イカの魔物との戦い
「ちょっ、ちょっと待って! 湖にイカがいるなんて聞いてないよ!?」
湖からイカの魔物が出現した事に、クルルがツッコミを入れていた。
メルルもカトルも冷静に物事を見ようとするが……。
「うわっと……!!」
「あ、あぶな……っ!」
イカの魔物がそれを許してくれるはずもなく、10本の足を触手のように叩きつけるように攻撃してくる。
メルルとカトルは、それを難なく回避しているが相手が湖にいる以上、攻撃が魔法しか届かないようだ。
「くそっ、剣じゃ奴のテリトリーに入ってしまう!」
「私の魔法ならいけるけど、あのイカの波状攻撃を何とかしないと……」
剣では届かないからか、舌打ちをしながらイカを睨みつけるカトル。
そして、イカの波状攻撃を回避しながら魔法を放とうと試みるメルル。
だが、このままだと二人は体力を使い果たしてしまう。
そんな時だった。
「ギエェェェェェェッ!!」
イカの魔物が苦しみのうめき声をあげる。
どうも、二人の前に風の刃が発生し、それがイカの足の数本を切り裂いたらしい。
「さっきの風の刃は……!?」
「大丈夫ですか!?」
「エクレアさん!!」
カトルとメルルを助けに現れたのは、魔王の娘のエクレアだった。
「助かりましたけど、どうしてここに?」
「実はあの『ベヒーモス』以外にも、改良された魔物が父の手の者によって放たれていたことがわかったのです。 そのうちの一体がここにいると判明したんです」
「え、あのイカが!?」
どうやら現魔王の手の者によって放たれた改良された魔物の一体らしい。
それを聞いたメルルが驚いていたのは言うまでもない。
「はい。 あのイカの魔物……『クラーケン』を湖でも活動できるように仕立てたものです。 確か『レイクラーケン』と言ってましたが……」
「『レイク』と『クラーケン』を混ぜたネーミングかよ……」
エクレアから説明を受けた際に聞いたイカの魔物の名前に、カトルはゲンナリした感じのリアクションをした。
ちなみにあのイカの魔物は、湖でも活動できるように改良された種のようだ。
「とにかく、私も手伝います。 魔法でもう三本の足を切り裂くので、その後でメルルさんとカトルさんで仕掛けてください」
「お願いします! やるよ、カトル君!!」
「ああっ、奴の足さえなくなればこっちのものだ!」
「では、参ります! 【サイクロンカッター】!!」
エクレアが、最初に二人を助ける際に放った魔法【サイクロンカッター】を再び放ち、『レイクラーケン』の足を切り刻む。
「ギョエアァァァァァッ!!?」
足を切り刻まれておぞましい悲鳴を上げるレイクラーケン。
それと同時に、カトルがスピードに乗せて突撃しだす。
メルルはエクレアの後方で、魔法の詠唱だ。
強力な魔法を使うつもりらしい。
「ここまで近づけられればこっちのもんだ! 『ムーンスライサー』!!」
カトルがセレティア王国から貰った剣の力を解放、そのパワーを刀身に宿してそのまま三日月を描くように斬りつけた。
「ギョエェアァァァッ!!」
レイクラーケンは、カトルの攻撃によって身体を初めて斬られ、血を噴き出しながら悲鳴をあげる。
「続けて【エアブレード】!!」
その隙にエクレアが、先ほどの魔法よりやや下位の魔法を放つ。
それでも魔王の娘だけあって、その威力は折り紙付きだ。
「二人とも、離れて!!」
丁度そこに詠唱が完了したメルルが、杖を介して電撃の魔力を集約していた。
それを見たカトルとエクレアは、それぞれ距離を開けた。
「【ユピテルサンダー】!!」
電撃の魔法の上位種の一つが、メルルの杖から強大な電撃が放たれる。
その強大な電撃はレイクラーケンに向かっていく。
「ピギョアエアァァァァァッ!!!」
電撃を受け、レイクラーケンが不協和音を奏でるような悲鳴を上げていた。
その電撃は数十秒間続けられ、次第にレイクラーケンの身体は焦げていく。
「ぎ……、あ……」
電撃によって焦がされたレイクラーケンは、そのまま湖に沈み灰になって消えていった。
「やった……!」
レイクラーケンを倒した事を確認したメルルが、小さくガッツポーズをした。
そこにカトルとエクレアがメルルの傍に来た。
「やったな。 しかし、メルルのあの魔法、流石だな」
「そうかなー?」
「でも、カトルさんもあの剣技、すごかったですね」
「いや、あれは剣の力を解放して放った技だから」
「あの剣、解放には相当の熟練度を必要としてるんです。 カトルさんはその剣の力を解放できるレベルに至っていたのですよ」
「マジか……」
「そうだね。 カトル君はずっと努力してきたからね。 勇者パーティ時代から見て来た私が言うんだから間違いないよ」
お互いを褒めあったりして、色々と話をしている三人。
そこにクルルとエクスが三人に近づいてきた。
「ひとまず倒した事だし、浄化しようか。 お姉ちゃんは魔力は残ってる?」
「浄化の分ならまだあるから大丈夫だよ」
「私の方からも魔力を譲渡しますから、大丈夫ですよ」
「じゃあ、早速水質の向上作業を始めるよー」
そう言って、メルルとクルルは浄化魔法を発動した。
ヘドロが詰まった水底やレイクラーケンの血や灰を時間を掛けて浄化していく。
エクレアが常時魔力の譲渡を行っているので、中断せずに順当に浄化を行える。
そして、浄化を始めてから三十分経過したところでようやく作業が終わったのだ。
「これで、人間が安心して水浴びができるよ」
「すごいキレイになったよな」
「そうですね。あと、結界師さんがこの湖周辺に結界を張ったと報告がありました。 これでおそらく安全に湖へ近づけると思います」
クルルとエクスが、浄化完了の報告と結界を張る作業の完了の報告を行った。
これで、『ホーエル』の住民が水浴びできるのと、観光の名所として売りに出せるだろう。
特にクルルは安堵した表情がうかがえた。
「では、私もここで失礼します。 今回の件のお詫びの品も送っておきますので…」
「分かりました。 エクレアさんも気を付けて」
エクレアが、お詫びの品を送ることを伝えてこの場から去っていく。
メルルが代表として彼女を見送った。
「じゃあ、折角だし私達で水浴びしようか。 水着も持ってきてるしね。 もちろんお姉ちゃんの分もあるよ」
「えええっ!!?」
エクレアが去った後で、クルルが早速水浴びをしようと提案してきた。 馬車の中にはいつの間にか水着類や設置用のトイレが置いてあったようだ。
しかも水着はメルルの分まで用意しているのだとか。
それを聞いたメルルが、驚きの声をあげており、カトルも心底呆れかえっていたようだった。
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