」
「分かりました。 情報だけは聞いておくべきですからね」
「それでは、私はここで失礼します」
そう言って受付嬢はクルル達の元から去っていった。
残された三人は、特にカトルは暗い表情になっていた。
トラウマが蘇ってきたのだろうか?
「カトル君、大丈夫だよ。 私達はあいつらに関わらなければいいし、騎士団やお父さんたちが代わりにやってくれるよ」
「そう、だったね……。 あいつらの件に関しては無関心でいるべきだよな」
「そうだよ」
カトルの背後からメルルが抱きつく形になり、メルルが一応の励ましを送る。
グズマの事は無関心を貫くこと……それが今の二人ができる事だからとメルルが言い聞かせる。
「まぁ、これ以上辛気臭い話はしても仕方がないよ。 カトルお兄ちゃんはトラウマを抱えてるっぽいから割り切るには時間が掛かるけど」
「面目ない……」
クルルが、話を切り替えようとする傍らで、カトルは彼女に謝罪していた。
背後で抱き着いたままのメルルはそれに苦笑していたが。
嫌な話題が続いたのだから仕方がないのだろう。
「そうだ、丁度気分転換に祭りでもしようかと思うんだけど」
「祭り?」
「うん、祭り。 丁度収穫の季節でもあるしね。 秋祭りをするには丁度いいじゃない?」
「あー、そういえばそうだねぇ」
収穫の時期だからこそ、祭りをするのにふさわしいと言うクルル。
メルルもそれを聞いて納得をしたような表情をしていた。
「これ以上、悩んでも仕方がないかもね。 で、いつやるんだ?」
「明後日にもやりたいかな? 急だから最初は簡易的に楽しむ形で行こうと思うよ」
「そうだね。 私達の気分転換も兼ねてだからね」
メルルが背伸びをしながら、祭りの内容を聞いていた。
今回は二人の気分転換が主目的だから、簡易的に行うつもりなのだろう。
「私は夫と準備のための相談をしてくるから、お姉ちゃん達はゆっくり休んでね」
「クルルも無理しないでよ?」
「分かってるよー。 じゃあねー!」
クルルを気遣う発言をした直後に、クルルは走って自分の家に戻っていく。
「あ……、クルル……!」
「へぶっ!?」
だが、メルルが口を開いたと同時に、クルルが玄関前で盛大にヘッドスライディングするかのように転倒してしまう。
足元の石に躓いたようだ。
(今、下着見えたよな……。 縞々か)
なお、メルルやカトルの視線では、その際にクルルのスカートが捲れて縞模様の下着が見えていた事をクルルは知らないでいた。
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