東の湖へ行こう
「湖へ行こう!!」
「はい……?」
セインの件についてのユリナへの報告から翌日、クルルからいきなり誘われた。
湖へ行こうという内容だったようだ。
「確かに、今は湖へ行っても大丈夫な季節だけどなんでまた?」
突然の誘いにメルルも困惑しており、どういう事なのかをクルルに尋ねた。
確かに今は湖へ行っても大丈夫な季節柄なのだろうけど。
「この村って、海からは離れているのは知ってるよね」
「うん。 基本的に山寄りだからね、この村は」
「でも、ここから東に大きな湖が有志の方たちによって発見されたんだよ」
「え、本当に!?」
「本当だよ。 上手くいけば新たな観光の名所としても活用できるし、水浴びの場所としても夏限定で解放できるしね」
クルルが言うには、『ホーエル』は基本山寄りに存在している場所であり、海からは遠い。
だが、開拓の有志達が東に進んだところ、大きな湖を見つけたと報告があったようだ。
クルルはこれを上手く活用できないかと考えていたようだ。
「事情は分かったよ。 で、僕達はそこで何をすればいい?」
事情を理解し承諾したカトルは、クルルに何をしたらいいかを聞いた。
「まずは、周囲の魔物の掃討と水質の向上だね。 後者は私とメルルお姉ちゃんの二人で出来るから、主に前者をお願いしたいかな?」
「魔物も少し徘徊しているんだね……。 分かった、引き受けるよ」
「ありがとう! じゃあ、早速現場へ行こう! えー君が準備してくれているからすぐに出れるよ」
「エクスがいないと思ったら、裏で色々準備していたのか……」
クルルに急かされるように、カトルとメルルの二人は一通りの準備をして現場である東の湖へ向かう事にした。
なお、エクスが居ないことに気付いたカトルだが、密かに準備を進めていたのが彼だった事に驚いていたのは内緒だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
案内人のクルルとエクスに連れられた東の湖は、『ホーエル』から徒歩で20分くらいの場所だった。
馬車で利用しているのは荷物があるからだ。
「ここが、あの湖か……」
「らしいね。 ここから見てても綺麗なんだけど」
「それでも人が水浴びするにはまだ危険なんだよ。 底にはヘドロも密かに混じってるから」
「ああ、だから水質の向上が必要なんだね」
馬車の窓からも見える程の大きな湖は、外から見た限りでは綺麗なのだが、クルルが言うには、実際にはヘドロが混じっているなど人が水浴びするにはまだ危ないとのこと。
それを聞いたメルルはようやく納得がいったような顔をしていた。
「ここから現場に入れるので、二人は準備をしておいてください」
「ああ、魔物の掃討もしないとだめだしな」
エクスが開拓した道を利用して現場である湖に入るようだ。
カトルとメルルは魔物掃討のための準備をし始めた。
「早速いるね。 あれはスライムかな?」
「みたいだね。 馬車から降りて対応するかい?」
「いや、あれならここからこの魔法で行けるよ。 【フリーズ】!!」
メルルが馬車の窓から見えるスライムに向けて【フリーズ】の魔法を放った。
するとスライムがみるみるうちに凍らされていく。
凍結されたスライムはそのまま砕かれて消えていった。
「すごいね、お姉ちゃん……」
「メルルの魔法の範囲もえげつないな。 後は現場付近の魔物か」
馬車が現場付近に到着しようとすると、カトルは剣をメルルは杖を引っ提げて、馬車から降りていく。
「リザードマンだね。 そこそこ強いから気を付けてね」
「ああ、分かった。 メルルも狙われないでくれよ」
「うん、行くよ……!」
カトルが先陣を切って、リザードマンの群れに斬りかかる。
「ギエエッ!?」
突然の襲撃にリザードマンはなすすべがなく斬られていく。
皮膚が固いとされるリザードマンの身体をカトルがいともたやすく切り裂いていく。
「ギアアアアッ!!」
「増援を呼んだみたいだね! 【スパーク】!!」
増援を呼んだことに気付いて詠唱を終わらせたメルルが、電撃の魔法の【スパーク】を放っていく。
その魔法は多くのリザードマンを一撃で屠っていく。
「アギャギャギャギャ!!?」
「相変わらず範囲がえぐいな……」
メルルの放つ【スパーク】の魔法の範囲が広い事にやや驚きつつも、カトルも負けじとリザードマンの群れに剣技を駆使して斬っていく。
「カトルお兄ちゃんも相変わらずすごいねぇ」
「うん、冒険者として経験もしっかり積んでるのだろうね」
傍らでクルルとエクスがカトルの戦いぶりに感心して見ていた。
メルルの天才っぷりに隠れているが、カトルも相当の実力者であると評価していた。
まぁ、カトル自身はセレティア王国から貰った剣のおかげだというが。
そうこうしているうちに、メルルとカトルのリザードマン討伐は終わったようだ。
「終わったんだね」
「じゃあ、有志の中から結界師を呼んで結界を張ってから、水質の向上を図りましょうか」
「あ、待って! 湖から何かが来てる……!!」
エクスがリザードマンの討伐を終えた後のプランを伝えた後で、メルルが湖から迫りくる影を発見した。
カトルはクルル夫妻と結界師を下がらせてメルルと共に身構える。
そして、水しぶきと共にその影の正体がその姿を現した。
「え…!? イカの魔物……!?」
メルルが驚いたのは無理はない。
何せ、湖から現れたのは、イカの魔物だったからだ。
作者のモチベーションの維持に繋がりますので、よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。




