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月日は流れ……

 月日は流れ、季節は秋になっていた。

 南の森以外の木々は紅葉に彩られ、落ち葉もたくさん落ちていた。

 そして、大概の農作物は収穫の時期に差し掛かっていた。


「初めてカブの栽培に挑戦してみたけど、何とか質のいいカブが収穫できたね」


「ああ。 二度目の間引きに失敗したから不安だったけどな」


 カトルとメルルも、小さなカブの畑においてカブの収穫をしており、品質のいいカブが収穫できたことに安堵していた。

 二度目の間引きに失敗したことで不安が溜まっていたのだろう。

 実際に上手くいったみたいで良かったと感じていた。


「そういや、カブのもう一つの旬は春なんだっけ?」


「みたいだね。 秋と春でカブの質が違うみたい。 春は肉質が柔らかく、秋は甘みのある味わいが楽しめるってクルルが言ってたよ」


「へぇ……。 なら、今度は春に収穫できるように今からでも仕込んでおくか?」


「うん、そうしよう」


 クルルから、カブについての新たな知識を貰って、今度は春に収穫できるように仕込もうというカトルの提案にメルルも同意した。


「お、やってるねー?」


「あ、クルル」


 カブの収穫に入る途中で、クルルに出会ったメルル。

 カトルの方は一生懸命にカブを収穫しているようだ。


「カブも無事に収穫できたみたいだね」


「うん、二度目の間引きを失敗した時はどうなるかと思ったよ」


「あはは……、あの時のお姉ちゃんとカトルお兄ちゃんはすごく焦ってたね」


 クルルとメルルの姉妹は、失敗したとされるカブの二度目の間引きについての話題に入っている。

 カトルの方はようやくカブの収穫が終わったようだ。

 いくつかの籠にカブが入っている。


「クルル、来てたのか。 収穫したカブはどうする?」


「そうだね、お兄ちゃん達で利用してもいいよ。 もしくは幾つかをギルド経由で市場に持っていってもらう事も可能だよ」


「なるほどね。 どうする、メルル?」


「私達が使うカブだけ残して他はギルドに持っていこう。 ついでに他の依頼もあったら冒険者活動をすればいいし」


 メルルがそう言いながら空いた籠に自分たちで使うカブを入れて、それ以外はギルドに持っていく事にしたようだ。

 ギルド経由で市場に運ばれる場合は、ギルドから報酬が渡される形式らしい。


「それで他の作物とかは?」


「順調に収穫されてるよ。 やはり、自分たちの食料に残す分とギルドに持っていく分に分けてるみたい」


「という事は、今ギルドに持って行っても混雑しているから難しいわけだね」


「そうなるねー。 だから、時間をおいて行った方がいいよ」


 他の作物の収穫もあるためか、今ギルドに持って行っても混雑するだろうと、クルルが二人に教えた。

 それを聞いた二人も後でカブをギルドに持っていく事にした。


「しかし、月日が経つのが早いね」


「そうだね、お姉ちゃん達がこっちに来たのって、確か春の季節なんだよね」


「ああ、湖の件はもうすぐ夏に差し掛かる季節だったな。 あの後は夏の時期になって結構繁盛してたな」


 そして、カトルとメルルとクルルの三人は、今までの出来事を振り返り始めた。

 最近のはずの東の湖の件も夏に差し掛かろうとする暖かい時期だったようで、本格的に夏になった時は観光客などで賑わったようだ。


「それ以前にエクレアさんが来たことに驚いたよね、私達」


「ああ、まさかの魔王の娘さんが来たからな。 まぁ、穏健派の筆頭だし仲良くはなれそうだけど」


 後、魔王の娘のエクレアがこの『ホーエル』に来たことにも触れた。

 カトルとメルルが後に『ベヒーモス』という名を知る事になった猛獣退治の帰りに出会ったのだ。

 彼女達穏健派と父である現魔王率いる侵略主義との戦いの最中に、解き放った猛獣が『ベヒーモス』だったということで、謝罪されたのだ。


「そういえば、湖のイカも現魔王の手下が改良したイカなんだよな」


「そうだったね。 海でしか生息できないはずのイカが湖にいたのには驚いたけど、改良したのなら納得だね」


「名前さえどうにかなったらだけどね…」


 そうカトルが呆れながら言う。

 名前が『レイクラーケン』という安直な名前になっているのは分かりやすさ重視なのだろうか。

 メルルやクルルも同様に苦笑いしていた。


「皆さん、ここにいたのですか」


「あれ? ギルドの受付嬢さんじゃないですか」


 三人で会話をしていた最中に、ギルドの受付嬢が彼らの元に来たのだ。


「どうしたのですか?」


「実は、ジェフ国王様経由でギルドに情報が入って来たのです」


「情報?」


「はい。 しかも厄介な情報なんですよ」


 ジェフ国王からの情報がギルド経由で入ってきたという事にカトルとメルルは嫌な予感がしなかった。

 厄介な情報と言われれば尚更だろう。


「どんな情報なのですか?」


「実は、セレティア王国の特殊罪人が収容されている施設が爆発し、罪人グズマとその連れの女性二人が脱走したみたいです」


「え……!?」


 ギルドの受付嬢からもたらされた情報が、まさかの衝撃的な内容だったのだ。

 グズマとその連れの女性二人が脱走したという情報を聞いて、メルルは驚きを隠せなく、カトルも無言だが顔を青ざめていた。


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